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「遠征経済学」の薦め
―― 軍は紛争・災害後の社会と経済をいかに立て直せるか

カール・J・シュラム ユーイング・マリオン・カウフマン財団 理事長兼最高経営責任者

Expeditionary Economics ―― Spurring Growth after Conflicts and Disasters

Carl J. Schramm ユーイング・マリオン・カウフマン財団理事長兼最高経営責任者。起業を軸に雇用創出、経済成長を分析する専門家として知られる。ウィリアム・J・バーモル、ロバート・E・リタンとの共著に「よい資本主義、悪い資本主義」がある。

2010年6月号掲載論文

現在の紛争の多くが、経済が弱く、停滞している国で起きているのは偶然でない。軍隊は軍事介入をして社会を安定化させることしか考えていないが、紛争後の安定に必要なのは、紛争前を上回る経済レベルへと相手国を引き上げることだ。イラク、アフガニスタンでの米軍による経済再建努力が成果を上げていないのは、一つには、軍が開発経済学の間違った前提を受け入れているからだ。先進国であれ、途上国であれ、経済成長は、新たに立ち上げられた企業が雇用を創出し、経済全般を刺激することで実現する。しかし、起業が経済復興に果たす役割が、開発経済学ではほぼ無視されている。米軍の軍事計画立案者たちが、戦争や自然災害によって荒廃した国々に活気ある経済を再生したいのなら、硬直的な思考パターンにとらわれている国際開発・援助機関にばかり目を向けるべきではない。むしろ、成功企業を立ち上げた実績を持つ起業家や投資家など、市場での実務経験豊かな専門家に相談すべきだろう。

  • 起業経済モデルに注目せよ
  • 軍による経済再建はなぜうまくいかないか
  • 経済開発理論では起業の役割が無視されている
  • 起業と遠征経済学ドクトリン
  • 経済再建と社会的安定を両立させるには
  • ソフトパワーとしての起業経済モデル

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