ウィレム・ブイターが語る先進国の
財政問題とソブリンリスク
― アメリカも日本も潜在的リスクに
さらされている
Debt Problem in Advanced Industrial Countries
2010年6月号掲載論文
2~3年後に、アメリカは財政緊縮路線をとらざるを得なくなる。これが、ブッシュ前政権が導入した高額所得者向けの減税措置の打ち切りとタイミングが重なるとしたらどうなるだろうか。この場合、米国債はAAAの格付けを失い、金利の上昇、ソブリンスプレッドの拡大によって、米経済は市場に試されることになる。・・・(日本はどうだろうか)。人々が巨大な政府債務があっても(大きな金融資産を持っているのだから)問題は起きないと考えているうちは、大きな変化はないだろう。だが、多くの人々が、デフォルトに陥ると考えだしたら、どうなるか。この場合、リスクは限りなく大きくなる。投資家が、状況が持続不可能だと懸念するようになれば、現実に、状況は持続不可能になる。・・・いかなる国にも逃げ場はない。(ウィレム・ブイター)
- イギリスもアメリカも例外ではない
- 日本のソブリンリスクと プライマリーバランス
<イギリスもアメリカも例外ではない>
マイケル・エリオット ウィレム・ブイターは、(イングランド銀行金融政策委員会のメンバー、ロンドン・スクール・オブエコノミクスの欧州研究所所長を経て)、2010年1月からシティ・グループのチーフ・エコノミストを務めている。誰もが知る、世界的に著名なマクロエコノミストだ。
彼はソブリン債務に関するペーパーを最近まとめ、その冒頭で次のように指摘している。「ほとんどの先進諸国の財政は、戦時、あるいは、戦争終結直後の時期を例外とすれば、産業革命以降のいかなる時期と比較しても最悪の状態にある。富裕国の多くの財政は、持続不可能な軌道を描いている」。では、先進国のソブリンリスクについて、ウィレム。
ウィレム・ブイター かつて新興諸国を苦しめたソブリン債務危機が、いまでは先進国に襲いかかっている。もちろん、比較的健全な財政を維持している先進国もある。スカンジナビア諸国、ニュージーランド、オーストラリアだ。しかし、例外はこれだけだ。・・・
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