次期大統領の外交課題

司会     
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
スピーカー  
ベン・ステイル/米外交問題評議会シニア・フェロー  
グレアム・アリソン/ハーバード大学教授  
ジョセフ・ナイ/ハーバード大学教授  
エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

Foreign Policy Discussion

Richard Haass CFR会長。ブルッキングス研 究所会長、米国務省の政策 企画部のディレクターを経 て、現職。ブッシュ政権内の 穏健派の理論家として、パウ エル国務長官の外交顧問を 務めた。アメリカ外交全般、経 済制裁、軍事力行使などを 研究テーマとする。
Elizabeth Economy CFRのシニア・フェローで、 アジア研究プログラム・ディレ クター。専門は中国。特に中 国の環境問題を研究テーマ とする。CFRの香港フォーラ ムのディレクターも務めてい る。最近The Ri ver Runs Black(仮題『中国の黒い河』) を出版した。
Joseph Nye ハーバード大学政治学教 授。クリントン政権の国防次 官補、国家情報会議議長を 経て、現在はハーバード大学 ケネディ・スクール学院長。近 く小説を発表する予定。日本 ではすでに小説『ダーティ ー・ハンズ』(都市出版、199 9)を出版している。
Benn Steil 英王立国際問題研究所の経 済プログラムを経て、現在は CFRのシニア・フェロー。国 際金融の専門家で、通貨、金 融市場問題に詳しい。CFR の地政経済センターの所長 代行も務めている。インター ナショナル・ファイナンス誌の エディターも兼務している。

2004年9月号掲載論文

核武装のドミノ倒しが起きる?

リチャード・ハース まず、簡単にスピーカーの紹介を。 ……

 まずハーバード大学のグレアム・アリソン(Graham Allison)から。彼は、ケネディ・スクールの学院長を経て、クリントン政権の国防次官補として、ロシア、旧ソビエトへの政策を担当した。著書にキューバ危機を描いた『決定の本質』(中央公論新社、一九七七)などがある。

 さて、ブッシュ政権の先制攻撃ドクトリン、つまり、学会ではこれまで予防攻撃と呼ばれてきた戦略ドクトリンはかなりの論争を呼んだ。ブッシュとケリーのどちらが選ばれるにせよ、次期大統領は、今後イランや北朝鮮の核拡散の脅威に直面させられることになる。イラクをめぐって大きな論争が起きたとはいえ、ブッシュ、あるいはケリーは、大統領としてこのような脅威に現実に直面した場合、先制攻撃を検討せざるを得ないだろうか。

グレアム・アリソン そうなると思う。イラクに関してブッシュ大統領が必要なら単独でも武力行使を辞さないという姿勢を貫いたこと自体に問題はないと私は考えている。ブッシュ大統領はわれわれが直面している最大の脅威はテロリストが大量破壊兵器(WMD)を入手することだと語っているし、ケリー候補も同じ見方をしている。ブッシュはテロリストとWMDのつながりを問題にして、イラクとの戦争を開始した。問題はターゲットが違っていたことだ。

 イラクではなく、北朝鮮のほうが深刻な脅威だった。北朝鮮は核燃料の再処理を行い、さらに六個の核兵器を生産できるプルトニウムを保有している。北朝鮮が核兵器や核物質を輸出できるはずはないと考える者は、リビアに何を提供していたかを考えるべきだろう。北朝鮮はリビアに核兵器一個を十分に生産できる核物質を輸出していた。……

*邦訳文は、二〇〇四年七月下旬にボストンのハーバード・クラブで行われた米外交問題評議会ミーティングでの発言からの抜粋・要約。発言や質疑応答の順序を入れ替えている部分がある。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

  • 核武装のドミノ倒しが起きる?
  • アメリカの財政赤字とアジアの外貨準備
  • 中台紛争のリスクは高い
  • 情報組織の改編
  • 反米主義の高まりにどう対処する
  • 質疑応答

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