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Classic Selection 2003
CFRリポート
中国の軍備近代化努力をどうとらえるか

スピーカー
ハロルド・ブラウン タスクフォース議長 元米国防長官
ジョセフ・プルーハー タスクフォース副議長 元駐北京米大使 元米海軍提督
タスクフォース ディレクター
アダム・シーガル 米外交問題評議会シニア・フェロー

Chinese Military Power American Giant Wakes Up

Harold Brown リンドン・ジョンソン政権の国防副長官を経て、ジミー・カーター政権の国防長官。21歳で物理学の博士号を取得した秀才としても有名。対ソデタント路線を主張し、ズビグニュー・ブレジンスキー国家安全保障問題担当大統領補佐官と対立した。
Joseph Prueher 米太平洋軍総司令官を経て、1999年から駐北京米大使を務めた。太平洋地域の安全保障論をテーマとする数多くの論文をまとめている。
Adam Segal 米外交問題評議会シニア・フェロー。専門は東アジア安全保障、中国の内政と外交、特に技術政策。最近の著書に『デジタルドラゴン』(仮題)がある。

2003年7月号掲載論文

「日本が今後も主要な地域的軍事パワーになることを選択せず、北京が現在の軍事力近代化路線を維持すれば、20年後の中国は、東アジアにおける支配的な軍事力を確立している」(CFRタスクフォース・リポート)

  • 中国の軍事力 <一部公開>
  • 「中国の軍事力に関するCFRタスクフォース・リポート」の主要な論点

中国の軍事力

アダム・シーガル レスリー・ゲルブ米外交問題評議会前会長が警告したとおり、われわれの中国の軍事力に関する議論は、冷戦期における米ソ軍事バランスに関する議論同様に、「危機感に満ちた警戒と行き過ぎた楽観」の間を揺れ動きかねない状態にある。

リポートは二つの警告を行った。第一は、中国軍の近代化路線に対して過剰反応を示すべきではないこと。第二に中国軍の装備が、米軍、そしてアジアの駐留米軍と比べて見劣りするからといって慢心してもいけない、ということだ。

ハロルド・ブラウン リポートの結論の一つは、軍の近代化に取り組んでいるとはいえ、中国軍は、現在のところ、「アメリカ軍の能力や技術に比べると20年は遅れている」ということだ。アメリカが軍事技術の開発と軍事支出面で現在の路線を維持すれば、今後20年間、あるいはそれ以上の間は、世界的にも東アジアにおいても、アメリカにとって好ましい軍事状況が揺らぐことはあり得ない。しかし、「20年後(2003年)には中国は東アジアで最も高い軍事能力を持つ国家になっている」と考えられる。

中国が軍事能力を強化する目的は、中国指導層が考えているとおり、国内の治安と管理体制を維持することにある。これは主権領域内の問題だが、これに関連して台湾という問題が浮上してくる。台湾問題こそが、中国の軍備増強の大きな理由の一つだ。

これほど重要ではないが、インドや日本などの近隣諸国に対抗する軍事力を維持していくことも中国側の軍備増強の理由だろう。

地域的な抑止状況を維持していくうえで米軍が中核的な役割を担っていることを中国側がどう考えているかも認識しなければならない。彼らは核抑止論がどのような理論で組み立てられ、どのように作用しているかを理解している。

また中国の指導層は、経済を近代化し大国となっていくにつれて、それに見合うような軍事力を整備していくべきだと考えている。軍事大国となることによって国際社会の名声を確保したいと考えている。

アメリカの東アジアでの軍事的優位を検討する際には、認識しておくべきポイントがいくつかある。それは、中国軍が今後も強固な軍事力を持ち続けるとしても、情報衛星、海軍力、技術力が大いにものをいう中国沿海での活動能力については、かなり不備を抱えた状態が今後も続くと思われることだ。・・・

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