lola1960 / Shutterstock.com

高齢化社会という灰色の夜明け

ピーター・G・ピーターソン  外交問題評議会理事長

Gray Dawn: The Global Aging Crisis

Peter G. Peterson ブラックストーン・グループ会長で、外交問題評議会理事長。近著に『灰色の夜明け 社会の高齢化はアメリカ、そして世界をどう変えるか』がある。ニクソン政権の商務長官など、政府要職を経て同評議会理事長に就任した。ワシントンの国際経済研究所理事長、ニューヨーク連邦準備銀行副理事長、コンコード・コリション(Concord Coalition)共同設立者兼会長などを兼務。

1999年3月号掲載論文

人口のほぼ一九%が高齢者で占められるフロリダ。これと同じ状況に先進諸国が直面するのは,そう遠い未来の話ではない。二〇〇三年にイタリア、二〇〇五年に日本、二〇〇六年にドイツがもう一つの「フロリダ」となる。イギリス、アメリカ、カナダもほどなくこれに続く。先進国社会の急速な高齢化がもたらす諸問題とコストは、投げだすのが合理的と判断しかねないほどにあらゆる意味で膨大である。各国の貯蓄は瞬く間に底をつき、財政が火の車になるだけではない。国内の政治力学、国際的資本の流れ、南北の力関係が逆転し、先進諸国から利他的な外交要素がなくなり、グローバルな安全保障が極度に不安定化する危険さえある。「自らの運命を管理し、より持続可能なコースへと道を変える時間的余裕があるうちに、現状を変革するしかない」。決断を下すべきは今で、「世界高齢化サミット」を開催し、この問題のための国際機関を設けることが急務だ。さもなくば、世界は「持続不可能な経済的負担と政治的・社会的苦難の後、悲痛な動乱の時代」へと突入することになりかねない。

  • 高齢化社会という脅威
  • 高齢化とはすなわち歳出増
  • 「高齢国」と「若年国」がつくる世界
  • 痛みを伴う処方箋
  • 高齢化を考える世界サミット開催を

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

Copyright 1999 by the Council on Foreign Relations, Inc. and Foreign Affairs, Japan

Page Top