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トランスガバメンタリズム

アン=マリー・スローター/ハーバード大学法律大学院教授

The Real New World Order

Anne-Marie Slaughter 今年ハーバード大学法律大学院の教授となった新進気鋭の法学者で、国際法、比較法だけでなく、国際関係論も専門とする。国際関係理論の国際法への応用など、法律を中心とした学際的研究に従事しており、主要な論文に、「国際法と国際関係理論」"International Law and International Relations Theory: A Dual Agenda," 87 American Journal of International Law, 205 (1993) などがある。現在、法律を中心とした民主主義諸国間の横断的関係をテーマとする著作を執筆中。

1997年12月号掲載論文

情報革命とグローバル経済の進展によって、いまや一国では対処できないテロリズム、組織犯罪、環境悪化、マネーロンダリング、金融問題がわれわれの目の前にある。現状を前に、国際主義者は多国間機構の強化を唱え、一方保守派はそれは主権の喪失につながると反対する。だが、各国の司法、立法、行政といった政府機関が、それぞれ独自に国家を越えた横断的なネットワークを形成すれば、共通の課題に取り組めるようになるはずである。この動きの好例がバーゼル委員会、そして証券監督者国際機構の設立といえよう。現下の国際問題はそのトランスナショナルな性格ゆえに、「各国の政府機構間の国境を越えたつながりを育み、その維持を必然としているのだ」。現実にもっともうまく対応できるのは、単独の国家でも、多国間機構でもなく、むしろ複数の国家の政府機構間の横断的なつながり、つまり「トランスガバメンタリズム」なのである。

  • 「トランスガバメンタリズム」とは
  • 国民国家は解体しているのではなく、機能的に異なる部門への棲み分けが進んでいるだけである
  • グローバルな法の支配
  • 欧州連合では、欧州法と国内法が部分的に重なるような案件については、欧州司法裁判所が国の裁判所とともに問題に対処している
  • 国内法と国際法の融合
  • 証券監督者国際機構の主要な目的は、国際金融市場に影響を与えるような問題について、それに関する国内法の立法を促すコンセンサスをつくり上げることで解決することにある
  • 国際派と保守派の和解
  • 非民主諸国の政府機構との交流
  • 新世界秩序の新理念

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©1997by the Council on Foreign Relations, Inc.

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