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スハルト以後のインドネシア

アダム・シュワルツ ジョンズ・ホプキンス大学客員研究員

Indonesia After Suharto

Adam Schwartz 一九八八年から九二年まで、『ファーイースタン・エコノミック・レビュー』誌の在ジャカルタ特派員をつとめ、著書には、仮題『変化を待つ国家――一九九〇年代のインドネシア』("A Nation in Waiting : Indonesia in the 1990s")などがある。現在は、ワシントンのジョンズ・ホプキンス大学ポール・ニッツェ・スクール客員研究員。

1997年9月号掲載論文

経済発展によって、すでにインドネシアには民主主義の根幹を支えるべき中産階級が誕生しており、成長率からみても、この国は順風満帆のように思える。だが裏を返せば、腐敗や汚職、経済の一族支配がビジネスの常態とされているために、人々の起業家精神は抑え込まれ、水面下でのこそこそしたやり方ばかりが助長されている。さらに、複雑な民族、宗教、人権問題が存在するだけでなく、この国で唯一の確立された機構としての軍、そして大規模な若年失業者の存在、さらには、政治にはとにかく及び腰の中産階級と、堅固に織り込まれたスハルトの支配体制のなかで社会は硬直化している。経済成長を支えているこの国特有の経済・社会システムが、スハルトの表舞台からの退場とともに崩壊し、経済成長の影の部分で鬱積した感情を抱いている多様な民族、政治、宗教集団が一気に政治化するとすれば、この国の安定と繁栄だけでなく、ひろく東南アジア全域の経済と安全保障が脅かされることになるだろう。

  • 恍惚と不安
  • スハルトと民主党の興亡
  • 非政治化
  • 競争力と賃金
  • 腐敗・汚職のネットワーク
  • 地域的経済格差
  • インドネシアの中国系市民
  • イスラム教徒
  • 期待と恐れ<

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