1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

米国に関する論文

「政府の内外から専門家を集めて改革を進め、新たな作戦地域にすぐれた広報チームを迅速に派遣し、新聞、ラジオ、テレビ、インターネットすべてを使った広報を展開できるようにしなければならない。戦略的コミュニケーションラインの確立が遅れれば、その空白を埋めるのは敵か、何が起きているかを正確に伝えることなどあり得ない情報提供者たちとなる。……24時間体制のプレスセンターをつくり、インターネットなど新しいコミュニケーション手段をもっと重視するべきだ。世界中の多くの人々にとって新聞はもはや最も重要な情報源ではない」(D・ラムズフェルド)

アメリカは対テロ戦争の観点から東南アジア諸国との軍事関係の強化を望み、一方、中国は東南アジアでの鉄工業、天然ガス資源、森林伐採事業への直接投資を拡大させ、FTA構想を積極的に展開している。日本もベトナム北部など、東南アジアへの投資を積極化させている。しかし、中国の経済成長が、東南アジアの経済成長の原動力となっている部分があり、「あと3~5年もすれば、この地域における日本やアメリカの経済、貿易上の影響力を脅かすようになるかもしれない」とみる専門家もいる。軍事関係をテコに関係強化をめざすアメリカと、経済攻勢を強化する中国と日本。自立を高めたい東南アジア。今後の流れはどこへ向かうのか。

CFRインタビュー
イラン核開発問題をめぐる米欧協調の危うさ
―― 打開の鍵をにぎるのはロシアだ

2006年1月号

リー・フェイシュタイン 米外交問題評議会シニア・フェロー

現在のところ、イランの核開発問題に対して共同歩調をとっているとはいえ、アメリカとヨーロッパの脅威認識にはかなりの気温差がある。「ヨーロッパ人はすでに対イラン貿易制裁には反対すると表明している」。リー・フェイシュタイン(米外交問題評議会<CFR>シニア・フェロー)は、イランの核開発の脅威の本質、切迫性をめぐって、米欧の認識は大きく違っているし、米欧は経済制裁の効果についても違う意見を持っていると指摘し、今後もアメリカとヨーロッパが同じ土俵に立ち続けることができるかどうかを疑問視する。むしろ、イラン問題をめぐって何らかの進展が期待できるのは、ロシアでウラン濃縮の合弁事業を立ち上げる妥協案が進展した場合だろうとコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。
邦訳文は英文からの抜粋。

CFRインタビュー
イランの核開発問題
―― ロシア案の受け入れか、安保理付託か

2006年1月号

ジョセフ・シリンシオーネ カーネギー国際平和財団 核不拡散研究プロジェクト・ディレクター

すこしばかり核開発計画を先にすすめ……それで、ヨーロッパが立場を後退させるかどうか、「状況を容認するか、あるいは、状況を批判しつつも具体的行動はとらないか」を見極めるという戦術をこれまでテヘランは慎重に試みてきた。イランの核開発に向けた戦術をこう分析するジョセフ・シリンシオーネ(カーネギー国際平和財団の核不拡散研究プロジェクト・ディレクター)は、だが今回ばかりは、イランは強硬な発言を繰り返すことで、ヨーロッパの出方を見誤ったとみる。「一線を越えないように配慮しつつ、核兵器開発に必要な全技術を獲得すること」がテヘランの戦術であるにも関わらず、アフマディネジャド大統領は、「平和利用という自分たちの主張に酔いしれるあまり」、あるいは、「国内政治面での窮状を打開しようと」、今回は、勇み足を踏んだと分析する。安保理への付託か、ロシア案の受け入れか。その大きな鍵を握るのはロシアになるとシリンシオーネは語った。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

イラク・シンドローム

2005年12月号

ジョン・ミューラー オハイオ州立大学教授

米兵犠牲者の増大とともに、世論の戦争への支持は低下する。そして、こうした戦争への支持率の低下を挽回するために大統領にできることはほとんど何もないし、支持率の低下は、戦争が終わっ ても歯止めが利かない。こうして、戦争後にはアメリカ社会での対外介入への嫌悪感が高まる。すでにイラク・シンドロームとでもいうべき対外介入を嫌悪する感情が高まりをみせつつある。対外介入を忌み嫌う戦後のシンドロームによって大きく損なわれるのは、ブッシュ・ドクトリン、単独行動主義、先制攻撃、予防戦争、そして世界にとって不可欠の国としてのアメリカという自己イメージに他ならない。とすれば、イラク戦争から最終的にもっとも大きな利益を引き出しているのは、イラク同様に悪の枢軸と名指しされた国々なのかもしれない。

ブッシュ政権の対中、対日政策を検証する

2005年12月

エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

北京が鳥インフルエンザ問題をめぐって十分な情報公開をしているとは断言できない。深刻な状態にあることを公表することへのためらいがみられるし、鳥インフルエンザに関して地方から正確な情報が寄せられているかどうか、北京の指導者自身、確信がもてずにいる。中国問題の専門家エリザベス・エコノミー(CFRシニア・フェロー)は、鳥インフルエンザの情報公開であれ、知的所有権の保護であれ、中国が国際社会で責任ある国家とみなされるには、国内の統治システムを抜本的に改革し、特に、地方において優れた統治システムを確立することが不可欠だと主張し、「それには長い時間を必要とする」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

M・レアードが回顧するイラク戦争とベトナムの教訓(上)

2005年11月号

メルビン・R・レアード/ニクソン政権国防長官

ベトナムの屈辱とは、われわれがベトナムに介入したことではなく、最終的にわれわれが同盟勢力を裏切ってしまったことだ。パリ協定の約束に背を向けて、米議会が南ベトナムへの援助を打ち切ったために南ベトナム軍は総崩れになり、結局は崩壊した。イラク戦争にも同じことが言える。米政府と議会の連帯を維持することが、イラクでの対ゲリラ戦を遂行するうえでも非常に重要である。アメリカのイラクへのコミットメントが、将来においても尊重されるように、それが何を意味するかを現在理解しておく必要がある。イラク問題に関するアメリカ国内での論争は、議会と政府間の連帯を損ない、ゲリラ勢力に希望を与え、イラクに送り込まれているアメリカの兵士たちを危機にさらすだけだ。

アメリカの強大化と世界の反発
――アメリカは地域バランサーへの回帰を

2005年10月号

スティーブン・ウォルト/ハーバード大学教授

アメリカ人は自国が支配的な優位を持っていることを世界のためになると考えているかもしれないが、他の国々はアメリカの支配的な優位の意味合いを測りかねており、そのパワーを牽制する方法をすでに見いだしている。これが現実だとすれば、アメリカは、域外に身を置きつつ秩序バランスの維持に貢献するという伝統的な役割に立ち返るべきではないか。パワーバランスの維持は地域諸国に委ね、介入するとすれば、地域的なパワーバランスが崩壊し、死活的なアメリカの利益が敵対勢力によって脅かされている場合に限定する路線を取るべきではないか。

イラクで平和を勝ち取るには
――治安強化・拡大戦略を

2005年10月号

アンドリュー・F・クレピネビッチJr./戦略・予算評価センター所長

イラクから米軍が時期尚早に撤退すれば、ゲリラ勢力による武力抗争が血なまぐさい内戦へとエスカレートし、シリアとイランがイラクに大がかりに介入してくる危険もある。一方、ゲリラ勢力を殺害することに焦点を合わせた現在の米軍戦略にも出口はない。だが、イラクの治安を強化し、イラク人治安部隊を十分に訓練して、イラク人が治安を守り、国を再建するための機会を与えれば流れは変えられるし、米軍の段階的なコスト削減にも道が開けてくる。

中国は安定した対米関係を望む

2005年9月号

王緝思/北京大学国際関係研究所所長

中米関係の改善は今後もゆっくりとしたペースでしか進まないだろうし、そのプロセスは苦渋に満ち、限定的で条件に縛られるだろう。台湾の独立宣言といった挑発があれば、改善の流れが覆されることもあるだろう。だからこそ、両国間に横たわる刺のある問題を慎重に扱う必要があるし、諸問題が、繁栄する社会を構築するのに適した好ましい国際環境を崩壊させるのを回避するため、安定した新枠組みを確立する必要がある。

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