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米国に関する論文

対テロ米ロ同盟とロシアの民主主義

2001年11月号

ティモシー・J・コルトン ハーバード大学政治学教授  マイケル・マクファール  スタンフォード大学政治学準教授

ブッシュ政権はテロという新たな世界規模の脅威に対する国際連帯を形成しようとするあまり、民主国家という連帯の相手に求められる資格を無視した動きに出るかもしれない。強権政治への逆コースをたどりつつあるロシア政府も、この対テロリズム連合に協力を表明した以上、アメリカに統治面でとやかく言われることもなくなるだろう。だが、対ロシア民主化支援を強化しないかぎり、アメリカの安全保障に将来大きな悪影響が出る。かつての宿敵の国境内に民主主義を根づかせるための努力をいまこそ再強化すべきである。

次なる攻撃に備えよ

2001年11月号

ウィリアム・J・ペリー  元米国防長官

アメリカに対する憎しみ、組織的な作戦を実行できるだけの資源、自らの命をも顧みないほどの狂信主義をテロリストが兼ね備えていれば、その帰結がいかに甚大なものになるかを、世界は目の当たりにした。そしていまやもっとも差し迫った脅威は、テロ集団が、トラック、貨物船、飛行機、小型船で核兵器や生物兵器攻撃をかけてくることである。脅威が出現する前に、それを抑え込む拡散防止などの「予防」戦略、相手に攻撃を思いとどまらせる「抑止」戦略、そして、予防と抑止が破られた場合に備えた「防衛」戦略という3つをバランスよく実施する必要があり、アメリカは米本土ミサイ防衛ばかりを重視したこれまでの防衛姿勢を大きく見直す必要がある。

中東世界でのアメリカの孤独

2001年11月号

フォアド・アジャミー/ジョンズ・ホプキンス大学教授

ビンラディンは、アメリカとイスラム世界の間にある縫い目に沿って、自分たちのための狭い空間、攻撃目標、そして支援基盤を見いだした。彼らは、イスラムの地が悲惨な状況にあるのはアメリカのせいで、祖国とアメリカの同盟関係を揺るがすことにさえ成功すれば、サウジアラビアやエジプトの政権を倒せると思い込んでいる。対テロ戦争を進めていくにつれて、アメリカは中東における孤立を思い知ることになろう。アラブ世界の支配者たちは、中東の見張り番をする外側の国と同盟関係を結べば、「共謀者」あるいは信仰上の裏切り者とみなす人々によって報復の対象とされることを理解している。今回の戦争は、アラブ・イスラム世界にアメリカがかかわり続ける限り、簡単な戦争とはなり得ない。

テロリズムと米本土防衛

2001年11月号

リー・ハミルトン 元米下院議員、民主党、現ウッドロー・ウィルソンセンター所長  ゲリー・ハート 元米上院議員、民主党 ウォーレン・ラドマン 元米上院議員、共和党 ニュート・ギングリッジ 元米下院議長、共和党

同時多発テロから三日後の九月十四日にワシントンで開かれた米外交問題評議会ミーティング・プログラムの議事録からの抜粋。討論に参加したのは、一九九八年に組織された「二十一世紀国家安全保障委員会」の主要メンバー。二〇〇一年一月三十一日に公表された同委員会の最終リポートは米本土へのテロの脅威を今後の安全保障上の最優先課題として位置づけていた。(訳注)

テロの経済への影響はどうなる

2001年11月号

ゲイル・フォスラー コンファレンス・ボード上席副社長  ヘンリー・コーフマン ヘンリー・コーフマン&カンパニー社長  ポール・ボルカー 前連邦準備制度理事会議長

二〇〇一年十月二日、ニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティングプログラム議事録からの抜粋。

米外交問題評議会タスクフォース・リポート
地球環境に配慮した需要管理型エネルギー政策を

2001年10月号

エドワード・L・モース 米外交問題評議会・エネルギー政策タスクフォース議長  エイミー・M・ジャッフェ  同ディレクター

世界はエネルギー新時代に突入している。余剰エネルギーをいかに管理して売り払うかに腐心した時代は過ぎ去り、いまや増大するエネルギー需要を、地球環境保護策とのバランスに考慮しつつ満たしていかなければならない。この条件を満たすような資源・インフラ・技術開発に必要な投資をいかに取りまとめるかが課題なのだ。このリポートは、下院でエネルギー法案が通過し、上院での法案審議を控えた二〇〇一年九月上旬に発表されたエネルギーリポート(Strategic Energy Policy Update)の要約・抜粋で、二二八ページに掲載されている「二十一世紀の戦略的エネルギー政策の課題」のアップデート版である。全文はhttp://63.236.1.240/Public/publications/highlights/energy.htmlからアクセスできる。

米外交問題評議会タスクファース・リポート
二十一世紀の戦略的エネルギー政策の課題

2001年10月号

エドワード・L・モース 米外交問題評議会・エネルギー政策タスクフォース議長  エイミー・M・ジャッフェ 同ディレクター

以下は二〇〇一年四月に、米外交問題評議会とライス大学付属ジェームズ・べーカー公共政策研究所が発表したエネルギー政策に関するタスクフォース・リポートからの抜粋(英語の全文http//www.cfr.org/Public/publications/taskforce.htmlからアクセスできる)。同評議会のタスクフォース・リポート発表からほぼ一カ月後に、ディック・チェイニー副大統領が議長を務めたブッシュ政権のタスクフォースが「国家エネルギー政策」を発表した。

国際金融制度を脅かすダーティー・マネー

2001年9月号

ウィリアム・F・ウェシュラー  前米財務長官特別顧問

「口座情報の厳格な機密保持、顧客情報公開という行為の犯罪化、そして、他国の法執行当局との国際協調の禁止」を自国の法律に盛り込みさえすれば、スイスやケイマン諸島でなくても、簡単にダーティー・マネーを魅了できることを各国が理解し始め、いまや不法な資金の避難地域は世界に広く拡散している。こうした課税回避行動やマネーロンダリング行為ゆえに、国内でまじめに納税している市民の税負担の重みが増しているだけでなく、世界各地で金融メルトダウンが誘発されている。

中央銀行は失業率を気にせずに、インフレ率だけを見ていればよいとするインフレターゲット論者は、経済成長と完全雇用の達成にとらわれている中央銀行には問題があり、慢性的な高失業率という犠牲を払ってでも物価安定を達成してきたドイツ連銀のような中央銀行こそが正しいモデルである、と言う。完全雇用、安定成長、妥当な物価の安定の実現は彼らの言うように本当に不可能なのか?

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