1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

アフリカに関する論文

アルジェリアという名の悲劇と苦悩

1998年10月号

ラボーアリ・アディ  リヨン大学客員教授

恐怖と抑圧の地と化したこの国の主要なプレーヤーは、政府でもイスラム主義勢力でもない。それは軍部である。主権を行使する軍部は、アルジェリアの最高権力であることを自任し、政府はといえば軍が決めた政策を実施しているにすぎない。今やこの国は、法律などおかまいなしの軍人たちの思いのままだ。さらに悪いことに、自称「民主勢力」も、軍部の非人道的な抑圧策や、イスラム勢力のテロ作戦を押しとどめる力を持っていない。この危機的状況を解決するには、フランスからの独立戦争以来、三十余年も続いてきた軍部と政府という、「非公式な実質的権力と無力な公的権力の二重構造」を取り払わなければならない。本当の権力の所在を明らかにし、軍部は政治に介入するのをやめるべきだ。そのためにも、民主勢力、イスラム主義勢力を含む各政治集団は、行動規範、多党制の尊重、市民的自由、選挙結果を保障するような国家契約にまず合意する必要がある。

ソマリアの悲劇と「人道的介入」

1996年6月号

ウォルター・クラーク 前在ソマリア米国大使館・人道介入担当補佐官 ジェフリー・ハーブスト プリンストン大学准教授

ソマリアへの介入が失敗に終わったのは、ブッシュ政権が設定した人道支援という限定的目的が、のちに国連によって国家拡大の領域にまで広げられたためだと一般的に考えられている。しかし、これは真実ではない。たとえ人道的介入であっても、「破綻した国家」へ介入する場合には、介入したその瞬間から、われわれはその国家の再建(国家建設)にかかわざるをえないくなる。ソマリアの場合も例外ではなかった。実際、「軍事ならびに民生的目標のあいだには切っても切れぬ相互補完性が存在する」。国際社会は、市民社会が暴力に広く苛まれている国家に対して、その国内政治に影響を与えることも、国家建設的に関与することもなく、人道的に介入できるという幻想をまず捨て去るべきだろう。

Page Top