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パンデミックを阻止する感染症対策か犠牲者を抑え込む慢性疾患対策か
「喫煙で死亡する人々の数は、AIDS、肺炎、マラリアによる死亡者総数を上回っている」

 

先進国では、慢性疾患と感染症の双方に対処していくのは当然のことかもしれない。だが、途上国、それも途上国支援という枠組みでみると「慢性疾患対策か感染症対策か」と二者択一の選択肢になってしまう。援助資金が限られているからだ・・・         

グローバル化する非感染性(慢性)疾患
(2012年5月号
トマス・J・ボリキー/CFRグローバルヘルス担当シニア・フェロー

WHO(世界保健機関)によれば、いまやガンや糖尿病を含むNCDs(非感染性・慢性疾患)で命を落とす人々の80%が途上国に集中している。先進国では予防も治療もできるようになったが、途上国で暮らす人々にとって非感染性疾患は死の宣告を受けるに等しい。例えば、中国での脳卒中による死亡率は、フランス、日本、アメリカの4―6倍に達している。先進国では白血病に罹った子供の90%は治療で病気を克服しているが、世界の最貧国25カ国ではこの病気になった子供の90%が死亡している。・・・世界銀行によれば、タバコとアルコール製品の広告を規制し、税率を上げ、加工食品の食塩とトランス脂肪酸の使用比率を引き下げる規制を導入し、高血圧管理のためにベータブロッカー、あるいはアスピリンその他の安価な医薬品を使用するだけで、途上国の人々が慢性疾患で死亡したり、後遺症を抱え込んだりするリスクを半分に低下させることができる。だが、グローバルヘルス対策を支援する国も組織も、感染症を封じ込め、妊娠中の女性と子供の健康を改善することを優先課題に据え続けている。


インドを脅かす超薬剤耐性NDM−1の脅威
(2012年5月
ソニア・シャー/化学ジャーナリスト

インドで極端に強い薬剤耐性を持つNDM−1(ニューデリー・メタロベータラクタマーゼ)が出現している。科学者たちによると、NDM−1は、他の薬剤耐性を持つ細菌とは違って、簡単に種や属を越えてしまう。こうした病原体がパンデミックを引き起こすリスクは限りなく大きい。問題の一つはインドでは、抗生物質の使用が規制されていないことだ。処方箋がなくても、抗生物質は入手できるし、豊かな人々は風邪から下痢にいたる症状を自覚すると、そうする必要があるかどうかに関係なく、とにかく抗生物質を服用する。インドの貧困層も数ルピーを握りしめて数錠の抗生物質を買いに行く。だが、数錠の服用程度では症状を抑えることはできても、細菌を完全に殺すことはできない。こうした富裕層、貧困層双方による抗生物質の不適切な使用が薬剤耐性を持つ細菌の出現を促している。すでにインドの病院で確認されている感染症の50%以上は薬剤耐性を持つ細菌によって引き起こされている。

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感染症という新たな脅威
(1996年3月号
ローリー・ギャレット/CFRグローバルヘルス担当シニア・フェロー

人間が細菌・ウイルスに対抗していくために必要とする抗感染症薬という兵器庫は、新たな環境につねに変化・適応する細菌という脅威の前には、非現実的なまでに貧弱だ。さらに悪いことに、都市化、地球規模での人口移動の波は、人間の行動パターンだけでなく、細菌と人間のエコロジカルな関係も劇的に変化をさせている。性交渉によって感染が拡大し、しかも都市部のブラック・マーケットで抗菌薬・抗生物質が入手できるために、貴重な薬品が乱用・誤用され、その結果、新たな耐性菌が誕生している。




WHOによれば、喫煙で死亡する人々の数は、HIV・AIDS、肺炎、マラリアによる死亡者の数を上回っている。糖尿病、心臓疾患、呼吸器不全など慢性疾患に分類される疾病の多くに共通するリスクファクターが喫煙だ。

関連論文



グローバル化した非感染性疾患 (2011年11月号)
CFRブリーフィング


新型インフルエンザへの対策づくりを急げ (2005年8月号)
マイケル・T・オスタホルム

5月号掲載論文から



ベビー・ギャップ
――出生率を向上させる方法はあるのか 

スティーブン・フィリップ・クレーマー


ユーロ危機再燃は避けられない
L・アレキサンダー、J・チャン
V・ラインハルト、S・マラビー


風力・ソーラーエネルギーのポテンシャルを引き出すには 
ジェフリー・ボール


経済・貿易の世紀と伝統的外交の終わり
――TPP、知的所有権、NGO
ロバート・ホーマッツ
ティエリ・ド・モンブリアル


バッシャール後のシリア
――破綻国家化を回避せよ

ダニエル・バイマン


2012.5.14更新

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話題の論文
―最近のFARより―
ベビー・ギャップ
―― 出生率を向上させる方法はあるのか
 
スティーブン・フィリップ・クレーマー/米国防産業大学教授
ヨーロッパ経済の危機再燃は避けられない
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ルイス・アレキサンダー/野村ホールディングス アメリカ担当チーフエコノミスト
ジョイス・チャン/JPモルガン・チェース 新興市場・債券調査担当統括責任者
ヴィンセント・ラインハルト/モルガンスタンレー アメリカ担当チーフエコノミスト
風力・ソーラーエネルギーのポテンシャルを引き出すには
―― 悪い補助金からスマートな促進策への転換を
 

ジェフリー・ボール/スタンフォード大学レジデントスカラー

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ジョエル・I・クライン/ニューズコーポレーション教育部門最高経営責任者
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バッシャール後のシリア
――破綻国家化を回避せよ
 

ダニエル・バイマン/ヨーロッパ外交評議会シニア・フェロー

 
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