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8月号プレビュー
ウクライナ危機と新冷戦、解体する国と秩序
東アジアの領有権論争


不満と反発が規定する世界
(2014年8月号)
マイケル・マザー/米国防大学教授

いまや世界の主要な安全保障リスクは、怒りや反発に支配された国や社会、あるいは、社会に疎外され、取り残されて不満を募らせる集団によって作り出されている。今後、安全保障上の脅威は、傷つけられたと感じ屈辱を抱く人々が、それを克服し、自分の価値を取り戻そうと試みるプロセスのなかで出現するようになるだろう。イラク、シリア、パキスタン、そしてヨーロッパ東部における最近の展開には、このトレンドが共通して認められる。ウラジーミル・プーチン大統領のウクライナにおけるパワープレイも、これまでロシアを軽くあしらってきた欧米に対する積年の恨みを映し出している。中国も例外ではない。不満や反発が中国社会に充満していることは、メディアの報道や大衆文化、さらには教科書の記述やラディカルなネチズンによる過激な書き込みからも明らかだ。さらに日本やインド、そして西ヨーロッパでもナショナリズムが台頭している・・・

ウクライナにおけるロシアの戦争
―― 撃墜事件が明らかにしたロシアの軍事介入

(2014年8月号)
アレクサンダー・J・モティル/ラトガース大学教授(政治学)

マレーシアの民間航空機撃墜事件によって、アメリカとヨーロッパは不快な現実を直視せざるを得なくなった。それはロシアが実質的にウクライナとの戦争に関与していることだ。もはやウクライナ軍が戦っている相手は、国内の武装勢力・分離主義勢力ではない。そこにいるのはロシア軍の指揮統制下にあるロシアの兵器で武装したロシア兵だ。これまでヨーロッパ人が長く想定していなかった本当の戦争が、現にヨーロッパ大陸の東端で起きている。

ロシアとの新冷戦を管理するには
(2014年8月号)
ロバート・レグボルド/コロンビア大学名誉教授


20世紀の冷戦と現在の危機はその規模と奥行きにおいて大きく違っているが、それでも現在のロシアとの関係破綻を新冷戦と呼んでもおかしくはない。ウクライナ危機がどのような結末に終わるとしても、ロシアと欧米の関係はかつての状態に戻ることはあり得ない。これが目にある現実だ、互いに、厄介な現状の責任は相手にあると考え、非難の応酬をしている。20世紀の冷戦もそうだったが、実際には、一方の行動によってではなく、その相互作用によって緊張と対立の悪循環が作り出されている。この点を認識しない限り、相手の行動を変えることはできない。ウクライナをめぐる現在の危機、そして今後の新しい危機をめぐっても、欧米はモスクワの選択を左右するような流れや環境を形作る必要がある。対決コースが大きなコストを伴うことを双方が理解し、異なる結末へと向かわせることを意識してこれまでとは違う路線をとらない限り、緊張が緩和し、問題が解決へと向かい始めることはない。

Photo/Coutesy Reuters

いまや世界の主要な安全保障リスクは、怒りや反発に支配された国や社会、あるいは、社会に疎外され、取り残されて不満を募らせる集団によって作り出されている。今後、安全保障上の脅威は、傷つけられたと感じ屈辱を抱く人々が、それを克服し、自分の価値を取り戻そうと試みるプロセスのなかで出現するようになるだろう。(マザー)

マレーシアの民間航空機撃墜事件によって、アメリカとヨーロッパは不快な現実を直視せざるを得なくなった。それはロシアが実質的にウクライナとの戦争に関与していることだ。(モティル)



8月号プレビュー

 



 

 

 

なぜ国は分裂するのか
―― 国境線と民族分布の不均衡

ベンジャミン・ミラー
ウクライナ市民の多くは、自分たちにとって「異質なロシア」の支配から独立することを望んでいるが、一方でクリミアやウクライナ東部に暮らす人々は、(欧米志向の)「異質なウクライナ」による支配からの解放を望み、ロシアの一部となるか、ロシアと深く結びついた国を作る必要があると考えている。



 

 

 

 

トルコ国境とシリア内戦
―― なぜトルコはシリア政策を見直しているか

カレン・レイ
シリアが内戦に陥って以降、トルコ政府はシリアの反政府勢力がトルコ南部を兵士や物資の調達ルートとして利用することを認めてきた。問題は、穏健派集団とヌスラ戦線やイラク・シリア・イスラム国(ISIS)などのジハード主義集団を区別しなかったことだ。


 

 

 

 

イラクの混乱と石油市場
ジョン・スファキアナキス
スンニ派武装勢力の攻勢がイラク原油の供給を混乱させ、原油価格は大きく変動することになるのか。すでに原油価格は過去10カ月で最高のレベルへと上昇している。しかし、パニックに陥る必要はない。


 

 

 

 

中国の人工島造成戦略の意図は何か ―― 北京の戦略と南シナ海の混乱
アンドリュー・エリクソン
オースチン・ストレンジ

アイランドビルディング(人工島造成)戦略によって、永続的なインフラを誕生させれば、軍事ネットワークを築き、スプラトリー諸島への領有権対立に対抗する戦略を多角化できるようになることだろう。いまや南シナ海の混乱のなかで新たな現実が急速に形作られつつある。
 




Agenda and Current Issues
2014.07.24更新

 

 

Focal Points(過去のトップページ特集)

中国の人工島造成戦略の意図は何か
―― 北京の戦略と南シナ海の混乱
最新の経済論文から
アベノミクス、デジタル経済、日本経済のリスク
撃墜事件が明らかにしたロシア軍介入の実態
―― 流れは新冷戦へ
ウクライナ東部で何が起きているのか
―― ロシアの思惑と欧米の立場
ビッグデータの恩恵とプライバシー侵害の間
―― オンライン個人情報と「忘れられる権利」
北朝鮮の崩壊
―― 2つの見方
対立から新冷戦へ
―― 国際秩序はどう変化するか
新たな経済格差にどう対処するか
最新の経済論文から

以前のFocal Pointsはこちらから>>

最新号のご案内

【お詫びと訂正】 
「フォーリン・アフェアーズ・リポート2014年7月号」におきまして誤植がございました。お詫び申し上げ、以下の通り訂正いたします。(2014年7月11日)
● p.22 ロバート・ゲーツ「ロシア、中国と新しい外交課題」本文内

(誤)「習近平首相は明らかに指揮系統を把握している。」

(正)「習近平国家主席は明らかに指揮系統を把握している。」

 

欧米の偽善とロシアの立場
― ユーラシア連合と思想の衝突

 
アレクサンドル・ルーキン
ロシア、中国と新しい外交課題
 
ロバート・ゲーツ
米中露・新戦略トライアングルで何が変わるか
  デビッド・ゴードン
ジョーダン・シュナイダー
イラクと中東の宗派間紛争
―― イラク分裂の意味合い
  スティーブン・ビドル
マックス・ブート
ミーガン・オサリバン
イラク・シリア問題にどう対処するか
―― 分割による連邦国家化を
  レスリー・ゲルブ
デジタル経済が経済・社会構造を変える
―― オートメーション化が導く「べき乗則の世界」
  エリック・ブラインジョルフソン
アンドリュー・マカフィー
マイケル・スペンス
アベノミクスの黄昏
―― スローガンに終わった構造改革
  リチャード・カッツ
 
他全14本掲載
ガザ侵攻とイスラエルの戦略的敗北 ―― ハマスはすでに勝利を手にしている
ウクライナにおけるロシアの戦争 ―― 撃墜事件が明らかにしたロシアの軍事介入
NSAの無節操なスパイ活動 ―― 安全保障とプライバシー保護の間
追い込まれた金正恩 ―― 出口のない窮状
流れは独ロが規定する新ヨーロッパへ ―― ウクライナ危機と独ロの特別な関係
「変われない日本」の変化を読む―― ナナロク世代と改革のポテンシャル
北朝鮮の不安定化と米中関係――「北朝鮮後」に向けた米中事前協議を
ヨーロッパの文化的ジレンマ
―― 欧州と大中東の関係をどう規定するのか
ヨーロッパへ殺到するアフリカからの移民・難民
イラクの混乱と石油市場
日本経済を左右する規制緩和と労働市場改革 ―ネオリベラリズムと「第3の矢
中韓は戦略的パートナーになれるか ―北朝鮮、日本、アメリカと中韓関係

 

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