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2月号定期購読受付中 国のパワーを支える戦略とブランド

国のパワーの源泉は、力強い生産基盤、
健全な金融、そしてガバナンスにある

ポール・ケネディ/イェール大学歴史学教授

  国家パワーを支える上で重要なのは、製造技術と生産基盤、健全な金融とその健全さを保証する制度、そしてうまく計算され、優先順位を踏まえた外国へのエンゲージメントだ。この三つが国のパワーをうまく支えるための基盤だ。・・・子供の頃、リベット工のハンマーの音で目を覚ましていた人間として、私は、国内基盤こそが中核だと考えている。私は保護主義論者ではないが、生産性や強さの源泉は国内になければならないと考えている。・・・そして戦略とは、目の前にある問題への対策ではなく、より総体的で長期的なもので、それを考案するには、自分の強さと弱さに関する厳格な自己分析が必要になる。

2008年国家ブランドランキング
2008年国家ブランドランキング
Copyright (c) 2008 Nation Branding & Andreas Markessinis.

ブランド国家の台頭
ピーター・ヴァン・ハム/オランダ国際関係研究所上席研究員

 往年の伝統的外交はいまや姿を消そうとしている。政治家たちが今後、外交手腕を発揮したいのなら、ブランドの資産管理力を身につける必要がある。ニッチ・ブランドとして成り立つような自国の得意分野が何であるかを見いだし、競争の激しい市場に参入し、確実に消費者を満足させ、ブランドロイヤルティー、つまりブランドへの消費者のこだわりを形作っていかなければならない。

国家ブランディングとは何か
サイモン・アンホルト/「地域のブランディングと広報外交」誌編集長

 これまでは、国を対外的にアピールするといっても省庁単位でバラバラのことが行われてきた。観光担当の省庁は、いかに自国が美しく、多くの国の人々を魅了しているかを強調するし、投資促進を担当する省庁は、その全く反対、つまり、自国がいかに近代的で、道路や鉄道が整備され、車であふれかえっているかを強調してきた。一方、文化担当の省庁は、自国の映画産業がいかに優れているかをアピールすべきだと主張する。かたや政府は時に広報外交を展開しつつも、近隣国を批判することも多い。つまり、路線を一つにまとめない限り、自国に関する異なるメッセージを対外発信してしまうことになる。・・・・
 私が言いたい本来の国家ブランディングに関する主要なメッセージとは、国のブランドに利害関係を有するすべてのプレーヤーが協調し、どのような長期的な戦略と世界における役割を望むかについて合意できれば、思い描いているような影響力を手にできるという点にある。

シリーズ企画 日本の国益を考える
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2010年2月号のご案内
世台湾がアメリカを離れて中国の軌道に入るべき
これだけの理由
――台湾のフィンランド化を受け入れよ
 
ブルース・ジリー/ポートランド州立大学行政大学院准教授(政治学) 
 かつてフィンランドがソビエトの懐に入り、西側と東側の和解の橋渡しをしたように、台湾がフィンランド化して中国の軌道に入れば、その存在が、中国における前向きの変化をこれまで以上に刺激し、中国が平和的に台頭する可能性を高めることができる。すでに、台湾は事実上のフィンランド化路線をとっているし、中国も台湾のことを、これまでのようにナショナリズムではなく、戦略地政学の観点から冷静にとらえるようになった、これまでワシントンと北京の対立の矢面に立たされてきた台湾と中国の関係の実態は大きく変化している。今度はワシントンが、この歴史的シフトを直視し、それに適応していく番だろう。
サイバー攻撃に対する防衛策を
――サイバーインフラの多様性を高めてリスク管理を
 
ウェズリー・K・クラーク /元NATO軍最高司令官(1997年〜2000年)
ピーター・L・レビン/DAFCA社最高技術責任者
 サイバー攻撃は相手を攻撃するための魅力的な選択肢だ。陸上交通や航空の管制、電力の生産・供給、水道・下水道処理の制御、電子コミュニケーション・システム、さらには、高度に自動化されたアメリカの金融システムなど、国家にとって重要なインフラを、敵対勢力が遠隔地からネットワークを利用して混乱させようと、サイバー攻撃のターゲットにする危険もある。ソフトウェアに対する攻撃は一般に認識され、対策も進められているが、ハード部門の防衛は遅れている。(誤作動を起こすように)欠陥を埋め込まれた集積回路は、ソフトウェアとは違って、パッチをあてて修復するのは不可能であり、これは、ふだんは市民になりすまして生活し、いざとなればテロリストの本性を現す究極の「スリーパー・セル」のようなものだ。サイバー攻撃の脅威を完全に封じ込めるのはもはや不可能だが、リスクを管理していくにはシステムの多様性を高めるとともに、開放的なオープンリソースの問題解決方法に学んでいく必要がある。
CFRインタビュー
再建を超えた「新しいハイチ」の建設を
―ー再建・復興には数十年の時間と数百億ドルの
資金が必要になる
 
マーク・シュナイダー/国際危機グループ(ICG)上席副会長
 2010年1月13日にハイチのポルトーフランスを直撃した大地震による犠牲者は10〜20万人に達し、その災害の復旧には少なくとも100億ドルの資金と、数十年単位の時間が必要になると言われている。クリントン政権で米平和部隊のディレクターを務めたラテンアメリカとカリブ海地域の専門家、マーク・L・シュナイダーは、今回の地震災害を「西半球地域における史上最大の国家災害」と描写し、グローバル規模の支援活動が必要になると述べている。「最初に必要なのは、建物と家で、もう一度すべてをやり直さなれればならない」。ハイチの復興にはおそらく数十年はかかり、その支援にはばく大なコストがかかるが、その目的は過去のハイチを再現するのではなく、新しい教育システム、公共サービス機能を持つ「新しいハイチ」を建設することでなければならない、と同氏は語った。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティングエディター)
CFRインタビュー
トタル社ドマルジェリーCEOが語る
エネルギーと環境のバランス
 
クリストフ・ドマルジェリー/仏トタル社CEO(最高経営責任者)
  「今後がどうなるかについての予測もなしに長期投資を行うのは難しい」。したがって、「環境とエネルギーのバランス」に関する議論の結論がどのようなものになるか。「それが分かるのは早ければ早いほどよい」と考え、われわれエネルギー産業は焦りを感じている。だが一方で、「議論の結論次第では、われわれが想像さえしていないような極端な路線の修正を強いられるかもしれない以上、(長期投資の判断は)結論を待ったほうがよい」という考えももっている。「議論の結論が出るのは早いほうがいいが、・・・・環境とエネルギーの二者択一は良くない、バランスを取るべきだと考えている」。
CFRブリーフィング
中央・南アジアにおける中国の地政学的思惑
――5カ国(日中韓プラス米ロ)協議メカニズムの構築を
 
エバン・A・フェイゲンバーム/米外交問題評議会
                東・中央・南アジア担当シニアフェロー
  中央アジア諸国は地政学的な理由から、中国との関係を好ましく思っている。中央アジア諸国にしてみれば、この2〜3世紀にわたってこの地域を支配してきた外部パワー、つまり、ロシアに対する対抗バランスとして中国を利用できるからだ。一方、中国は、新疆ウイグルの分離独立を押さえ込むために、中央アジア諸国と協調するとともに、この地域の経済交流・改革ネットワークの中枢に新疆ウイグル自治区を位置付けたいという思惑がある。南アジアはどうだろう。パキスタンの不安定化という懸念を北京がワシントンと共有しているとは思えない。中国は、パキスタンの国内動向については、それほど気にしていない。かたや、インドはその防衛計画の中枢をパキスタンから中国へと移しつつある。戦略抑止力の信頼性が議論され、核実験をもう一度行うべきか、包括的核実験禁止条約(CTBT)はこの観点からどのような意味合いをもつかが議論されている。中国のインド戦略も、インドだけでなく、新たな米印関係というファクターが持ちまれたことで、流動化している。・・・・
  
ブレジンスキーが読み解く
三つの地政学アジェンダと今後の大国間関係
――オバマ外交の真価が問われるのはこれからだ
 
ズビグニュー・ブレジンスキー/元米国家安全保障問題担当大統領補佐官
 ブレジンスキーが「早急な対応を要する地政学アジェンダ」として具体的に特定しているのは、中東和平プロセスの再開と決着、イラン問題、アフガン・パキスタン問題。そして、重要な大国間関係として描いているのは、ロシア、中国、ヨーロッパとの関係だ。注目すべきは、「中国を経済パートナーとしてだけでなく、地政学的なパートナーとして扱う」ことをオバマ政権がすでに決めていると指摘していること、さらに、ブレジンスキー自身、「米中首脳レベルでのサミットを「地政学的な米中G2」として育んでいくべきだと提言していることだ。冷戦に敗れた事実を認め、帝国の過去へのノスタルジアをモスクワが捨て去ることが、旧ソビエト地域の安定と民主化につながると提言するブレジンスキーは、「ヨーロッパ」についても、「世界でどのような役割を果たすかについての内的なコンセンサスを持たない相手と、グローバル規模での純然たる戦略的協調を形成していくのは難しい」と厳しい判断を下している。
CFRミーティング
アフガンの現状と未来
―― 政治改革、公衆衛生、少数民族問題
 
リチャード・ホルブルック/オバマ政権アフガン・パキスタン担当特別代表
 少なくとも表面的には、イラクとアフガンへの増派策には共通点がある。……
とはいえ、二つの増派策には大きな違いもある。国際的なテロ分子が流れ込んでいたイラクとは違って、アフガンにいるのは基本的には現地のローカルな武装勢力だ。しかも、アフガン問題は隣接するパキスタンの問題と不可分の関係にある。アフガンの問題はイラクの問題以上に複雑で厄介な部分がある。……
このままでは核拡散の大潮流が起きる
――危機感をもって核不拡散レジームの再確立を
 
グレアム・アリソン/ハーバード大学政治学教授
 北朝鮮が核を開発し、イランが核開発の道を歩んでいるにも関わらず、多くの人は世界の核秩序は安定していると考えている。たしかに、核保有国の数は9カ国に留まっているし、今後、北朝鮮とイランが核保有国と見なされるような事態にならなければ、核拡散の潮流が生じ、近い将来に核保有国になると考えられる候補国を特定するのは難しいかもしれない。だが現実には、核不拡散レジームの形骸化が進み、一気に核が拡散してしまう、取り返しのつかない臨界点へと近づきつつあるし、盗み出された核によってテロが起きる危険もある。核秩序を守るための措置はすでに表明されているが、国際社会がそうした措置を現実に実行していかなければ、世界は一気に核拡散の大潮流に席巻される危険がある。今後の一年は非常に重要であり、各国が行動を起こすべきタイミングはいまだ。核不拡散レジームが崩壊したら、もはや手の打ちようはないのだから。
  
シリーズ企画 日本の国益を考える
国のパワーの源泉は、力強い生産基盤、
健全な金融、そしてガバナンスにある
ポール・ケネディ/イエール大学歴史学教授
国家パワーを支える上で重要なのは、製造技術と生産基盤、健全な金融とその健全さを保証する制度、そしてうまく計算され、優先順位を踏まえた外国へのエンゲージメントだ。この三つが国のパワーをうまく支えるための基盤だ。・・・子供の頃、リベット工のハンマーの音で目を覚ましていた人間として、私は、国内基盤こそが中核だと考えている。私は保護主義論者ではないが、生産性や強さの源泉は国内になければならないと考えている。・・・そして戦略とは、目の前にある問題への対策ではなく、より総体的で長期的なもので、それを考案するには、自分の強さと弱さに関する厳格な自己分析が必要になる。
Classic Selection2008
国家ブランディングとは何か
レサイモン・アンホルト/「地域のブランディングと広報外交」誌編集長
Classic Selection2009
金融危機後に出現する世界の姿は
――世界を主導するのはアメリカ、中国、それとも・・・
 
ジョセフ・ナイト/ハーバード大学教授
フィリップ・ゼリコー/バージニア大学教授
Classic Selection2002
ブランド国家の台頭
 
ピーター・ヴァン・ハム/オランダ国際関係研究所上席研究員

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2010年1月号のご案内

 
世界を変える四つの人口メガトレンズ
――先進国の衰退と途上国の台頭をどう管理するか
 
ジャック・A・ゴールドストーン/ジョージ・メイソン大学
                 公共政策大学院政治学教授
 21世紀の新しい現実は、世界のどの地域で人口が減少し、どこで増大するのか、どのような国で高齢者が多くなり、どのような国で若者が多くなるか、世界の人口動態の変化が国境を越えた人の移動にどのような影響を与えるかで左右される。欧米を中心とする先進国は人口面でも経済面でも衰退し、世界経済の拡大はブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、トルコ等の新興途上国の経済成長によって刺激される。しかも、若者の多い途上国から労働力不足の先進国へと大きな人の流れが必然的に起きるし、一方で、経済基盤の脆弱な途上国の若年人口が世界で大きな混乱を作り出す恐れもある。必要なのは、こうした21世紀の新しい現実に備えたグローバル構造の構築を今から始めることだ。
CFRミーティング
世界の自動車産業の再編はいかに行われたか

― GMと日産のケース
 
カルロス・ゴーン /ルノー・日産アライアンス会長
スティーブン・L・ラットナー /前米財務省自動車作業部会主要顧問
 最終的に、政府が介入しなければ、GMとクライスラーは資金不足に陥るのは分かっていた。民間市場での資金調達は望めない。・・・負債による資金調達さえ望めない状況だった。資金を投入しなければ、すでに月に80万人のペースで失業者が出ていた中西部の工業地帯でさらに300万人が失業することを意味した。政府は、そのような事態は受け入れられないと判断した。(S・ラットナー)

アメリカの自動車メーカーは、他国の企業のやり方に目を向けなかった。相手に学ぶことはないと思えば、すでにあなたはその段階で敗れている。白黒がでるまでの時間の違いはあるだろうが、必ず敗者になる。・・・今回の危機から学ぶ教訓があるとすれば、われわれは中国、インドの自動車メーカーの動向に注目する必要があるということだ。そうしない限り、われわれもまた、米企業と同じ間違いを犯すことになる。 (C・ゴーン)
CFRミーティング
「中国の台頭」の戦略的意味合い
―アジアは中国の一極支配になるのか
 
アーロン・L・フリードバーグ/プリンストン大学政治学教授
 「アメリカが積極的に関与しないアジア」が多極化していくことはあり得ない。インドが幾ばくかの対中対抗バランスを形成できるかもしれないが、アメリカが関与しなければ、基本的にアジアは、中国が支配的な影響力をもつ一極支配構造になっていく。アジア共同体については多くのことが言われているが、ワシントンが構想を支持するとすれば、アジアが開放性を維持し、他の世界との統合を重視し、そこでアメリカが重要な役割を果たし続ける場合だけだろう。アジア諸国の多くも、アメリカがそうした役割を果たし続けるのを望んでいると思う。(A・フリードバーグ)
 
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