2020.12.26.Sat

<1月号プレビュー>
コロナ後の経済再建を考える、ワクチンへの過大な期待と幻滅、中国が望む世界

2009年と比べて今回は財政政策上より多くの手を打てる。グローバル金融危機後の2009年1月におけるアメリカの債務残高が国内総生産(GDP)の50%未満だったのに対して、パンデミックを経たバイデンの大統領就任時には債務がGDPの100%におそらく達していることを考慮すれば、この見方は間違っているようにも思えるかもしれない。だが、かつてと現在では金利に違いがある。2009年1月の段階で10年国債の実質金利はおよそ2%だったが、2021年1月のそれはマイナス1%程度になると考えられる。バイデンがキャンペーンで約束してきた政策を実施すれば、回復は加速する。景気サイクルとワクチンも追い風を作り出すはずだ。(ファーマン)

将来のアウトブレイクリスクを排除するには、世界人口の70%がワクチンの接種あるいは感染と回復を通じて、コロナウイルスの免疫を獲得する必要がある。COVID19に感染したのは世界人口の10%と推定されるだけに、グローバル規模のワクチン接種でリスクを抑え込むのは非常に難しい。ソーシャルメディアを通じて拡散される反ワクチンのプロパガンダや偽情報が・・・ワクチンへの信頼を貶めるかもしれない。有効なワクチンの供給で、コロナ危機が終わるわけではない。迅速な勝利がもたらされることはなく、むしろ、ウイルスとの長期に及ぶデタントの時代の始まりになる可能性が高い。(ミショー、ケイツ)

世界第2位の経済大国である中国が、ライバルが規定した条件で世界秩序に参加するはずはない。特に、2008年のグローバル金融危機以降、中国指導部は、自国の権威主義的統治システムは、自由主義国家に至るプロセスにおける一つの形態ではなく、それ自体が目的地であると明言するようになった。明らかに国際秩序を作り替えることを望んでいる。今後の展開にとっての重要な鍵は、中国が世界における自らの野心を、他国にとってある程度許容できるものにできるかどうかだ。現実には、もっともらしい新世界秩序を作る中国の能力を脅かしているのは、その権威主義体質に他ならない。(ミッター)

コロナ後の経済再建を考える
―― 債務増でも積極財政をとるべき理由

2021年1月号 ジェイソン・ファーマン  ハーバード大学ケネディスクール 教授(経済政策)

2009年と比べて今回は財政政策上より多くの手を打てる。グローバル金融危機後の2009年1月におけるアメリカの債務残高が国内総生産(GDP)の50%未満だったのに対して、パンデミックを経たバイデンの大統領就任時には債務がGDPの100%におそらく達していることを考慮すれば、この見方は間違っているようにも思えるかもしれない。だが、かつてと現在では金利に違いがある。2009年1月の段階で10年国債の実質金利はおよそ2%だったが、2021年1月のそれはマイナス1%程度になる。現在の公的債務がかつて以上に大きいとしても、キャリーコスト(持ち越し費用)は少なくて済む。バイデンがキャンペーンで約束してきた政策を実施すれば、回復は加速する。景気サイクルだけでなく、ワクチンも追い風を作り出すと期待したい。

ワクチンへの過大な期待と幻滅
―― 迅速な勝利は期待できない

2021年1月号 ジョシュ・ミショー  カイザーファミリー財団グローバルヘルス 政策担当アソシエートディレクター ジェン・ケイツ  カイザーファミリー財団グローバルヘルス&HIV 政策担当ディレクター 上席副会長

将来のアウトブレイクリスクを排除するには、世界人口の70%がワクチンの接種あるいは感染と回復を通じて、コロナウイルスの免疫を獲得する必要がある。COVID19に感染したのは世界人口の10%と推定されるだけに、グローバル規模のワクチン接種でリスクを抑え込むのは非常に難しい。途上国へのワクチン供給に遅れが生じるのも、ワクチン接種をいやがる人が出てくるのも避けられない。ソーシャルメディアを通じて拡散される反ワクチンのプロパガンダや偽情報が・・・ワクチンへの信頼を貶めるかもしれない。有効なワクチンの供給で、コロナ危機が終わるわけではない。迅速な勝利がもたらされることはなく、むしろ、ウイルスとの長期に及ぶデタントの時代の始まりになる可能性が高い。

中国が望む世界
―― そのパワーと野心を検証する

2021年1月号 ラナ・ミッター  オックスフォード大学教授(現代中国史・政治)

世界第2位の経済大国である中国が、ライバルが規定した条件で世界秩序に参加するはずはない。特に、2008年のグローバル金融危機以降、中国指導部は、自国の権威主義的統治システムは、自由主義国家に至るプロセスにおける一つの形態ではなく、それ自体が目的地であると明言するようになった。明らかに国際秩序を作り替えることを望んでいる。中国は間違いなく、国際社会の「舞台中央に近づきつつある」と習はすでに宣言している。今後の展開にとっての重要な鍵は、中国が世界における自らの野心を、他国にとってある程度許容できるものにできるかどうかだ。現実には、もっともらしい新世界秩序を作る中国の能力を脅かしているのは、その権威主義体質に他ならない。

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本誌最新号紹介

2021年1月号(2021年1月10日発売)

Contents

  • コロナ後の経済再建を考える
    ―― 債務増でも積極財政をとるべき理由

    ジェイソン・ファーマン

  • 新大統領が直面する内外のアジェンダ
    ―― バイデンが生かすべき機会を検証する

    サマンサ・パワー

  • ワクチンへの過大な期待と幻滅
    ―― 迅速な勝利は期待できない

    ジョシュ・ミショー 、 ジェン・ケイツ

  • CFR Blog
    ワクチン開発と集団免疫
    ―― 米中免疫ギャップの意味合い

    ヤンゾン・ファン

  • 農村地帯で続く小さなアウトブレイク
    ―― コロナ危機が長期化する理由

    タラ・C・スミス

  • 中国が望む世界
    ―― そのパワーと野心を検証する

    ラナ・ミッター

  • 「アメリカは敗北しつつある」
    ―― 米中競争についての北京の見方

    ジュリアン・ゲワーツ

  • 中国のグローバルドローン戦略
    ―― 対抗するか、取り残されるか

    マイケル・C・ホロウィッツ、ジョシュア・A・シュワルツ 、マシュー・ファーマン

他全9本掲載

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