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中国は貿易戦争をどうみているか
―― 自らを追い込んだトランプの強硬策

アンドリュー・J・ネーサン コロンビア大学教授(政治学)

How China Really Sees the Trade War
Xi Still Believes He has the Upper Hand

Andrew J. Nathan アメリカのアジア研究者で、コロンビア大学教授(政治学)。専門は中国の外交政策、政治、人権問題など。天安門文書の共同編者。本誌に掲載された論文には「儒教とアジアの政治―― 中国が『民主主義』という表現を使う理由」(2012年12月号)「北京はアメリカと世界をどうみているか」(2012年9月号)「中国の意図は何か」(2011年8月号)などがある。

2019年8月号掲載論文

ナバロとライトハイザーは、「世界経済におけるアメリカの主導的役割を維持するには、中国の経済モデルを抜本的に変化させるしかない」という立場をトランプに受け入れさせ、強硬策に出た。しかし、貿易戦争は、ワシントンが考えるほど大きな痛みを中国に強いていないようだ。2019年に入って最初の5カ月で、中国の対米輸出は4・8%減少したが、同時期に、中国にとって最大の貿易相手である欧州連合(EU)への輸出は14・2%上昇し、EUからの輸入も8・3%上昇している。一方、アメリカの対中輸出は2019年に入って以降の最初の5カ月で26%以上の落ち込みをみせた。農業を含む、数多くの米セクターのダメージはかなりのレベルに達している。有利な状況を手にしているのは中国であり、北京に妥協するつもりはない。貿易戦争、米中経済の切り離しのあるなしに関わらず、中国はアメリカからの経済独立コースを着実に歩み続けている。

  • 中国の基本姿勢
  • なぜ受け入れられないか
  • どちらが有利な状況にあるか
  • 米中経済の切り離し

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