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欧米に背を向けたドイツ
―― 中ロとの関係強化を模索する理由

ハンス・クンナニ 欧州外交問題評議会 リサーチディレクター

Leaving the West Behind ―― Germany Looks East

Hans Kundnani 欧州外交問題評議会 リサーチディレクター。専門はドイツ外交

2015年1月号掲載論文

ドイツは欧米同盟に留まることが経済的、軍事的に不可欠だとはもはや考えていない。ベルリンの壁崩壊とEUの拡大は、アメリカに軍事的に依存する必要性からドイツを解放し、しかも、ドイツの輸出主導型経済は、ロシアや中国市場への依存を強めている。これは、アメリカ主導の対ロ制裁への参加を決定する際に、メルケル首相が制裁に反対する経済界からの大きな圧力に直面したことからも明らかだろう。・・・ドイツは中国との経済関係の強化も模索している。「アジア版クリミア編入」が起きて、アメリカが中国との深刻な対立局面に陥った場合、ドイツはどう動くだろうか。おそらく中立を選ぶはずだ。・・・EUにおける大きな影響力をもっているだけに、中ロとの関係強化を模索するドイツ外交の変化は、ヨーロッパ外交にも大きな影響を与えずにはおかないだろう。・・・・

  • ドイツは欧米に背を向ける?
  • 「ジャーマン・パラドックス」
  • 反米感情の高まり
  • 新しい東方外交
  • 中国への接近
  • ドイツのヨーロッパ

<ドイツは欧米に背を向ける?>

2014年3月に起きたロシアによるクリミア編入という事態を前に、ドイツは大きな戦略的衝撃を受けた。ロシアの行動が、冷戦終結以降、ドイツが当然視してきたヨーロッパの安全保障秩序の前提を唐突に覆してしまったからだ。

冷戦後の20年にわたって、ベルリンはモスクワとの政治・経済関係の強化に努めてきたが、今回の行動からみて、ロシアはヨーロッパとのパートナーシップなどまったく気に懸けていないのかもしれない。一方、天然ガスの供給をロシアに依存し、ロシアが重要な輸出市場であるにも関わらず、アンゲラ・メルケル首相は対ロシア経済制裁に参加することに最終的に合意し、他のヨーロッパ諸国が制裁に参加するように説得する役目さえ引き受けた。とはいえ、ウクライナ危機は、ドイツと欧米との関係に関する重大な疑問を再浮上させた。・・・

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