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知能ロボットと暗黒時代の到来
―― 高度に社会的なロボットの脅威

アイラ・レザ・ノーバクシュ カーネギーメロン大学ロボット工学研究所 教授

The Coming Robot Dystopia

Illah Reza Nourbakhsh カーネギーメロン大学ロボット工学研究所 教授

2015年8月号掲載論文

現状では、すべての社会的交流は人対人によるものだが、すでにわれわれは人工知能が人の交流の相手となる時代の入り口にさしかかっている。ほぼすべての雇用が脅かされ、新しいテクノロジーから恩恵を引き出せる人はますます少なくなり、失業が増大し、経済格差がさらに深刻になる。さらに厄介なのは、伝統的に人間関係を規定してきた倫理・道徳観に相当するものが、人間とロボットの間に存在しないことだ。ロボットが、人間のプライバシーや物理的保護を心がけ、道義的な罪を犯すことを避けようとする衝動をもつことはない。知能機械はいずれ人の心をもてあそび、十分な情報をもち、どうすればわれわれの行動に影響を与えられるかを学ぶようになる。つまり、「高度に社会的なロボット」によって人間が操られる危険がある。

  • 人間と交流するロボット
  • 諸刃の剣
  • 社会と知能機械
  • 人間とロボットの交流
  • 適切な規制を

<人間と交流するロボット>

「ロボティックス革命」と言う言葉から、「そう遠い未来ではないが、現在とはまったく違う世界」をイメージする人も多いだろう。だがロボット革命はすでに進行し(われわれの世界に入り込んでいる)。軍事ロボットが戦場に姿を現し、空にはドローンがいる。自律走行車が実証実験され、音声、ビデオを組み合わせ、ネットワーク上で「空間を共有」する「テレプレゼンス・ロボット」で地球の反対側にいる人ともコミュニケーションがとれる。だが、エキサイティングで人を惹きつけてやまないこうしたテクノロジーの進化も「人間とロボットの接触の増大が社会にとって何を意味するか」という奥深くも憂鬱な問題を考慮すれば、手放しでは喜べないだろう。

政府、企業、市民のために現実世界の膨大な情報を収集・解釈して対応するロボットテクノロジーが、人々の生活をより豊かにし、社会をより先鋭的なものへ変化させていくのは間違いない。しかし、ユートピアの正反対の「ディストピア社会」を出現させる恐れもある。もちろん、「マトリックス」や「ターミネーター」といったハリウッド映画のストーリーのように、知能機械が人類を奴隷化し、皆殺しにしようとする、悪夢のような未来の瀬戸際にあると言うつもりはない。しかし、これらの映画が示す悪夢紛いの幻想のなかにも、一片の真理が含まれている。それは、「人間としての集団的アイデンティティ」が危機に晒される恐れがあることを含めて、ロボット時代の到来が恩恵だけでなく、弊害を伴うことだ。・・・

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