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精密農業と農家なき農業の時代
―― テクノロジーが農業を根底から覆す

ジェス・ローエンバーグ=デボア パデュー大学教授(農業経済学)

The Precision Agriculture Revolution

Jess Lowenberg-Deboer パデュー大学教授(農業経済学)。

2015年5月号掲載論文

1980年代に地球測位システム(GPS)テクノロジーが民間利用に開放され、ここに精密農業の基盤が提供された。適切な場所に適正な量の資材(農薬、肥料、水など)の投入を行う可変作業技術(VRT)を用いた装置や機械が市場化され、例えば、農地の各部分にそれぞれ適正な量の肥料を与えられるようになった。トラクターをGPSで誘導し、(収穫量を測定しながら作業を行える)収量モニタリングも実現した。いまやビッグデータを農業に生かすこともできる。だが、農業を大きく変貌させるテクノロジーはやはりロボットだろう。ロボットなら農作物の生育をつぶさに調べ、害虫や病気を早い段階で発見できる。特定の害虫や病気にかかった植物だけを対象に農薬を散布できる。これらが実現すれば、世界の農業生産性は劇的に向上するだけでなく、農業の歴史が根本から覆される。「農家なき農業の時代」がやってくる。

  • 精密農業時代の幕開け
  • GPSと可変作業機
  • 収量モニタリング
  • GPSとトラクター
  • 農業ビッグデータの活用
  • ロボットが人間を駆逐する?

<精密農業時代の幕開け>

数世紀前に始まった農業は土地の特性に多くを左右された。黎明期における農家は一つの植物を育てる庭師のようなものだった。彼らは、栽培する農作物になじみのよい地表の気象(微気象)や土壌を探し求めた。その後、科学的知識と農耕機械の専門知識を身に付けた農家は、土を耕し、肥やしを与え、年毎に作付けする作物を変える基準化されたアプローチを通じて耕作面積を増やし、収穫量を増大させていった。時間が経過するともに、栽培適性の高い土壌を作り、害虫から作物を守るためのよりよい方法を開発し、ついには農業の労役を大きく軽減する機械化も実現した。

19世紀以降、科学者たちは化学的殺虫剤を発明し、より生産的な農作物のために遺伝子情報を応用するようになった。これらの技術革新によって農業生産性は全般的に強化された。取り残される農業部門もあったが、それでも、収穫量はかつてないレベルに達した。なかには、19世紀から現在までに、単位あたり収穫量が10倍に増えた農作物もある。・・・

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