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市場創造型イノベーションのパワー
―― 経済を成長させるイノベーション
とは

ブライアン・C・メズー ハーバード・ビジネススクール フェロー、クレイトン・M・クリステンセン ハーバード・ビジネススクール教授、デレク・ファン・ビーバー ハーバード・ビジネススクール 上級講師

The Power of Market Creation
―― How Innovation Can Spur Development

Bryan C. Mezue ハーバード・ビジネススクール 成長とイノベーションフォーラム・フェロー。
Clayton M. Christensen ハーバード・ビジネス・スクール教授で、経営コンサルティング会社であるイノサイトの共同設立者。主な著書に『イノベーションのジレンマ』がある。
Derek Van Bever ハーバード・ビジネススクール 上級講師。成長とイノベーションフォーラムのディレクター。

2015年2月号掲載論文

雇用を創出するのは社会でも政府でも産業でもない。それは企業とその経営者たちだ。支出、投資、雇用の判断を下すのは起業家と企業に他ならない。そしてこれらの判断が市場創造型イノベーションへと向かえば、国は持続的成長と繁栄の恩恵に浴する。その好例が戦後の日本経済だ。これまで日本の戦後経済の成功は、国家のプライドと力強い労働倫理、政府のビジョン、優れた科学・技術教育といった要因で説明されてきた。だが、その成功はバイク、自動車、家電、事務機器、鉄鋼などのセクターにおける市場創造型イノベーションに起因していた。ホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハというバイクメーカーは国内市場での需要の掘り起こしを競い合い、その後、同じ戦略を外国市場でも試みた。家電部門(パナソニック、シャープ、ソニー)、自動車部門(日産とトヨタ)、そして事務機器部門(キャノン、京セラ、リコー)も、これと同じパターンで成功した。市場創造型イノベーションで戦後日本は成功を収め、このモデルが世界に広がっていった。・・・

  • 何が経済を成長させるのか
  • イノベーションの三つのタイプ
  • 日本から始まった市場創造型イノベーション
  • 経済を成長させる投資とは
  • 途上国で持続的成長を実現するには
  • 問題の内部化を

<何が経済を成長させるのか>

経済成長分析の多くは、その要因をグローバルあるいは国家レベルの経済環境やインセンティブに求めがちだ。例えば、地理や地形、人口動態、天然資源、政治環境、文化、政策のような要因と関連づけて経済的な繁栄と成長が説明されてきた。なぜ特定のセクターが他のセクターよりも繁栄しているかを説明するために、産業レベルの違いが重視されることもある。

だが結局のところ、雇用を創出するのは社会でも政府でも産業でもない。それは企業とその経営者たちだ。支出、投資、雇用の判断を下すのは起業家と企業に他ならない。

経済成長に関するわれわれの研究は、(政府による)トップダウンではなく、ボトムアップの視点、つまり、企業と経営者たちの役割を重視した。この視点で経済をみると、それがどのタイプのイノベーションであるかで、経済と雇用の拡大が大きく違ってくることがわかる。

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