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CFR Meeting
高齢社会を前向きにとらえよ
―― 危機を機会に変えるには
 

ジョセフ・F・カフリン/MIT エイジラボ所長
ケリー・ミッチェル/AEGON USA 上席副会長
マイケル・W・ホーディン/CFRグローバルヘルス担当シニア・フェロー

 

「高齢化をとらえる上で重要なポイントは、長生きすることよりも、より幸せに生きるという視点を持つことだ。・・・隔離された高齢者の世界を形作るのは魅力的な選択ではない。・・・生涯で60−70年におよぶかもしれない勤労期間において3つか4つの異なる職種に就けるような制度が必要だろう」。(J・カフリン)

「すでにアメリカでは老後は(公的支援だけではなく)自助で支えるべきで、引退後に備えておくべきだとみなす文化へと向かっている。・・・現在の仕事に、引退年齢を超えてさらに10−15年働けるかどうかは、どのような企業や産業で働いているか、その企業や産業が、(引退年齢に達した)従業員がそれまでの経験から身につけている知的資本を評価するかどうかに左右される」。(K・ミッチェル)

「90歳の老人の面倒をどのようにみるかという視点も大切だが、経済成長を実現し、財政の持続性の問題を解決することにもっと焦点を合わせる必要がある。・・・20世紀以降、現在までに平均寿命は約30年延びている。われわれが90歳まで生きるのなら、引退年齢やそれに伴う政策も変化させなければならない」。(M・ホーディン)


CFR Meeting
不安定な新世界、動かない資金
――長期ビジョンとコンフィデンスの喪失
 

ローレンス・D・フィンク/ブラックロック理事長兼最高経営責任者

 

一言で言えば、われわれは、さまざまな台風が重なり合って巨大な嵐を作り出すパーフェクトストームに直面しているようなものだ。高齢化する人口、経済のデレバレッジ、世界経済の成長エンジンの(新興国への)シフトと雇用の変化、そして低成長と低配当のなかでの所得格差の拡大が重なり合っている。これが、人々がまさによりよい配当とより優れた経済機会を求めているタイミングで起きている。パーフェクトストームのなかにある以上、コンフィデンスは損なわれ、ボラティリティが高まる。誰もが、現在の強い風がどこに向かうかを気にしている。・・・必要なのは教育への投資を含む、長期的投資、そして市場を再び動かし、成長を回復し、貯蓄を長期的な投資に置き換えていくためのコンフィデンスを再生することだ。(L・フィンク)


なぜ世界銀行は依然として必要か
――変化する世界と変貌する多国間組織

 

ロバート・B・ゼーリック/世界銀行グループ総裁

 

世界銀行を含む、国際機関はそのプロセスと議論にばかりエネルギーを奪われ、重要な活動効率をないがしろにしてしまうことが多い。とかくイニシアティブが抑え込まれがちな世界銀行のような多国間組織にとって、結果を重視する現実主義を持つこと、特に、結果を出すことのコミットメントを示すことが重要だ。結果を出すことで、組織としての士気が高まり、財的支援を確保できるようになり、説明責任と正統性も強化される。この5年間にわたって私が試みた世界銀行近代化の試みは、より大きな多国間主義を近代化する試みの一部だった。世界銀行の活動目的を「援助を超えた領域」へと引き上げ、「途上国の依存状況を克服すること」へと設定し直す必要がある。世界各国は現在の経済危機を克服して、「援助を越えた世界」を実現するための基盤を築く必要があり、この点からみても、世界は依然として世界銀行を必要としている。


政治から離れ、宗教へ回帰する米宗教界
  ―― 宗教右派台頭の一方で進む宗教離れ
 

デヴィッド・E・キャンベル/ノートルダム大学准教授
ロバート・D・パットナム/ハーバード大学教授

 

この20年にわたって「教会のミサに参加するかどうか」が、共和党と民主党の有権者を分ける大きな指標とされてきた。現状では、宗教がアメリカ政治、特に右派勢力の立場に与える影響が非常に大きくなっているが、この現実に対する反発も大きくなっている。保守的価値、宗教的価値が否定された1960年代の反動として、その後、福音派を含む、伝統的な宗教が復活したが、いまや、この20年間で組織化され、政治的な影響力を増した宗教組織に対する反発が若者を中心に大きな広がりをみせている。特にアメリカの若者たちは、「宗教心をもつことがたんに保守政治を支持することを意味するのなら、宗教にはかかわらない」と考えている。宗教右派の台頭と宗教の政治化を前に、多くの人が宗教そのものに背を向け始めている。共和党指導者にとって頭が痛いのは、支持層の一部が強く支持する政治と宗教の融合というテーマに対して、一般有権者がますます嫌悪感を示し始めていることだ。


Classic Selection 2011
米ポピュリズムの歴史と今日的意味合い
―― ティーパーティー運動が揺るがすアメリカの政治と外交

  ウォルター・ラッセル・ミード/アメリカン・インタレスト誌コントリビューティング・エディター
 ポピュリストの政治的エネルギーが高まる一方で、主流派メディア、外交エスタブリッシュメントに始まり、金融企業、一般企業の経営陣、そして政府にいたるまでの確立されたアメリカの組織への信頼が失墜しつつある。現在のポピュリスト運動の代名詞であるティーパーティー運動は、彼らが「憶測を間違え、腐敗している」とみなす各分野の専門家に対する反乱とみなせる。しかも、2010年3月にアメリカで実施された世論調査では、回答者の37%がティーパーティー派を支持すると答えており、これは、少なくとも1億1500万のアメリカ人がティーパーティー運動になんらかの共感を示していることを意味する。アメリカの政策決定者、そして外国政府の高官たちは、アメリカ政治における主要な勢力であるポピュリストを十分に理解せずして、もはや米外交に関する適切な判断を下すことができなくなっていることを認識する必要がある。

宇宙探索を続けるべき理由

 

ニール・ドグラース・タイソン/アメリカ自然歴史博物館ヘイデンプラネタリユム館長

 天体物理学者、生物学者、化学者、エンジニア、惑星地質学者などでチームを組む宇宙探索ほど領域を越えた技術の応用を促すものはない。例えば、宇宙の天文台ともいわれるハッブル宇宙望遠鏡の画像処理をめぐる技術革新が医療分野に応用され、マンモグラフィーを通じたガンの早期発見に役立てられ、多くの女性たちがガンの脅威から解放されている。だが、いまや財政、党派対立に足をとられて、アメリカの宇宙開発計画は停滞し、一方で中国が自立的な宇宙志向国家(スペースパワー)への道を着実に歩みつつある。例えば、火星の地表にはなぜ液体が存在しないか。何か悪いことが火星に起きたわけで、似たようなことが地球でも起きていないかどうか、その兆候を特定することは非常に重要だ。経済的に困難な時代にあるとしても、宇宙探索への投資は経済を刺激し、人々の期待を満たし、次世代の人々の夢を育むことができる。


集約的畜産の悪夢
―― 残虐な集約的畜産はもはや限界を超えている

 

ミュン・パク/グローバル動物パートナーシップ事務局長
ピーター・シンガー/プリンストン大学教授(生命倫理学)

 畜産動物たちはひどい目に遭わされている。世界の多くの場所で、ますます多くの動物たちが、自然環境とは似ても似つかぬ環境に押し込められ、物理的な限界を超えてもっと多くの卵、牛乳、肉を生産するよう追い立てられている。「集約的畜産」が最初に考案された欧米で残酷な飼育が問題視され、是正と段階的廃止が進んでいるまさにそのとき、それが粗野なスタイルのままで世界各地に導入され拡散している。だが、世界市場向けに飼育される動物が増えるにつれて、また、動物たちがどのように取り扱われているかを示す映像を見る機会が増えるにつれて、動物の保護に対する政策立案者や企業関係者、非政府組織(NGO)、そして一般市民の関心は高まっている。もはや各国政府が国内での動物の保護を考えるだけでは十分ではない。動物の苦痛を軽減し、畜産業が意図せぬ、そして望まぬ結果が引き起こされるのを避けるには、今こそグローバルなコミットメントを示す必要がある。

Foreign Affairs Update
暗闇で輝く豚肉と爆発するスイカ
―― なぜ中国の食品は危険なのか

 

トマス・トンプソン/リージェントグループ・リサーチディレクター

 

4年前のメラミン混入粉ミルク事件以降も、中国では、殺虫剤が混入したハム、紛い物の粉ミルク、汚染されたビーフン、不純物が混入したピクルス(酢漬け野菜)、発がん性物質の入ったチリソース、危険な抗菌剤で汚染された魚の缶詰などを市場に送り出した企業が摘発されている。最近でも、暗闇で輝く豚肉、成長促進剤を添加されて爆発するスイカ、より新鮮に見せるためにブリーチされたマッシュルーム、カビを隠すためにその上をデンプンでカバーした食パンが市場に出回っている。これは中国だけの問題ではない。グローバル化によって、中国の食品が世界に広く出回っている。あなたがアップルジュースを飲み、タラ、缶詰の桃、マッシュルーム、ホウレンソウを口に運ぶとき、それが中国産である可能性は高い。


中国発サイバー攻撃とサイバーセフトにどう対処するか

 

アダム・シーガル/米外交問題評議会シニアフェロー

 

サイバー攻撃やそれに準じた行動によって、企業と政府は貴重な知的財産や重要な軍事機密を盗み出されている。米政府は最近まで、サイバー攻撃の黒幕を名指しすることをためらってきたが、ほとんどの専門家は、これらの攻撃の多くは中国からのものだと考えている。情報機関はアメリカを対象とする攻撃の一部については、それが誰の仕業によるものかすでに突き止めており、アメリカは特定のコンピューター、個人、金融データを攻撃のターゲットにできる状態にあり、すでにサイバー空間における攻撃的な作戦の実施を民間企業に依頼しているかもしれない。中国政府に外交ルートで対処を求めても、米中ではインターネットへの概念がまったく違うだけに、効果があるとは考えにくい。現状では、中国人ハッカーたちの攻撃のコストを上昇させるとともに、自国のネットワークセキュリティーを向上させるしか手はない。


Foreign Affairs Update
イスラエルのイラン空爆後、何が起きるか

 

エフード・エイラン/前イスラエル政府官僚

  

CFR Interview
日本のエネルギージレンマ
―― 再生可能エネルギーへのシフトを阻む文化的要因

 

チャールズ・ファーガソン/米科学者連盟会長

 

日本はこれまで最先端の原子力技術の開発を試み、この領域のリーダーになることを目指してきた。だがフクシマを経たいま、原発施設の再稼働に向けて社会の支持を得られるかどうか、先の見えない状況に追い込まれている。・・・現在日本は、(原発停止による電力生産の低下を火力発電で埋め合わせようと)より多くの液化天然ガス(LNG)を輸入しているが、LNG価格はかつての3倍のレベルへと上昇している。しかも、(日本の現実を考えると)原子力による電力生産の多くを再生可能エネルギーに置き換えていけるとも思えない。日本は風力、ソーラー、地熱などの再生可能エネルギーの促進を阻む構造的な障害を持っているからだ。電力会社も関係省庁も「大規模な電力生産施設」を好む文化的体質を持っており、風力やソーラーなどの基本的に「分散型」の技術導入には難色を示す傾向がある。この文化を政治的な意思とリーダーシップで変化させていくには、かなりの時間がかかるだろう。


Foreign Affairs Update
フクシマ危機を前にホワイトハウスはどう動いたか
――米市民の保護か日米関係への配慮か

 

ジェフリー・A・ベーダー/前米国家情報会議東アジア担当シニアディレクター

 

われわれはフクシマ第1原発で何が起きているかの情報収集に奔走した。「日本政府は分かっていることのすべてをわれわれに伝えるつもりはなく、状況を取り繕っているのではないか」と考える者もいた。大統領の科学技術担当顧問を務めるジョン・ホルドレンは、「原子炉内の状態を把握するための装置がどれも機能していない以上、大枠の情報しか入手できないのは無理もない」と日本側の対応に一定の理解を示した。・・・だが、フクシマの事態が容易ならざるものであることは明らかだった。・・・われわれは、日本からの避難を求める米大使館や軍関係者のアメリカ人家族(配偶者や子供)の意向を尊重したかった。しかし、それを認めれば日本社会をパニックに陥れる恐れがあった。・・・将来の日米関係にダメージが出ないようにする必要もあった。・・・


 

 

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