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歴史の未来 ―― 中間層を支える思想・イデオロギーの構築を |
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フランシス・フクヤマ/スタンフォード大学シニアフェロー |
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社会格差の増大に象徴される現在の厄介な経済、社会トレンズが今後も続くようであれば、現代のリベラルな民主社会の安定も、リベラルな民主主義の優位も損なわれていく。マルキストが共産主義ユートピアを実現できなかったのは、成熟した資本主義社会が、労働者階級ではなく、中産階級を作り出したからだ。しかし、技術的進化とグローバル化が中産階級の基盤をさらに蝕み、先進国社会の中産階級の規模が少数派を下回るレベルへと小さくなっていけば、民主主義の未来はどうなるだろうか。問題は、社会民主主義モデルがすでに破綻しているにも関わらず、左派が新たな思想を打ち出せずにいることだ。先進国社会が高齢化しているために、富を再分配するための福祉国家モデルはもはや財政的に維持できない。古い社会主義がいまも健在であるかのように状況を誤認して、資本主義批判をしても進化は期待できない。問われているのは、資本主義の形態であり、社会が変化に適応していくのを政府がどの程度助けるかという点にある。 |
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| リベラルな民主主義の奇妙な勝利そして停滞 |
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シュロモ・アヴィネリ/ヘブライ大学政治学教授 |
| | なぜ20世紀に民主主義が生き残り、ファシズムも共産主義も淘汰されてしまったのか。1930年代から21世紀初頭にいたるまで、ヨーロッパ全域が民主化すると考えるのは現実離れしていたし、リベラルな民主主義が勝利を収める必然性はどこにもなかった。なぜ、社会に提示できるものをもち、圧倒的な力をもっていたマルクス主義がリベラルな民主主義に敗れ去ったのか。そしていまや、多くの人が(民主主義を支える経済制度である)資本主義が経済利益を広く社会に行き渡らせる永続的な流れをもっているかどうか、疑問に感じ始めている。ヨーロッパとアメリカの昨今の現実をみると、民主的政府は危機に適切に対応できず、大衆の要望を満たす行動がとれなくなっている。現在、世界が直面する危機によって、市場原理主義、急激な民営化、新自由主義では、「近代的でグローバル化した経済秩序をどうすれば持続できるか」という問いの完全な答えにはなり得ないことがすでに明らかになりつつある。・・・ |
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| 国際通貨システムの未来 ―― 再現されるのは1930年代か1970年代か |
| | バリー・エイケングリーン/カリフォルニア大学経済学教授
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米欧経済がともに深刻な危機に直面しているために、ドルとユーロへの信任が揺らぎ始め、国際通貨システムそのものが動揺し始めている。1930年代の国際通貨システムの崩壊は、経済活動を抑え込み、政治的過激主義を台頭させて、世界を壊滅的な事態へと導いた。対象的に1970年代のブレトンウッズ体制の崩壊はグローバル経済にダメージを強いたが、致命傷を与えることはなかった。金、小国の通貨、人民元、SDRと、現状におけるドルやユーロの代替策はどれも問題があり、結局、現在の国際取引を支えられるのはドルとユーロだけだ。しかし、この二つの通貨の安定に対する懸念がさらに高まり、各国の中央銀行が保有するドルとユーロを手放していけばどうなるだろうか。1930年代に外貨準備を清算したときと同様に、資本規制策をとって資本の流れを制限するしかなくなる。1930年代、1970年代、われわれは今後どちらのシナリオを目にすることになるのか。グローバル経済の運命は生死の縁をさまよっている。 |
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人民元の国際化路線を検証する ――中国のドル・ジレンマと経済モデル改革論争 |
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セバスチャン・マラビー/外交問題評議会地政経済学センター所長 オリン・ウェシングトン/元米財務省国際関係担当次官補
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中国は人民元の国際化路線を促進しているが、人民元がドルに取って代わるには程遠い状態にある。経済規模やその他の指標で中国はアメリカに近づいているが、中国が金融覇権を握るとは現段階では考えにくい。むしろ注目すべきは、人民元の国際化路線が、中国の経済モデル変革の水面下に潜む深刻な内部抗争を映し出していることだ。改革派は、過剰な輸出依存は危険であり、中国は国内消費を増大させることで経済成長のバランスをとる必要があると考え、保守派は頑迷に現状維持を主張してきた。だが、金融危機によって中国の脆弱性が浮き彫りにされた結果、「ドルの罠」論への対策として人民元の国際化が公的目標に据えられている。こうして中国政府は現実には両立し得ない道を歩んでいる。輸出を促進しながらドル建て外貨準備を減らし、預金者の犠牲のもとに低金利融資を特定の企業に提供しながら、国内消費を増大させることを目指している。矛盾する路線は中国をどこへ導くのか。 |
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| いまこそイランを軍事攻撃するタイミングだ ―― 封じ込めは最悪の事態を出現させる |
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マシュー・クローニッグ/前米国防長官室ストラテジスト |
| | アフガンとイラクでの戦争がやっと幕引きへと向かい始め、米財政が苦しい状況に追い込まれるなか、アメリカ人はさらなる紛争など望んではない。しかし、イランの核開発が成功した場合に何が起きるかを考えれば、状況を傍観することは許されない。イランの核施設に対する慎重に管理された空爆作戦をいま実施した方が、核武装したイランを数十年にわたって封じ込めるよりも、はるかにリスクは小さくて済む。実際、現状を放置して核武装を許し、核を持つイランを封じ込めていくのは最悪の選択肢だ。イランが核開発に向けた進展を遂げている以上、「通常兵器による攻撃か、将来における核戦争の可能性か」のいずれかを選ばざるを得ない状況にある。ワシントンは、イランの核施設に対する空爆を実施し、イランの報復攻撃を受け止めた後、危機を安定化へと向かわせる戦略をとるべきだ。現在、危機に正面から対処すれば、将来においてはるかに危険な事態に直面するのを回避できるだろう。 |
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| CFR
Interview イランはすでに核弾頭を搭載できるミサイルを保有している |
| | マイケル・エルマン/英国際戦略研究所シニアフェロー |
| | イランは、アメリカ(やイスラエル)と湾岸諸国に対して、自国が攻撃されれば相手に大きなダメージを強いる能力を持っていることをアピールしたいと考えている。これが、ホルムズ海峡封鎖の警告を含む、最近におけるイランの一連の行動と過激な発言の真意だと思う。2003年以降もイランが核兵器の開発を試みているか?その動かぬ証拠を公的文書に見いだすことはできないが、イランが湾岸地域の都市やイスラエルを脅かせる弾道ミサイル領域でかなりの進展を遂げているのは間違いない。そうしたミサイルには、これまでイランが独自に開発に取り組んできた2段式固体燃料型のセッジール2ミサイルも含まれ、このミサイルはいまや配備できる状態にある。セッジール・ミサイルを設計した当時からイランが核弾頭の搭載を想定していたかどうかはわからない。だが、状況からみれば、セッジール・ミサイルの開発は核兵器の獲得を前提に進められたと考えてもおかしくはない。 |
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| CFR
Meeting 外交か軍事攻撃か ――空爆、外交、それとも イランの核武装を放置するか |
| | レイ・タキー/米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー マシュー・クローニッグ/米外交問題評議会核安全保障フェロー |
| | ある朝、目がさめると、国内の5―10の核施設が破壊されている。だが、軍隊は無傷だし、体制も安泰だ。あなたがイランの最高指導者なら、この事態にどう対応するだろうか。国内的な面子を保ち、抑止力を再建するために、何らかの軍事的報復策はとらざるを得ないと考えるだろう。だが一方で、自国の軍隊と体制を完全に崩壊させるかもしれないアメリカやイスラエルとの全面戦争は回避しようとするはずだ。・・・むしろ、イランへの軍事攻撃によって状況が管理不能になるとすれば、ホワイトハウスがイランの反撃に対抗することを求める大きな政治圧力にさらされた場合だろう。(M・クローニッグ) 「特定の状況下であれば、イランとの軍備管理交渉は不可能ではない」とする認識をワシントンは依然としてもっている。関係するプレイヤーのすべては、危機が紛争へとエスカレートしていくのを望んでいない。したがって、緊張が高まっている現在の情勢を逆に外交交渉を試みる機が熟したとみなすこともできる。・・・私は、3月か4月に「5プラス1(安保理常任理国プラスドイツ)」の外交交渉が実現するとみている。(R・タキー) |
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| CFR
Meeting 2012年、われわれは何を心配すべきか ――世界のマクロ政治・経済リスクを検証する |
| | デービッド・ゴードン/ユーラシアグループ・グローバルマクロ分析部門ディレクター |
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・ ヨーロッパがソブリン債務危機を克服することはあり得ないが、ユーロゾーンの崩壊も、ヨーロッパ主要国が2012年に信用危機に陥っていくこともない。だが、ギリシャは非常に深刻な事態に直面する。 ・
アメリカ(とドル)が安全地帯とみなされる限りは、ワシントンは経済を前に進めることができる。 ・ 中東地域では歴史的なスンニ派とシーア派の対立が再燃しつつある。シリア、イラク、そしてイランもこの宗派対立にとらわれている。 ・
インドは今後大きな危険にさらされることになる。インドのことを南アジアにおける欧米の前哨基地とみなすテロ集団の標的にされる恐れがある。 ・ 急速に北朝鮮が崩壊へと向かった場合に何が起きるか。米軍と韓国軍は核施設の安全を確保するために北へ向かい、一方で、中国軍も自国への難民流入を阻止するために、鴨緑江を越えて現地に入り、秩序を確立しようとするかもしれない。・・・ |
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| パキスタンに対する強硬路線を ―― 懐柔策ではもはや協調は引き出せない |
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スティーブン・D・クラズナー/元国務省政策企画部長 |
| | パキスタンは対米協調を装いながらも、それが対インド戦略に抵触する領域についてはアメリカの利益を公然と無視し、それに反する行動をとってきた。それにも関わらず、ワシントンはパキスタンを切り捨てるのを躊躇している。「対テロ作戦へのパキスタンの協調を得られなくなれば、アメリカのアフガンでの作戦は失敗する」と決めつけ、「外からの支援がなければ、パキスタンは破綻国家と化し、その結果、イスラム過激派が国を制圧し、悪くすると、インドとの核戦争が起きかねない」と心配しているからだ。だが、別のアングルから問題をとらえるべきだ。アメリカが対パキスタン援助と関与によって得た利益よりも、パキスタンによる核拡散やイスラム過激派支援路線がもたらすダメージのほうがはるかに大きい。パキスタンが具体的に行動を起こさなければ、パキスタンを孤立させる政策をとると、はっきりとイスラマバードに伝えるべきだ。いまや、パキスタン強硬路線へと舵を切り、パキスタンを敵国として扱ったほうが、アメリカも、パキスタンを含む地域諸国もより大きな恩恵を手にできるようになるだろう。 |
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| Foreign
Affairs Update はじけだした中国の不動産バブル |
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パトリック・チョバネク/清華大学・経済・マネジメントスクール准教授(MBAプログラム担当) |
| | 2011年10月、上海の不動産開発業者が突然高級マンションをそれまでの3分の1の価格で販売し始めた。沿岸部の温州や石炭資源地帯であるオルドスでは、不動産価格の暴落によってクレジット危機が起き、ビルの屋上から飛び降り自殺をする者が相次ぎ、国を脱出する者さえいる。いまや中国の不動産バブルははじけつつある。これまで住宅市場を支えてきたのは強気の不動産開発と中国の個人投資家たちだった。ごく最近まで不動産開発業者は、建設が終わらぬうちにすべてを完売できる状態にあったし、個人投資家は一人で複数、ときには数十もの住宅やマンションを投資用に買い上げてきた。だが、開発業者は住宅在庫を維持していくための融資を調達できなくなり、2011年夏までには、ついに住宅在庫を精算し始めた。最大の疑問は、最後の砦である個人投資家が保有物件を安値で売り払うかどうかだ。実際にそうなれば、市場は大混乱に陥り、住宅価格はさらに暴落し、バブルは完全にはじけるかもしれない。彼らが遊休資産を今後も維持していくかどうかは、価値を保有していく手段として不動産が信頼できるかどうかに依るが、その合理性は失われつつあるかにみえる。・・・ |
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CFR Interview 先の読めない北朝鮮の権力継承プロセス |
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スコット・A・スナイダー/米外交問題評議会アジア担当シニア・フェロー |
| | 北朝鮮は、アメリカと韓国に異なる姿勢をみせて、米韓を離反させたいと考えているようだ。・・・北朝鮮の国防委員会は、金正日の葬儀が終わった直後に、韓国との関係、特に李明博政権との対話路線について非常に高圧的で強硬な声明を出し、一方でアメリカや日本との個別交渉には前向きな姿勢をみせた。・・・6者協議の再開にはまだ時間がかかるだろう。・・・(平壌が)もっとも重視しているのは、権力継承をスムーズに進めることだ。だが、(日本で出版された著作で)金正恩を批判する金正男の発言が引用されている。常識的に考えて、北朝鮮のエリート層内で対立が起きていない限り、彼がそうした批判的なコメントを出せたはずはない。身辺に危険が及ぶ可能性がないと確信しない限り、金正恩を公然と批判する発言をするとは思えない。・・・・ |
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