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日本の意思決定にグローバルな洞察を フォーリン・アフェアーズ・リポート
 

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漂流する先進民主国家
――なぜ日米欧は危機と問題に対応できなくなったか
 

チャールズ・クプチャン/米外交問題評議会シニア・フェロー

 

グローバル化が「有権者が政府に対して望むもの」と「政府が提供できるもの」の間のギャップをますます広げ、政府は人々の要望に応えられなくなっている。これこそ、アメリカ、日本、ヨーロッパという先進民主世界が現在直面しているもっとも深刻な問題だ。先進民主諸国が統治危機に直面する一方で、台頭する「その他」の諸国が新たな政治力を発揮しているのは偶然ではない。グローバル化した世界への統合を進めていくにつれて、先進民主国家が問題への対応・管理手段の喪失という事態に直面しているのに対して、中国のような非自由主義国家の政府は、一元化された中央の政策決定、メディアに対する検閲、国家管理型の経済を通じて、社会の掌握度を高めている。必要とされているのは、民主主義、資本主義、グローバル化の相互作用が作り出している大きな緊張をいかに解決するかという設問に対する21世紀型の力強い答えを示すことだ。政府の行動を、グローバル市場の現実、恩恵をより公平に分配することを求める大衆社会の要望に適合させるとともに、痛みと犠牲を分かち合えるものへと変化させていく必要がある。


「競争的権威主義」国家は帝政ドイツと同じ道を歩むのか
―― ビスマルクの遺産と教訓
 

マイケル・バーンハード/フロリダ大学政治学教授

 

異なる社会集団が権力を競い合うことは許容されるが、公正な選挙という概念は踏みにじられ、支配エリートによって野党勢力は抑え込まれ、リベラルな規範 などほとんど気にとめられることはない。ロシアからペルー、カンボジアからカメルーンにいたるまで、帝政ドイツにルーツを持つこの「競争的権威主義」体 制をとる国はいまも世界のあらゆる地域に存在する。かつてのドイツ同様に、現在の競争的権威主義国家も世界を揺るがす衝撃を作り出すことになるのか、それとも、民主化への道をたどっていくのか。これを理解するには、ビスマルクが育んだ政治文化が、なぜ彼の没後数十年でドイツを壊滅的なコースへと向かわせたのかを考える必要がある。結局、「支配エリートたちが完全に自由な政治制度がも たらす政治的不透明さに対処していく気概を持つかどうか」が、競争主義的権威主義体制を民主化へと向かわせるか、それとも独裁者の聖域を作り出すことになるのかを分けるようだ。


CFRインタビュー
プーチン時代の終焉か?
 

スティーブン・セスタノビッチ/米外交問題評議会ロシア担当シニア・フェロー

 

ロシアの民衆が抗議行動を展開しているのは、下院選挙の不正に対してだけではなく、プーチンが出馬を表明している3月の大統領選挙のことを気に懸け、プーチンに対する反発を強めているからだ。・・・プーチンの再出馬表明を前に、人々は「結局、プーチンがすべてを決めているわけで、自分たちの意見など考慮されることはない」と考え るようになった。この社会風潮のなか、プーチン陣営は3月の大統領選挙で決選投票に持ち込まれるのではないかと心配し始めている。実際、プーチンが二人の候補のうちの一人にすぎなくなった環境では非常に多くのロシア人が、反プーチン票を投じるかもしれない。・・・ロシアにおける選挙の特徴は、何かに対する反対票が大きな流れを作り出すことにある。これまでプーチンは、何かの大義や敵を特定して民衆を動員する政治的才能をいかんなく発揮してきた。最初の大統領選挙ではチェチェンの分離主義を敵として引き合いに出し、2回目の選挙ではオリガーク(新興財閥)を、(後継者の)メ ドベージェフが勝利を収めた3度目の選挙では、欧米をやり玉に挙げた。だがいまや、民衆を動員できるスローガンは「反プーチン」そのものになりつつある。


なぜユーロプロジェクトは失敗したか
―― ギリシャのユーロ離脱は何を引き起こすか

 

マーティン・フェルドシュタイン/ハーバード大学教授

 

共通通貨を導入さえしなければ生じたはずのない緊張と対立をユーロはヨーロッパにもたらした。これは、経済的に多様な国家集団に単一通貨を強要したことの必然的な結末だ。調和に満ちたヨーロッパを形作るという政治目標にもユーロは貢献できず、そこには政治的対立と反発が渦巻いている。もはやギリシャにはユーロ離脱という選択しか残されていない。ユーロを離脱し、新ドラクマを導入すれば、通貨の切り下げができるようになるし、ディフォルトに陥っても、ユーロ圏にとどまった場合よりも痛みは軽くて済む。問題は、ギリシャのユーロ からの離脱がどのような連鎖を引き起こすかだ。ギリシャが離脱し、通貨の切 り下げに踏み切れば、グローバル資本市場は、他のユーロ加盟国はどう反応するだろうか。・・・


CFRミーティング
ユーロ危機とヨーロッパの政治

 

モーリジオ・モリナーリ/スタンパ紙 駐米コレスポンデント
アンドリュー・ナゴルスキー/イーストウェスト・インスティチュート 副会長
エレイン・シオリーノ/ニューヨークタイムズ紙 パリ支局

 

ドイツは欧州中央銀行(ECB)が(周辺国の国債を買い入れるなど)大規模な資金を 提供すれば、インフレがおきるのではないかと警戒するとともに、危機に直面している国が 改革を実行しなくなることを恐れている。・・・「何をすべきなのかは誰もが分かっているが、それを実行して、再選されるかどうか誰も確信が持てずにいる」。だがドイツの場合、 どうすべきかについてのコンセンサスもない。(A・ナゴルスキー)

イタリア、フランス、スペインは、ECBが、アメリカの連邦準備制度のように、より積極的な介入策をとることを望んでいる。だが、ドイツは立場を明確にしない。(M・モリナーリ)


Foreign Affairs Update
ドイツ社会とイスラム系移民
――社会的統合に苦悶する移民たち

  ジェームズ・アンジェロス/前アレクサンダー・フォン・フンボルト財団フェロー

「欧米世界」をユーラシア、日韓へ拡大し、日中和解を模索せよ

 

ズビグニュー・ブレジンスキー
/カーター政権国家安全保障問題担当大統領補佐官

 北米、ヨーロッパだけでなく、(最終的にはロシアとトルコを含む)ユーラシア、さらには、日本と韓国を内包する「拡大欧米」世界を形作れば、他の文化圏にとっての欧米世界の中核原則の魅力は高まり、ゆっくりとではあっても、普遍的な政治文化の出現を促せるようになる。一方、中国を中心とする東洋にもエンゲージ していく必要がある。だが、アジアの安定を非アジアパワーが強要するのは不可能だし、ましてやアメリカが直接的に軍事力を用いて安定を維持していく ことはできない。アメリカがアジアの安定を物理的に支えようと試みれば、 下手をすると、20 世紀のヨーロッパにおける悲劇をアジアで再現することになる。一方アメリカが、日中間の和解、中印間のライバル関係の緊張緩和を仲 介する役目を果たせば、安定化の見込みは大きく開けてくる。第二次世界大戦後のヨーロッパの政治的安定が、独仏の和解なしでは成立しなかったのと同様に、慎重に日中関係の深化を育んでいくことが、極東における安定強化の起点にな る。・・・・


追い込まれたウクライナの危険な賭け
―― ロシアかEUか、それとも革命か

 

ラジャン・メノン/米リーハイ大学教授(国際関係)
アレクサンダー・J・モティル/米ラトガーズ大学教授(政治学)

 無策、無能で、政治腐敗にまみれ、権威主義的。こうした形容詞で語られるウクライナのヤヌコビッチ政権は、市民の支持を失っている。2011年半ば、追い詰められたヤヌコビッチ大統領は、もっとも痛みが少なさそうな安易な打開策を選んだ。ヨーロッパの価値を無視したまま、EUに接近する策をとったのだ。しかも、プーチンが標榜する関税同盟への参加を拒否しておきながら、ロシアとも良好な関係を維持しようと究極の二股をかけている。だが国内情勢からみると、こうした打開策はすでにタイミングを失している。ヤヌコビッチの最大の成果とは、世論を反ヤヌコビッチでまとめあげたことくらいで、市民の怒りはどうみ も行き場を失っている。このままでは政府機能が麻痺し、社会不満が拡大し、2012年のどこかの段階で市民の怒りが大きな形で爆発する危険がある

思索の人、ジョージ・F・ケナンの遺産
―― 決して満足しない精神

 

ニコラス・トンプソン/ニューヨーカー誌エディター

 

ジョージ・ケナンは非常に重要な時期に、トルーマン政権の国務省で政策企画部長を務め、第二次世界大戦後の世界を再設計する仕事をした。だが、その後、彼はワシントンのやり方に苛立ちを感じ始め、ワシントンも彼を厄介な存在とみなすようになる。ケナンは聡明であるがゆえに苛立ち、遠大なビジョンの持ち主であるがゆえに不満を抱いた。彼はこの間ずっと、厳格な自己批判、自虐的な考えを自分のメモとして書き残している。「自分がひ弱で、幼稚で、役に立たないだめな人間に思えることがある」。彼の聡明さと自己卑下はつねに表裏一体をなしていた。現状に満足することに不快感を覚え、「われわれ」は「この現状」よりもよくなれると確信していた。「われわれ」が誰で、「この現状」が何であるかは問題ではなかった。ケナンとは、決して満足しない精神そのものだった。


Classic Selection 1964
日本の安全保障とアメリカの政策

 

ジョージ・ケナン


Classic Selection 1947
ソビエト対外行動の源泉(X論文)

 

ジョージ・ケナン


台頭するアフリカ
―― その経済ブームの秘密とは

 

エドワード・ミゲル/カリフォルニア大学バークレー校経済学教授

 

アフリカが、中国よりも多くの繊維工場を、インドよりも多くのコールセンターを持つようになるのは、おそらく時間の問題だ。人々の教育への間口が広がったこと、民主政治の台頭、技術拡散、経済政策決定の効率化などを通じて、「新しい アフリカ」が誕生している。そこにあるのは、メディアが描く「暗黒の大陸」というイメージとは別次元の明るい世界だ。大陸全体でみても、一人あたり経済成長率は1990年末以降、プラスに転じている。状況が大きく改善しているのは経済 だけではない。アフリカ諸国の多くは、1960年代に植民地からの独立を果たして以降初めて、複数政党制による選挙を経験し、いまや、市民的自由、報道の自由も大きく進展している。いったいアフリカに何が起きたのか。・・


CFRインタビュー
イスラム主義者とエジプトの未来
――ムスリム同胞団の台頭を前に過激化する世俗派集団

 

エド・フサイン/米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー

 

エジプトの暫定統治にあたっている軍最高評議会(SCAF)は、現在の暫定内閣が 2012年7月の大統領選挙までその責務を全うしていくと表明している。だが1月に 内閣を作るための議会選挙の結果がでるにもかかわらず、暫定内閣が7月まで政治を運営するというのではつじつまが合わない。・・・もちろん、選挙で大きな勝利を収めつつあるムスリム同胞団と軍の関係が今後どのように変化していくかは重要なポイントだ。だが、イスラム政権の誕生を望まない世俗派や旧体制のメンバー、タハリール広場に集結している世俗的過激派の動向にも注意が必要だ。これらの勢力は、イスラム主義者に権力を委ねるくらいなら、旧体制を復活させるか、軍事支配が続くほうがましだと考え、選挙結果をキャンセルするか、延期すべきだと主張している。仮にこれらの勢力が結集して選挙結果が反故にされるような事態になれば、エジプトは再び極端な混乱に陥っていくことになる。


CFRミーティング
世界エネルギーアウトルック
――天然ガス革命、温暖化、石油、クリーンエネルギーの未来

 

ファティ・ビロル/ 国際エネルギー機関(IEA)チーフエコノミスト
エドワード・L・モース
/シティグループ・グローバルマーケット マネージング・ディレクター

 

仮に脱原発が世界的な流れになれば、何がどう変わるのか。原発施設の停止による電 力生産の減少分は、主に再生可能エネルギー、天然ガス、石炭を用いた電力生産で 埋められていく。この場合、石炭と天然ガスへの需要がさらに高まり、当然、価格は上昇する。エネルギーミックスの多様性も低下し、二酸化炭素排出量が増大する。各国政府は、ドイツ政府のように脱原発を求める市民の声に耳を傾ける必要があるが、(環境とエネルギーという)国益からみた構造的な必要性にも配慮する必要がある。というのも、現状では、地球の気温が6度上昇する軌道にあるからだ。さまざまな地球温暖化対策の議論が行われているにも関わらず、この事実は変わらない。実際、2010年には二酸化炭素排出量は史上最大レベルへと達しており、現状が何も変化しないとすれば、2017年には地球の気温上昇を2度に抑える機会は永遠に失われてしまう。しかも、各国政府は、クリーンエネルギーのための予算を財政赤字問題に対処するために充当しつつある。これまで再生可能エネルギーを積極的に推進してきたヨーロッパの主要国も、再生可能エネルギーへの補助金を打ち切りつつある。・・・・


 

 

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