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日本の意思決定にグローバルな洞察を フォーリン・アフェアーズ・リポート
 

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苦しみのなかにある人を助けるのはチャリティか、責務か
― 人道主義における義務と思いやりについて
 

マイケル・ウォルザー/プリンストン高等研究所 社会科学名誉教授

 

われわれは、人道援助をフィランソロピー(利他的な奉仕活動)の一形態だと考えている。ハイチでの地震、アジアでのツナミなどの被災者を支援するのは、人々を苦しみや生命の危機から救い出そうとする慈善行為で、これは明らかに良いことだ。しかし、人道主義は、「思いやり」というだけでなく、むしろわれわれの「責務」、「義務」なのかもしれない。そうしないのが間違っているからだ。思いやりと責務は二つで一つのセットであり、困難な状況にある人々にわれわれが与えるべき贈り物なのかもしれない。人々は、数多くの選択肢のなかからどのようにチャリティを行うかを決めるが、そのためにどの程度の時間をさき、努力し、お金を寄付できるかが選択の基準とされる。だが、正義の観点から何が必要かを理解せずに、適切な判断を下すことはできない。人道支援のチャリティと責務をセットにして考え、どのような正義が必要なのかを検討しなければならない。正義へのコミットメントは個人として市民として、われわれが果たすべき義務である


フォーリン・アフェアーズ・アップデート
食糧価格の高騰とボラティリティを区別せよ
― 間違った認識、間違った政策対応が世界の貧困層を苦しめる
 

クリストファー・B・バレット/コーネル大学教授
マーク・F・ベルマール/デューク大学助教授

 

食糧価格の高騰とボラティリティ(変動・乱高下)が本質的に異なるにもかかわらず、世界の指導者は、価格の高騰とボラティリティを同一視するか、あるいは、価格の高騰よりも、ボラティリティに問題があると考えている。だが、世界の貧困層を苦しめているのは、価格の高騰であって、ボラティリティではない。食糧価格指数と政治的不安定化を示す指標には密接な連鎖があるが、食糧価格のボラティリティと政治的不安定化の間には因果関係は認められない。2008年の春と夏、2010年末、2011年初頭における食糧価格の高騰は政治的混乱期と重なり合っているが、食糧価格のボラティリティの高まりは、政治的混乱が起きる前ではなく、それが起きた後に生じている。価格のボラティリティが世界の貧しい消費者を追い込んでいるわけではないにも関わらず、それが原因だと信じ込めば、間違った処方箋が書かれ、世界の貧困層をますます追い込んでしまうことになる。


CFRブリーフィング
食糧価格高騰と供給不安定化の背景
 

2008年、穀物価格は世界的にかつてないレベルへと上昇したが、その後も価格は上昇し続け、2011年半ばの時点でも依然として非常に高いレベルにある。こうした穀物価格の上昇とボラティリティ(変動)には、農業政策やエネルギー政策、商品価格と投機、天候不順、新興国を中心とする食糧需要増大、そして穀物備蓄の減少など、さまざまな要因が関係している。問題は、農業生産を増大させ、流通の効率化を図らないことには、今後20年にわたって、世界は増大する人口に十分な食糧を供給できなくなってしまうことだ。2011年11月のG20でも、「いかに食糧安全保障を高め、価格ボラティリティを抑えていくか」がアジェンダの一つとして取り上げられる予定だ。


CFRミーティング
21 世紀のエネルギー地政学
― 原子力、天然ガス、石油の未来

 

マイケル・レビ/米外交問題評議会シニア・フェロー
ウィリアム・マーチン/米エネルギー省原子力諮問委員会・委員長
デビッド・サンダロー/米エネルギー省次官補(政策・国際関係担当)

 

原子力産業は数年間にわたって停滞を経験するかもしれないが、その後は、各国で原子力による電力生産が再び推進されることになるだろう。・・・最後に残される問題は、核廃棄物だ。核廃棄物の最終処分問題を解決しなければ、原子力の未来も制約される。(マーチン)

原油価格のボラティリティを抑えるには、産油国、消費国の双方が情報公開を進めて、市場の透明性を高めるしかない。デリバティブを認めれば、変動リスクに対する保険にできる。(M・レビ)

エネルギーの使用効率を高めるテクノロジーは、温室効果ガスの排出を削減する上で、代替エネルギーとともに、もっとも簡単かつ迅速、しかも安価に温室効果ガスを抑える方法だ。大きな違いをもたらせると思う。技術革新を進めるとともに、政治的なコミットメントを示す必要がある。(D・サンダロー)


CFRミーティング
アジアの米軍基地再編と沖縄
― 普天間移設問題に関する米議会の立場

 

ジム・ウェッブ/米上院外交委員会東アジア・太平洋小委員会委員長、
         元米海軍省長官

 

何年もかけてまとめた外交合意を変更するには、具体的な代替策が必要になる。そこで、私とレビン上院議員が(普天間の移設問題に)介入した。われわれはグアム、沖縄、東京で、米軍及び相手国・現地の関係者から意見を聞いた。その後、まとめた提言では、普天間の海兵航空隊機能を嘉手納空軍基地に移して統合すれば、手詰まり状況を打開し、よりタイムリーにコスト面でもより効率的に問題に対応できると指摘した。われわれは嘉手納空軍基地の規模の削減も提言したが、この点は日本のメディアではほとんど報道されなかったようだ。嘉手納基地から削減される戦力を、日本における他の空軍基地、現状では機能の半分も使用されていないグアムのアンダーソン空軍基地に移すこともできる。(ジム・ウェッブ)


Review Essay
中国の意図は何か

  アンドリュー・ネーサン/コロンビア大学政治学教授
 「悲劇的な紛争を回避するには、アメリカは中国の台頭を悠然と受け入れるべきだ」。こう主張するヘンリー・キッシンジャーは、中国外交を高く評価している。アメリカが外交を取引とみなしているのに対して、中国は外交を心理学でとらえ、外国からのゲストを恐れさせ、不快にするか、あるいは、中国側の富、寛大さ、冷静さを見せつけることで、相手がすり寄ってくるように仕向けるとキッシンジャーは指摘する。一方、フリードバーグは、中国の意図は、「東アジアにおける支配的なパワーとしてのアメリカに取って代わり、おそらくは、アメリカを東アジア地域から締め出す」ことにあるとみなし、アメリカに好ましいパワーバランスを維持することで、中国の台頭に対する一定の境界線を引くべきだと主張している。二人の立場は、共和党主流派内における対中戦略の亀裂を見事に浮き彫りにしている。だが、いずれにしても、中国にはアメリカをアジアから締め出せるような力はない。そうなるとすれば、アメリカがアジアからの全面撤退を決意した場合だけだろう。・・・

論争 アメリカは台湾から手を引くべきか

 

シュー・ツ・リー/北米台湾人教授協会会長
ダグラス・パール/カーネギー国際平和財団 研究部門担当上席副会長
チャールズ・グレーザー/ジョージ・ワシントン大学教授

 ジョージ・ワシントン大学のチャールズ・グレーザーは、フォーリン・アフェアーズ・リポート5月号で発表した「中国の台頭と米中衝突のリスク――バランスを維持するには日韓との同盟関係を維持し、台湾は手放すべきだ」で、中国の台頭はたしかに危険をはらんでいるが、それが伴うパワーバランスの変化によって覇権競争が起き、米中の重要な国益が衝突することはおそらくないと指摘した。米中間の緊張の高まりを抑えつつ、地域バランスを維持するには、ワシントンはアジアでもっとも重要なパートナーである日本と韓国に信頼できる拡大抑止を提供し、一方で、台湾防衛のような最重要とは言えないコミットメントを見直し、台湾から手を引くことも考えるべきだと提言した。ブルース・ジリーの「台湾がアメリカを離れて中国の軌道に入るべきこれだけの理由」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2010年2月号)など、アメリカは中台関係からは距離を置き、自然の流れに委ねるべきだとする議論はこれまでもあったが、その都度、米中台で大きな論争が起きた。今回も例外ではない。次に掲載するのはグレーザーに対するシュー・ツ・リー、ダグラス・パールによる批判とグレーザーの再反論。

時代はグローバル・リバランシングへ
― 新興国経済の成熟で資金の流れは再び変化する

 

アラン・M・テイラー/モルガンスタンレー シニアアドバイザー

世界各国の指導者たちが、金融危機の再発を防ごうとグローバル・インバランスの是正に努めている。G20も、過剰なインバランスを察知するためのマクロ経済指標による警戒システムを構築しようと試みている。だが、おそらくもう心配はない。新興国が先進国経済に追いつきつつある以上、グローバル・インバランスがこれまでのようなペースで進むことはなく、減少していくと考えられるからだ。いわゆるセイビング・グラットの時代は終わりを告げ、今後は、資本が先進国から新興国へと下流に向かって移動するという流れが勢いを持つようになる。いまや新興国も十分な外国資産を保有し、外貨準備を蓄積する必要性をかつてほど強くは感じていない。逆に言えば、世界経済は先例のない新たな「リバランシング」局面に突入しており、今後、投資、貯蓄、資本移動のパターンが段階的に変化していくことになるだろう。新興国から先進国に向かって移動する資本が減少し、新興国の通貨価値が上昇する新時代へと流れはシフトしつつある。だが、別の危険もある。・・・

フォーリン・アフェアーズ・アップデート
アメリカ、そして世界経済の二つのハードランディングシナリオ
― 景気刺激策か歳出削減か

 

アラン・ブラインダー/プリンストン大学教授

 

民間経済という経済を動かす主要なエンジンに力がなく、財政政策と金融政策という補助エンジンも、それぞれ、財政赤字とQE2の不調によって手足を縛られている。しかも、増税と財政赤字を減らすための歳出削減に踏み切るタイミングが迫りつつある。財政赤字の肥大化が予測されている以上、緊縮財政路線をとるのが思慮分別のある路線のように思える。しかしそれは、需要不足に苦しんでいる現在の米経済が必要としていることではない。これに加えて、内に議会の合意を必要とする債務上限の引き上げ問題、外にユーロ圏の危機という問題を抱え、いまや二つのハードランディングシナリオが浮上しつつある。・・・


Review Essay
都市設計を考える
― 都市と郊外の対立と融和

 

サンディー・ホーニック/ニューヨーク市都市計画局戦略コンサルタント

  歴史的に都市開発にはさまざまな思想があった。19世紀には都市の美化運動と田園都市運動が大きな流れを作り出した。建物のデザイン、彫刻に芸術的要素を取り入れることを求めた都市の美化運動は公共建築部門で大きな流れを作り出したが、住民が都市にいながら田園生活を送れるようにすることを目的とする田園都市運動は定着せず、結局、郊外という概念が形成された。ここに都市と郊外という複雑な関係が生じた。ときに対立しつつも、いまや、ほとんどの人々が郊外の好きな場所に住みながら、仕事をし、食事をし、買い物をする場所についてこれまでよりも豊かな選択肢を持てるようになり、都市の中枢と郊外は相互補完的な存在になりつつある。だが、ここにいたるまでには伝統的な都市を再開発する必要があると考えたフランク・ロイド・ライトを始めとする偉大な都市開発の理論家、また、都市は完璧ではないからこそ面白いと考える専門家など、都市計画はさまざまな思想的変遷を経験している。

ドローン兵器と実体なき戦争

 

ピーター・ベルゲン/ニューアメリカン・ファウンデーション ディレクター
キャサリン・タイデマン/ニューアメリカン・ファウンデーション リサーチフェロー

 

ワシントンの政治・軍事指導者たちは、ドローン(無人飛行機による)攻撃プログラムは対ゲリラ戦略において大きな成功を収めていると考えており、攻撃の巻き添えになって死亡した民間人も2008年5月からの2年間で30人程度だと主張している。だが、パキスタン人の多くは、ドローン攻撃によって多くの民間人が犠牲になっていると考えている。パキスタンの部族地域で暮らす人々の75%が「アメリカの軍事ターゲットに対する自爆テロは正当化される」と考えているのも、こうした現地での認識と無関係ではないだろう。一方、パキスタン政府は、ドローン攻撃によって自分たちの敵であるパキスタン・タリバーンの指導者も殺害されているために、アメリカによる攻撃を黙認している。この複雑な現状の透明性を高める必要がある。部族地域の武装勢力に対するドローン攻撃がアメリカとパキスタン双方の利益であることをアピールし、ドローン攻撃をめぐるパキスタン軍の役割を増大させるべきだ。パキスタンの空で戦争を始めたのはワシントンだったかもしれないが、イスラマバードの協力なしでは、この作戦を完了することはできないのだから。


 

 

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