Focal Points

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2018.6.6 Wed

<6月号プレビュー>
欧米経済の衰退と民主的世紀の終わり
―― 拡大する「権威主義的民主主義」の富とパワー

世界はいまや大きな転換点に近づきつつある。今後5年以内に世界の所得に占める中国、ロシア、サウジアラビアなど「自由ではない」と分類される諸国の割合は、欧米のリベラルな民主国家のそれを上回るようになるだろう。逆に言えば、四半世紀の間に、リベラルな民主国家は先例のない経済的強さから、同様に先例のない弱体化の道を歩みつつある。伝統的にリベラルな民主主義の中枢を担ってきた北米と西ヨーロッパ諸国では政治システムが危機にさらされ、世界経済に占めるウェイトも低下しており、かつての優位を取り戻せる見込みはますます遠のいている。(モンク、フォア)

中国を模倣したい権威主義国家の指導者たちも、中国の経験から間違った教訓を引き出すべきではない。中国の経済的な成功は、トップダウン型の指令系統を維持し、ボトムアップ型のイニシアチブを抑圧すればうまくいくことを示してはいない。むしろ現実は正反対だ。毛時代の悲惨な数十年は、トップダウン型の強制が失敗することを物語っている。鄧の時代になり、中国共産党が官僚に説明責任を果たさせ、競争を促進し、指導者個人のパワーを制限する民主改革を導入したからこそ、資本主義革命を管理できた。現在の中国指導層も、この教訓を心にとめるべきだろう。(アン)

現在の中国とロシアは、日独が第二次世界大戦に敗れた1945年以降、姿を消していた権威主義的資本主義パワーの再来にほかならない。中国とロシアに代表される権威主義的な資本主義国家が、近代性の進化をめぐってリベラルな民主主義の代替策を提示することになるかもしれないし、グローバル経済に自分のルールで関与するようになるかもしれない。リベラルな民主主義が、最終的に勝利を収めるという保証はどこにもなく、権威主義的資本主義がリベラルな民主主義に代わる魅力的な選択肢とみなされるようになる可能性もある。(ガット)

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