Foreign Affairs Japan / フォーリン・アフェアーズ・リポート

 
フォーリン・アフェアーズ・リポート 購読案内
  RSS お気に入りに登録 RSS RSS FAQ
HOME アーカイブ(論文検索)Agenda & Current IssuesSubscribers' Only 購読案内フォーリン・アフェアーズ・リポートについて
フォーリン・アフェアーズ リポート 公開論文

風力・ソーラーエネルギーのポテンシャルを引き出すには
――悪い補助金からスマートな促進策への転換を

Tough Love for Renewable Energyr

ジェフリー・ボール
スタンフォード大学レジデントスカラー
フォーリン・アフェアーズ・リポート 2012年5月号

風力やソーラーエネルギーが、近い将来に化石燃料にとって代わることはあり得ない。当面、再生可能エネルギーは、化石燃料による電力生産に取って代わるのではなく、それを補完する程度に終わる。だからといって、その開発をいま断念するのは間違っている。風力タービンとソーラーパネルの効率は高まり、価格も低下している。重要なのは、これまでのように補助金で再生可能エネルギーのポテンシャルを摘み取ってしまわないように、よりスマートな促進策をとり、市場の競争を最大化することだ。目的は風力タービンやソーラーパネルを多く設置することではない。電力を安価に便利に安全に、しかも持続的に供給することだ。この目的を実現する包括的なエネルギー政策の一部に風力・ソーラーエネルギー促進策を戦略的に位置づける必要がある。


小見出し
危機対応策としてのエネルギーシフト 部分公開
クリーンエネルギーの優位と弱点 
エネルギー使用効率の改善を
補助金政策の光と影
ヨーロッパの後退
台頭する中国のソーラー産業
エネルギー包括戦略の一部に位置づけよ



<危機対応策としてのエネルギーシフト>

 この10年にわたって、世界各国は再生可能エネルギー促進策に多くの資金をつぎ込んできた。近い将来、電力生産領域で大きな変化が起きると先読みした民間の投資家も、政府の動きに続き、電力生産の革命が起きる可能性に人々は夢中になった。「エネルギーシフト」はそのプロセスにおいて富を創造するだけでなく、雇用を創出し、化石燃料の価格を抑え、地球温暖化のペースを弱めることにも貢献すると考えられていた。

 だが、そうした期待と夢はいまや遠のいてしまった。アメリカでは新技術の導入によって、石炭よりもクリーンな天然ガス資源の大規模供給が期待できるようになり、その価格は大きく低下している。しかも、グローバル・リセッションによって、地球温暖化対策は政治的優先課題のはるか後方へと押しやられ、財政難に陥っている国は再生可能エネルギーへの補助金をすでに打ち切っている。

 再生可能エネルギーへの大規模な投資が水泡に帰したケースもある。例えば、米エネルギー省が5億3500万ドルの債務保証をしたカリフォルニア州のソーラーパネル・メーカー、ソリンドラは2011年秋にあえなく倒産した。

 補助金であれ、債務保証であれ、税金を再生可能エネルギーに注ぎ込むことに批判的な人々は、いまやソリンドラ倒産のケースを引いて、政府が太陽光(ソーラー)や風力エネルギーの促進策をとるのは見当違いだと主張している。事実、再生可能エネルギー促進策の基盤は不安定で、これまでのところ投資に見合うような価値を引き出せていない。アメリカ政府の再生可能エネルギー支援策に一貫性がなく、民間の投資家を混乱させていることも、技術開発を阻害している。補助金構造の効率化を図る必要がある。

 より一貫した再生可能エネルギー支援策がとられてきたヨーロッパでは、政府があまりに大盤振る舞いをして資金を注ぎ込んだ挙げ句、もはや補助金を捻出できなくなっている。一方、再生可能エネルギーの新たな中核センターとなった中国は、国を挙げて風力、ソーラー関連企業の育成を試みているが、化石燃料への依存度にほとんど変化はないし、アメリカは中国のやり方は貿易ルールに違反していると批判している。

 しかし、これらの問題や課題を抱えているとはいえ、再生可能エネルギーの開発を断念する理由はない。必要なのは開発プロセスを改革することだ。いまこそ再生可能エネルギーを強く推進すべきタイミングだし、今回はスマートなアプローチをとる必要がある。

 最近の技術革新によって、再生可能エネルギーの競争力はかつてなく強化された。そのポテンシャルを開花させるには、世界各国が開発・促進へのアプローチを見直す必要がある。生産コストを引き下げるために、政府は促進策を再設計する必要がある。エネルギー企業も経済性を高めるために、導入する技術、電力生産装置を設置する場所をより慎重に選び、もっと戦略的に動くべきだ。再生可能エネルギーの時代を切り開くには、これまでのやり方を改める「愛のムチ」が必要だ。

 いまやエネルギー問題が過去数十年と比べてより深刻になっている以上、これまで以上に厳格な態度を持つことが不可欠だ。

 歴史的にみて、各国が大きなエネルギーシフトの実現に成功したのは、原油の禁輸、深刻な環境汚染、あるいは戦争のような、深刻な危機に直面した時だけだった。1970年代のオイルショック後、フランスは原子力エネルギーへと舵を切り、デンマークも使用効率の改善を強化するとともに風力発電に力を入れた。ブラジルもオイルショックを境に自動車燃料の一部をエタノールへと切り替え始めた。

 だが、地球温暖化、エネルギー価格の変動、他国が形成途上のクリーンエネルギー市場を独占してしまう可能性への危機感など、現在われわれが直面している脅威はより慢性的で、オイルショックのように差し迫ったものではなく、これまで再生可能エネルギーを育んできた寛大な支出を当然視できる状態にはない。

2012年5月号に全文掲載>>

(C) Copyright 2012 by the Council on Foreign Relations, Inc.,
and Foreign Affairs, Japan


論文は、雑誌同様にコピーライトで保護されています。


定期購読会員の方
フォーリン・アフェアーズ・リポートについて
 
リンク
Asahi Shimbun Asia Network
 
フォーリン・アフェアーズ・ジャパンを
フォローする
Twitter
Facebook
RSS
Newsletter
Copyright by Council on Foreign Relations, Inc. & Foreign Affairs, Japan. All rights reserved