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フォーリン・アフェアーズ リポート 公開論文


石油も石炭も原子力も必要としない世界
―― 超素材と「インテグレーティブ・デザイン」の力

A Farewell to Fossil Fuels

アモリー・B・ロビンス
ロッキーマウンテン研究所議長
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2012年3月号

2050年までには、石油も石炭も原子力も必要とせず、天然ガスの消費量も現在の3分の2程度で済む時代が実現する。・・・自動車、建物、そして電力生産の効率をいかに高めていくかがこの変化の鍵を握る。このエネルギーシフトに必要なテクノロジーはすでに存在する。第1に自動車を、炭素繊維を用いたボディに、そのエンジンを電気稼動型に切り替え、カーシェアリング、ライドシェアリングなど車をもっと生産的に利用するようにする。第2に、ビルや工場の設計と素材を変えるだけで、エネルギーの使用効率を現在よりも数倍高めることができる。第3に、電力供給システムをより多様で分散した再生可能エネルギーを中心としたものへと近代化していけば、電力供給をよりクリーンかつ安全で信頼できるものにできる。この概念は現実離れしているように思えるかもしれない。だが、困難な問題に対処するには、(既成概念を捨てて)境界を広げて問題をとらえ直す必要がある。つまり、エネルギー消費の多い交通・運輸、ビル、産業、電力生産部門を、個別にとらえるのではなく、一つとみなすのだ。・・・


小見出し
エネルギーシフト 部分公開
使用効率の改善
自動車――脱ガソリンの条件
使用効率の改善でビルの電力消費を抑える
電力生産のイノベーション
より安全で快適な世界へ



<エネルギーシフト>

 これまでエネルギー産業は石油、天然ガス、石炭を安価で使い勝手のよい燃料に変化させ、これらを用いて生産される電力が富を創出し、近代文明の形成を助け、数十億の人々の生活を豊かにしてきた。だがいまや、化石燃料の価格高騰とリスクゆえに、それが可能にしてきた安全と繁栄そのものが脅かされている。

 化石燃料への依存体質から離脱していくには、石油と電力に関する大きな認識面での変化が必要になる。アメリカでは電力のほぼ半分は石炭によって生産され、電力生産施設や(自動車その他による)石油の燃焼が、それぞれ化石燃料の使用に伴って排出される二酸化炭素排出量の5分の2以上を占めている。生産された電力の4分の3がビルや建物で、石油の4分の3がトラックやバスなどの交通・運輸部門で消費され、残りの電力と石油の多くは工場で消費されている。したがって石油と電力の消費を抑え込むには、ビルでの電力使用効率、車や工場のエネルギー使用効率を大きく引き上げなければならない。

 もちろん、これは容易ではない。だが、非常に大きなエネルギーシフトには歴史的先例がある。

 1850年当時、アメリカのほとんどの家庭は鯨油ランプを使用し、当時の捕鯨産業はアメリカで5番目に大きな産業だった。しかし、鯨の数が少なくなり、鯨油価格が上昇すると流れは変わった。1850―1859年のわずか9年間で、石炭を材料とする合成燃料が照明市場に占めるシェアは6分の5以上に達していた。

 1859年にエドウィン・ドレイクが機械堀で石油を掘り当て、灯油が出回るようになると状況はさらに変化した。課税が免除されたおかげで、瞬く間に灯油が合成燃料にとって変わっていった。鯨がいなくなる前に鯨油の顧客を失ってしまった捕鯨業者は、国家安全保障上の理由から連邦政府に補助金の拠出を願い出たが、1879年にトマス・エディソンが電灯を発明し、ここにアメリカの捕鯨産業は消滅した。鯨は、技術革新と利益の最大化を目指す資本主義に救われたことになる。



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