Foreign Affairs Updateシリアを擁護するロシアの立場――宗派間抗争と中東の地政学 Russia’s Line in the Sand on Syria
ロシア政府の高官や政府に近い専門家の多くは、昨今における欧米の行動を非常にシニカルにみている。「ワシントンは、エジプトでの影響力を確保しようと古くからの同盟パートナーであるムバラクを見限り、石油契約を維持するためにリビアとの戦争に関与し、アメリカの第五艦隊の基地が存在するという理由でバーレーンへのサウジ介入に見て見ぬふりをした。そしていまや、イランからアラブ世界における唯一の同盟国をとりあげようと、シリアのアサド政権を倒そうとしている」。ロシアはこれらの戦争に直接的な利害は持っていない。だが少なくとも、危険で根拠を失いつつあるかにみえるアメリカの地域戦略の尻馬に乗りたいとは考えていない。・・・モスクワのシリアへの態度は、最近におけるリビアの運命、シリアの反体制派に対する不信、そして、アメリカの意図に対する懸念によって規定されている。
<モスクワの意図は> ロシアにとってシリアは中東に残された唯一の同盟国だとよく言われる。ロシアが頑迷に、アメリカ、欧州連合(EU)、アラブ連盟によるシリア批判に同調するのを拒んでいる現実は、まさにこのとらえ方の正しさを裏付けているかにみえる。 モスクワがなぜダマスカスを重視するかについては、すでに数多くの説明が試みられている。「ロシアのウラジーミル・プーチンとシリアのバッシャール・アサドは独裁者としての利害を共有している。プーチンはアラブの春が作り出す流れがロシアに及んで支配体制が揺るがされることを警戒している。軍事契約、シリアにおける海軍基地、原子力部門での協力構想など、ロシアはシリアに経済、軍事的利権をもっている」 たしかに、こうした見方には一面の真理が含まれているが、全体的見取り図の一部を言い当てているにすぎない。モスクワのシリアへの態度は、最近におけるリビアの運命、シリアの反体制派に対する不信、そして、アメリカの意図に対する懸念によって規定されている。
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Dmitri Trenin カーネギー国際平和財団・モスクワ・センター所長、専門はロシアの政治・外交。1972年から1993年までソビエト陸軍に勤務し、この間、ソビエト側の代表として米ソ軍備管理交渉にも参加している。
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