ロシアの「死にゆく社会」―― 想定外の人口減少はロシアをどう変えるかThe Dying Bear―― Russia's Demographic Disaster
<なぜ人口が減り続けるのか> ソビエトの独裁体制が崩壊し、ロシアによるポスト共産主義への移行が始まってから約20年が過ぎた。ロシアにとって躍動と期待に満ちた20年だったが、予期せぬ問題や落胆に遭遇することも多かった。特にロシア社会で起きたもっとも驚くべき(そして困惑すべき)現象は人口が急激に減少していることだ。この20年間、ロシアは戦時でもないのに人口が減少するという極めて異例の現象に苦しめられている。総人口が減少し、死者の数が恐ろしく増え、人的資源が危険なまでに損なわれている。 都市化された識字率の高い社会で(しかも平和な時代に)、これほど人口が減少してさまざまな問題(保健、教育、家族の形など)が引き起こされるのは過去に例がない。その減少規模は先進国の基準でみても途上国の基準でみても、常識的には考えられない。しかも、その原因は完全には解明されていないし、ロシアの指導者たちが有効な対策をとっているようにもみえない。 人口危機はロシア経済の先行き、近代化と発展への取り組みだけでなく、治安と安全保障さえも脅かしつつある。その結果、人口問題が国内外に甚大な影響を与えるリスクが生じている。死亡者の数は既に途方もない水準に達しており、それが伴う経済コストもますます大きくなりつつある。人口減少という危機に直面したロシアが、これまで以上に危険な対外行動をとるようになる恐れもあり、この国をとりまく地域でのパワーバランスが不安定化する危険は十分にある。
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Nicholas Eberstadt アメリカン・エンタープライズ研究所の政治経済学者
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