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シリアへの軍事介入を求め始めた反アサド勢力
――「保護する責任」とアラカルトの軍事介入

Syria: Military Intervention A La Carte


マイコー・ゼンコー
米外交問題評議会
紛争予防担当フェロー
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年11月

いまやシリアの反体制派集団は国際社会に対して軍事支援を強く求め始めている。「自由シリア軍=FSA」のリヤド・アル・アサド大佐は「必要なのは国際社会が(われわれの地上での軍事活動への)後方支援を提供してくれることだ。さらに飛行禁止空域の設定、バッファー(緩衝地帯)の形成、そして現体制にとって重要とみなされる戦略ターゲットへの空爆も望んでいる」と発言している。たしかに、民間人に対する攻撃がこれ以上エスカレートし、外交的、経済的制裁ではアサドの行動を変えることができなければ、軍事介入を選択肢の一つとして検討せざるを得なくなるとはいえ、話は簡単ではない。反体制派が外国に対して「軍事支援を選択的に」求めているからだ。彼の発言は、いまや鮮明になりつつあるシリアの反体制派による要望の特徴を映し出している。これは「外部による軍事介入というメニュー」を見て、介入を要請する側がアラカルトでそのタイプを選んでいることを意味する。・・・・

小見出し
アラカルトの軍事介入と飛行禁止空域
何のための、誰による介入か



<アラカルトの軍事介入と飛行禁止空域>

  シリアのアサド政権による民衆デモの弾圧はすでに9カ月におよんでいる。これまでに3500人が犠牲になり、しかもその多くはデモに平和的に参加していた人々だった。いまやシリアの反体制派集団は国際社会に対して軍事支援を強く求め始めている。

  だが、外からの介入がどのようなものになるのか、その政治的、軍事的目的は何か、どの国が軍事支援を行うのかについてはまったく先が見えない。

 11月下旬、1500人の離反兵を束ねる「自由シリア軍=FSA」のリヤド・アルアサド大佐は国際社会への要請について次のように述べている。 「イラク戦争のような外国の軍事介入は望んでいない。必要なのは国際社会が(われわれの地上での軍事活動への)後方支援を提供してくれることだ。さらに飛行禁止空域の設定、バッファー(緩衝地帯)の形成、そして現体制にとって重要とみなされる戦略ターゲットへの空爆も望んでいる」。特にアル・アサドは、国際社会が自分たちに武器を提供してくれるように重ねて要請した。

 外国に対して「軍事支援を選択的に求める」。彼の発言は、いまや鮮明になりつつあるシリアの反体制派による要望の特徴を映し出している。これは外部の介入というメニューを見て、介入を要請する側がアラカルトでそのタイプを選んでいることを意味する。

 シリア上空に飛行禁止空域(NFZ)を設定するかどうかについての議論にこのトレンドが顕著に表れている。FSAのある若手メンバーは「NFZが設定されれば、アサド政権は30日以内に倒れる」と主張し、アブドラ・ヨセフ准将も「NFZがあれば、アサド体制は1週間持たないだろう」と語っている。こうしたシリアの反体制派の希望的観測は、リビアの旧反カダフィ派、暫定国民評議会(TNC)のゴガ副代表のかつての声明に似ている。ゴガは「飛行禁止空域さえ導入されれば、リビア全土を十分に掌握できる」と述べたが、彼の認識が間違っていたのは事実が示す通りだ。

 NFZの導入を現地勢力が求めるのは、体制に圧力をかけるためだけではない。この場合、反体制派は「外国の地上軍介入なしに自分たちで活動を続けている」と主張できる。だが、リビア同様にシリアにおいても、民間人が地上の戦車や狙撃者によって攻撃されている以上、NFZは無力だろう。国務省のスポークスマンが11月初頭に指摘したように、「そうした状況で、NFZはどのような作用をするのか、はっきりしない」

 あるリビア人の医師はNATOのリビア介入前に、「カダフィは戦闘機を数機しかもっていないし、これも動かしていない。われわれを攻撃してくるのは(カダフィ軍の)戦車や狙撃手だ。必要なのは飛行禁止空域を設けることではなく、運転禁止地帯だ」
シリアについても、同じことが言えるだろう。

<何のための、誰による介入か>

  なぜ国際的な軍事介入を求めるのかについて、シリアの反政府勢力間にコンセンサスはない。たしかに、体制の打倒を目的に掲げるシリア国民評議会(SNC)を含む、すべての反政府集団は「アサド政権の打倒」という目的は共有している。だが、外部の軍事介入が体制変革の助けになると主張するのではなく、多くの集団は「市民を守るために外部の介入が必要だ」という立場を示している。

 「あなたたちが求めている国際的保護とは、市民を守ることが目的なのか、それとも、政権を倒すことが狙いなのか」。この質問に対して、SNCの事実上のスポークスマンであるバーハン・ガリオンは次のように答えている。「われわれの目的は民間人を守ることだ。アサド政権を打倒するのは外国の部隊ではなく、シリア人の役目でなければならない。だが、外部勢力による民間人の保護策が、革命を続け、反政府勢力の基盤強化につながるのは事実だろう」

 人に何かを頼む側が、頼まれる側に注文をつけることもある。シリアの反政府勢力は、どの国に介入して欲しいかについてさえ選択的になっている。

  反体制派の長老政治家であるハイサム・アルマレは、当初、国際社会の「保護する責任」の原則を引いてNATO(北大西洋条約機構)の介入を求めたが、後に前言を翻した。「私はNATOの介入は望んでいない。NATOはアメリカを意味するし、アメリカの介入は望んでいない」

  シリア軍から離脱したサレム・オデイ大佐は「トルコ軍が介入してくれることを望んでいる」と明言し、「トルコとは古いつきあいの友邦だし、トルコは西の世界よりも、東の世界に軸足を置いている」と語っている。追放されたムスリム同胞団のメンバーもこれに同調した。「飛行禁止空域の導入などの外国の軍事介入が必要になっても、人々は欧米ではなく、トルコの介入を望むはずだ」。一方、活動家のなかには「アラブ諸国がシリア上空に飛行禁止空域の導入してくれれば」と期待する者もいる。

 彼らは、NATOよりも、(そのメンバーであるとしても)トルコ、あるいは、アラブ諸国の軍隊の介入を望んでいる。

  だがその前に、軍事介入でどのように市民を保護できるか、あるいは体制変革を実現できるか、説得力のある理屈を示すべきだろう。さらに、反体制派が一枚岩でない以上、介入する側も、なぜ特定の反体制集団の意向を重視し、他の集団のそれを無視したかを説明しなければならない。

  仮にこれらをクリアーできたとしても、外国の軍事介入が成功するかどうかはわからない。外部の軍事力を臨機応変に用いて体制変革を実現するというアイディアにはどうみても説得力がない。

  とはいえ、民間人に対する攻撃がこれ以上エスカレートし、外交的、経済的制裁ではアサドの行動を変えることができなければ、軍事介入を選択肢の一つとして検討せざるを得なくなるだろう。●





>>関連特集<After the Arab Spring>(2011年10月号)

 

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