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いずれギリシャはディフォルトを宣言する
―― 欧米の自爆装置と化したグローバル金融システム


China's European Shopping Spree?

マーク・ブリス
ブラウン大学教授(政治経済学)
 フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年9月号

パリとベルリンの経済官僚たちは、「この10年にわたって、周辺国は生産性が伸びていないにも関わらず、賃金レベルを引き上げたのが間違いだった」と批判するが、考えるべきは、周辺国がその資金をどこから調達したかだ。資金の出所はフランスとドイツの銀行だ。つまり、(ギリシャ、アイルランド、ポルトガル)などの周辺国の一つでも債務を履行できなくなれば、危機はEUの主要国へと瞬く間に広がりをみせていく。そして、ヨーロッパの危機はMMFとCDSのエクスポージャーによって、アメリカの銀行にも非常に深刻なダメージを与え、ヨーロッパとアメリカのリセッションはますます深刻になる。ここで、中国は何をするだろうか。のどから手が出るほど欲しがっているあらゆる技術、宇宙工学技術、金融資産をヨーロッパから非常に安い価格で入手するかもしれない。中国が台頭し支配的な影響力を持つようになるのが間近なのか、遠い将来なのかはともかく、欧米はグローバルな金融システムを、自分たちにダメージを与え、中国を大きく利することになる装置へと変貌させてしまっている。

小見出し
中国がヨーロッパを買い漁る?  部分公開
金融危機が肥大化させた先進国の債務
ヨーロッパ周辺国のディフォルトは避けられない
ヨーロッパの金融危機は米中にどう作用するか



<中国がヨーロッパを買い漁る?>

 7月に債務・財政危機に陥ったギリシャへの追加支援策にEU(欧州連合)が合意したことで、ギリシャがディフォルトに陥り、それが他のユーロ圏諸国へと飛び火することを恐れていた市場もある程度落ち着きをとり戻したかにみえる。しかし、EUの追加支援だけがギリシャ問題への唯一の解決策ではないだろう。2011年6月には、想像できない国の指導者が、異なる解決策を示唆する言動をみせていた。

 2011年6月にヨーロッパ各国を歴訪した中国の温家宝首相は、各国の首都で必ず二つのことを強調した。ユーロゾーンの安定が中国にとっても非常に重要であること、そして、中国がヨーロッパの友人であることだ。

 実際、北京にとって、ヨーロッパは自己利益と利他主義がうまく重なり合う場所だ。仮に中国が発行済みギリシャ国債の半分を買い上げれば、ユーロゾーンのソブリン危機を解決できるだけでなく、中国の名声が高まり、ドル建て債券を手放して自国の外貨準備の多様化を図ることもできる。しかも、中国の巨大な外貨準備からみれば、そのごく一部でしかない2220億ドルという破格の値段でギリシャ国債を買い上げることができる(現在、中国の外貨準備の70%はドル建てで、中国はギリシャの債務を所有するトップ40にさえ入っていない)。

 だが、これまでのところ、中国はこのチャンスを生かしていない。おそらく中国も、世界の金融市場同様に、「いくら追加支援をしても、EUはヨーロッパのソブリン危機を解決できない」とみているのだろう。

 だが、別のチャンスに目を付けているのかもしれない。それは、アメリカからヨーロッパへと波及した2008年の金融危機同様に、2011年のヨーロッパの債務危機が今後ヨーロッパからアメリカに波及する危険があることに関係がある。これによって(欧米経済が衰退すれば)、国家安全保障上センシティブな資産の外国による購入を規制した、アメリカの2007年「外国投資・国家安全保障法」を中国が迂回できる可能性が生まれる。

 この法律ゆえに、中国が3兆ドルを超える外貨準備を用いて、航空宇宙技術、国防関連企業など、アメリカの安全保障にとってセンシティブな資産を買い取るのは現実には難しい。だが、米欧の金融市場における行動が引き起こした予期せぬ結果によって、いまや、中国はヨーロッパからセンシティブな技術資産を格安で購入できるチャンスを手にしている。

>>全文は2011年9月号に掲載
>>Subscribers' Onlyで全文先行公開

 

Mark Blyth ブラウン大学教授(国際政治経済学)。政治科学、経済学、社会学、複雑系など、領域を超えた研究と分析に取り組んでいる。最近、フォーリン・アフェアーズで、ナシーム・ニコラス・タレブとの共著で発表した「ブラック・スワンの政治経済学」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2011年7月号掲載)は世界で大きな話題になった。

(C) Copyright 2011 by the Council on Foreign Relations, Inc., and Foreign Affairs, Japan


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