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数日前から、人々はエジプト軍の存在に注目し、議論するようになった。次にエジプト軍について理解しておくべき五つのポイントを示す。
1. エジプト軍の高官たちは、1952年の革命で現在のエジプトを建国したガマル・アブデル・ナセルや自由将校団の直系の末裔たちで構成されている。軍は、これまでの政治秩序から大きな利益を引き出してきた。自由将校団の仲間が政治指導者となり、彼らが形作った秩序が軍となじみがよかったために、軍が政治に直接的に介入することはなかった。
 群衆を見守るエジプト軍兵士(1/29/2011)
2. デモ参加者に武力行使をしないと軍が発表したことで人々は胸をなで下ろしたが、こうした軍の判断が予測できなかったわけではない。シリア軍は1982年にハフィズ・アサド大統領を救うために数千人を殺害したが、エジプト軍とシリア軍は違う。
軍の高官たちは、社会の安定と治安を保つ内務省の仕事を「汚れ仕事」と見なしてきた。だが、市民に武力行使をしないという今回の声明は、エジプト軍内部の力学とも関係がある。それは、軍の高官たち、そして、市民への発砲をおそらくは拒絶すると思われる若手将校や新兵の間に亀裂が存在することだ。
これは長くエジプト軍のアキレス腱とみなされてきた。エジプト軍の高官たちは、部下たちが自分たちの命令に従うかどうか、確信が持てずにいる。つまり、鎮圧策をとって軍を分裂させるリスクを冒すよりも、「デモ参加者に対する武力行使はしない」という声明をだすことで、軍内部の亀裂が表面化するのを避けたともみなせる。
3. エジプト軍は、可能な限りデモを封じ込めて管理し、時間を稼ぐ戦略をとっている。
現状では、依然として権力を掌握しているムバラク、スレイマン副大統領、サミ・アナン参謀総長たちは、反体制派の動きを弱めようと画策し、それほど熱心でないデモ参加者を運動から離脱させようと試みている。この思惑から、スレイマンは憲法改正に言及した。
軍の高官たちは依然として現体制を救えると考えている。これは幻想かもしれないが、体制と軍が深く結びついていることを考えれば、軍がこのような認識をもつのも不思議ではない。
4. 最近の展開からみても、軍が体制の一部であることははっきりとしている。国民民主党(NDP)はもはや存在しない。大企業はすでに逃げ出している。警察力は崩壊している。残されているのは軍隊だけで、これまでのところ大きな動きを見せそうな気配はない。軍がデモを可能なかぎり抑え、スレイマンが率いてきた情報サービスは反体制派を分断しようと画策し続ければ、膠着状態が今後も続くかもしれない。
5. 権力移行プロセスはすでに開始されている。スレイマンが副大統領に任命されたことそのものが、軍の高官たちが、大統領と政治体制との非公式なつながりをいまも諦めていないことを意味する。
非常に困難な情勢にある現状を乗り切れれば、現在権力を握っている軍の将校たちが、スレイマン副大統領、そしてムバラク同様に空軍出身のシャフィク新首相による新体制を支えていくだろう。現状でもっとも重要なのは、いかに優雅にムバラクの退陣を演出するかだ。●
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