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フォーリン・アフェアーズ日本語版 公開論文
※メディア、およびブロガーの方へ※
公開論文の放送、記事、ブログ等での引用については、「フォーリン・アフェアーズ日本語版●●年●月号の『<論文タイトル>』)によれば」
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CFR ミーティング
オバマ政権の北朝鮮政策を考える

Disarming, Delisting, and Dealing with North Korea: Next Steps
スピーカー  
 マイケル・グリーン
戦略国際問題研究所日本部長
 ゲリー・セイモア
米外交問題評議会研究部長
   
司会
 ドン・オーバードーファー
ジョンズ・ホプキンス大学
ポール・ニッツスクール朝鮮研究所理事長
   

Michael Green ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長、国防総省の日本問題コンサルタントなどの要職を歴任。現在は戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長で、ジョージタウン大学の准教授も兼任。
Gary Samore
米国務省、国家安全保障会議核不拡散担当ディレクター、英王立国際問題研究所研究部長、マッカーサー財団副会長を経て、現在は米外交問題評議会(CFR)副会長で、研究部長を兼務。専門は中東、アジアにおける核不拡散と軍備管理。
 交渉か戦争かという二者択一の枠組みにとらわれ続ければ、結局は、「北朝鮮問題よりも重要で切実な問題が他にあるので、戦争は選択肢にならず、とりあえず、相手が欲しがるものを与えておこう」ということになる。これによって、北朝鮮問題を解決するわれわれの能力は大きく損なわれ、北東アジアにおけるアメリカの立場も損なわれる。(M・グリーン)

 核軍縮(解体)が実現する可能性は乏しいとしても、核開発の能力を枠にはめるための現在のプロセスを続けるほうがよいと考えている。最終的には、北朝鮮の体制は力を失い、崩壊していく可能性が高いと思う。つまり、われわれのゲームは、その時が訪れるまで、現在の(核開発能力制限・無力化する)プロセスを維持し、問題を管理していくことだと思う。(G・セイモア)

小見出し
  北朝鮮問題をめぐる新政権の課題 <公開中>
  北朝鮮交渉担当の高官ポストを
  政権移行期に何をすべきか
  中国の立場
  テロ支援国家リストからの削除と日米関係
  北朝鮮の核拡散リスク


北朝鮮問題をめぐる新政権の課題

ドン・オーバードーファー 
今日は北朝鮮の核解体、テロ支援国家指定の解除、そして今後の北朝鮮との交渉をテーマに議論する。北朝鮮に対する新政権の路線はどのようなものになるだろうか。

ゲリー・セイモア オバマ新政権は対北朝鮮交渉をめぐる複雑な状況を引き継ぐことになる。前向きな要素としては、ブッシュ政権が米朝二国間交渉枠組み、6者協議という外交枠組みをすでに立ち上げていることを指摘できる。この二つの外交プロセスを通じて、われわれは北朝鮮の核開発計画を制限すること、とりわけ、(寧辺 <ヨンビョン> の核施設の無力化を通じて)プルトニウム生産を凍結させることに成功している。一方で、小規模だとはいえ、北朝鮮はすでに核兵器を保有しており、平壌がこれを放棄する可能性は低い。

 つまり、オバマ政権にとっての最初の課題は、アジア諸国に対して「アメリカは北朝鮮の核解体という最終目的を放棄していないこと」を理解させ、安心させることでなければならない。北朝鮮が核実験に踏み切った後に、ブッシュ政権はそれまでの路線を変更し、交渉プロセスを先に進めていくために妥協を重ねるようになった。その結果、日本、韓国、中国は「アメリカは本気で北朝鮮に核を解体させるつもりがあるのか」と疑問に感じている部分がある。

 したがって、オバマ新大統領は、就任後真っ先に、核解体という最終目的を放棄していないことを声明や演説を通じてアピールし、アジア諸国を安心させるとともに、北朝鮮に対して「核兵器を放棄するまでは、外交関係の完全な正常化も和平条約の締結もあり得ないこと」を認識させるべきだろう。

オーバードーファー そうした点で、北朝鮮が誤解している部分があるのか。

セイモア 北朝鮮側は、完全で検証可能な軍縮(核の削減と解体)というブッシュ政権の目的をある程度、押し返すことができたと考えていると思う。平壌は、「オバマ政権はエネルギー支援や外交承認などをめぐってより柔軟で寛大な路線をとる」とみている。

オーバードーファー マイク。

マイケル・グリーン 私もゲリーと同じ見方をしている。だが、北朝鮮の非核化を求めているアメリカの友好国や同盟国を安心させるつもりなら、オバマ政権がたんに政策を表明するだけでは効果は薄いだろう。

 ブッシュ政権の政策表明の仕方が問題だったのではなく、むしろ、その詳細が問題だった。たしかに北朝鮮との外交プロセスは存在するが、その多くはわれわれの妥協によってかろうじて成り立っているにすぎない。実際には、2006年10月の(核実験後)に採択された安保理決議1718号以降、われわれは北朝鮮にまともな圧力をかけていない。外交交渉を試みるだけで、まともな圧力行使をしていない。

 妥協によって何が得られただろうか、立場の違いを幾ばくか埋められた程度で、詳細についてはまだ問題が残されている。いくつか指摘しよう。

 2008年6月18日にライス国務長官はヘリテージ財団で、そしてブッシュ大統領はホワイトハウスで、「テロ支援国家指定から北朝鮮を外す条件はサンプル(試料)を採取し、エンジニアへの聞き取りを認め、文書を提出することだ」と語っている。

 われわれは、こうした条件を満たすような査察プロトコルを北朝鮮が文書で出してくると考えていたが、結局は、彼らが提出してきたのは使いものにならない査察プロトコルだった。

 すでにアメリカ側は、どのような査察手続きであるべきかに関するわれわれの考えを示した文書を平壌に渡している。だが、北朝鮮側は「査察官のエンジニアへの聞き取りを除けば、すべてを拒否する」と表明している。つまり、北朝鮮は核申告文書を提出してきたが、それを検証する方法をわれわれに与えていないことになる。大統領とライス国務長官が示した条件を平壌は拒絶しており、新政権は最初から核査察の詳細についての交渉をしなければならないだろう、

 二つ目は、高濃縮ウラン(HEU)の問題だ。現在の交渉ではHEUの問題は棚上げされている。だが、この一年半の交渉期間中に北朝鮮側が不用意に提出してきた申告文書の一部に微量のHEUが付着していたため、結局、北朝鮮のHEU開発に関するわれわれの疑惑はますます高まった。この問題を長期的に交渉案件から外し続けることはできない。

 三つ目は、よくわかっていないが、北朝鮮からシリアへの核拡散問題だ。

 2003年に北朝鮮、アメリカ、中国の3者協議を北京で行った際、夕食をとった後に、北朝鮮側はジム・ケリー国務次官補(当時)に「われわれは核抑止力を持っている。アメリカが敵対的な政策をとるのをやめないのなら、核実験を行い、核技術を輸出する」と述べている。実際、彼らは核実験を強行した。このタイミングで北朝鮮側は、使用済み核燃料の再処理を再開し、抑止力をさらに強化すると宣言し、そして、いまでは北朝鮮がシリアに核の技術移転を行ったと考えてもおかしくない状況にある。この問題も取りあげなければならない。

 核技術の移転を通じて核拡散を行うことでも、北朝鮮はわれわれを脅かしている。現時点ではこれはアジェンダとはみなされていないが、オバマ政権は、核技術の移転問題を優先課題に据えることになると思う。

オーバードーファー あなたが今指摘したこと、まだ現実に行われていないことから判断して、われわれは今後どうすべきだろうか。

グリーン まず、ゲリーが言うように、オバマ政権は「アメリカが北朝鮮の核保有を認めることはあり得ない」と表明すべきだろう。核実験後にブッシュ大統領が述べたように、新大統領も同盟国を対象とする拡大抑止政策に高い優先順位を与えるべきだろう。われわれの同盟国、とくに日本は、オバマ政権が防衛、抑止、外交をバランスよく展開することを望んでいる。いかにそれを実現するかは、東京とソウルとの協議に左右される。日韓に核の傘による抑止を保証しつつも、中国がそれを挑発ととらえないレベルにとどめなければならない。一線を越えてしまうと北朝鮮への外交路線は破綻する。

 平壌に対する次のステップを考える前に、オバマ政権はまず東京とソウルに話をすべきだ。南北問題、査察問題その他を話し合って、目的を定め、それを実現するために何を与え、また何を与えるべきではないかのコンセンサスをまとめなければならない。

 そして、「きちんと対応しないと、いまわしい帰結に直面することになる」と平壌に認識させなければならない。核実験後に採択された安保理決議1718号は、北朝鮮が安保理の要請に従わなければ、次なる措置をめぐって安保理で再び北朝鮮問題をとりあげると明確に表明している。そこまではやる必要はないだろうが、個人的には、われわれの同盟国と協議の上で、安保理に再度諮ることも選択肢の一つだと平壌に伝えてもいいと思う。ゲリーが言うように、6者協議を維持し、二国間交渉を続け、あらゆることを試みるべきだろう。

オーバードーファー 次の措置として何をどうすると北朝鮮側に伝えるのか。

グリーン 私が政権にいるのなら、アメリカ、日本、韓国の3カ国で協議して、共同宣言をまとめる。この3カ国が連帯することは、多くの意味でどういう内容のメッセージを出すかと同じくらい重要だ。適切な次の措置を決めるには、まず同盟国と協議しなければならない。

 次の措置の手段は米日韓の共同声明だ。この声明で、北朝鮮が交渉によって何を期待できるか、日米韓が適正な査察その他をどのようなものとみなしているかをハッキリと示すべきだろう。

セイモア 一つ付け加えたいことがある。アメリカの新政権が説得力ある形で北朝鮮の核軍縮、そして同盟国防衛へのコミットメントを示せば、アジア諸国は何を達成できるかについて現実的な認識を持つようになる。

 少なくともアジア各国の専門家たちは、インセンティブを与えようが、強硬路線をとろうが、近い将来に北朝鮮に核を放棄させるのは難しいことは認識している。そうした見通しを好ましいとは思っていないが、アジア諸国は、北朝鮮の脅威がこれ以上大きくならず、核分裂物質の生産、北朝鮮のミサイル能力を制限できれば、脅威を何とか管理していけると考えるだろうし、長期的には核軍縮の軌道を歩んでいると考えるようになるだろう。

 したがって、あえて北朝鮮に強硬策をとって、危機を深刻化させる必然性はない。

 北朝鮮側は、食糧、重油、化学肥料などを手にできるのなら交渉に応じるだろうが、今後、交渉プロセスはますます難しい局面に入っていく。先送り戦術、約束の取り消し、ごまかしに彩られているとはいえ、基本的には現在の交渉路線を続けるしかない。

 他に選択肢がない以上、このプロセスを続けるしかない。困ったことをしでかす以上、平壌を無視するわけにもいかない。(核を保有している以上)、強制で核を放棄させることもできない。そうなると、唯一の選択肢は長期的な軍備管理路線しかない。非常にゆっくりとしたペースでしか進展しない、痛みに満ちた段階的プロセスになるとしても、軍縮路線を歩み続ける以外にない。

 したがって、私に言わせれば、より重要なのは最終的に達成しようとしている目的についての原則を持つことだ・・・
 

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