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     2011年1月31日更新
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アラブ世界で何が起きているのか
(2月号プレビュー)


アラブ世界で何が起きているのか
ロバート・ダニン/米国家安全保障会議中東担当ディレクター(代理)
(2011年1月31日公開)
わずか数週間で、チュニジアのベンアリ大統領が民衆デモを前に亡命を余儀なくされ、エジプト、イエメンその他でも民衆デモが続いている。多くの場合、デモを主導しているのは若者たちで、その行動はソーシャルメディアやアルジャジーラなどで知った近隣諸国の出来事に刺激されている。特にアルジャジーラが現在の中東の流れを左右するアクターになっている。このタイプのデモは中東ではかつてみられなかったと、CFRのロバート・ダニンは言う。これまでのように反米運動という形をとるのではなく、「現地の問題に対する不満や反発からデモが起きている。しかも、それが、近隣諸国の出来事に刺激されている」・・・

中東問題の専門家であるエリオット・アブラムスは、「民衆蜂起の高まりを前に、チュニジアの軍隊は組織としての生き残りを重視し、ベンアリと彼の家族のために、数百人の市民を殺害すれば、軍に未来はないと判断し、これが、民衆が作り出した革命の流れを加速した」と指摘する。つまり、「他の中東の独裁国家でも、かりに民衆運動が起き、軍隊が独裁者の鎮圧命令を拒絶すれば、同じような展開になる」と語った同氏は、似たような展開になる可能性を秘めているのが、いずれも権力継承のタイミングにある「リビアとエジプトだ」と指摘した。・・・

チュニジア革命とエジプト、リビア、サウジアラビア
エリオット・アブラムス/米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー
(2011年2月号)
「西洋は民主主義のソースコードを持っており、このコードへのアクセスを認めるだけで、権威主義国家は崩壊する」という見方は間違っている。ソーシャルメディアは民主化に向けた環境整備のためのツールにすぎない。ウェブ上の公共空間で思想や意見が拡散され、流れが生じない限り、政治的変化はほとんど起きない。つまり、外部情報へのアクセスを持つことは、相互に会話できる環境を持つことに比べれば、それほど重要ではない。特定の意見が最初はメディアによって伝えられ、その後、それを読んだ人々の友人、家族、同僚たちへと広がっていき、ここで、政治的意見が形作られる。インターネット、特にソーシャルメディアが大きな違いをもたらすのも、この第2段階においてだ。ソーシャルメディアが市民社会や公共空間での人々の運動を加速する効果があるのは事実としても、その結果が出るまでには、数週間、数カ月ではなく、数年から数十年の時間がかかる。
ソーシャルメディアの政治権力
――バーチャル空間における言論と集会の自由

クレイ・シャーキー/ニューヨーク大学教授
(2011年2月号)
 


カイロのタハリール広場で抗議行動を展開する若者たち
(1/29/2011)
 

関連論文



エジプトはどこへ向かっているのか(2011年1月)
スティーブ・クック/
エリオット・アブラムス


チュニジアの行方とソーシャルメディア(2011年1月)
スティーブ・クック/ジャレッド・コーエン


レバノン情勢を左右するキープレイヤーたちの思惑はどこに(2010年9月号)
モハメド・バッジ


インターネットと相互接続権力の台頭(2010年12月)
エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン


インターネットは自由も統制も促進する ―― 政治的諸刃の剣としてのインターネット (2010年12月)
イアン・ブレマー


最近のニュースより

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米、ムバラク政権離れ「新政府移行を支持」表明(1月31日)
朝日新聞


エジプト当局がアルジャジーラの活動禁止、一部地域で放送遮断 (1月31日)
ロイター

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Anthology vol.33
フォーリン・アフェアーズ傑作選2010〜2011
相互接続権力が世界を変える
――先進国と新興国経済、米中覇権、
インターネット権力の行方

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Anthology vol.32
フォーリン・アフェアーズで日本を考える

―制度改革か、それとも日本システムからの退出か
1986-2010

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2011.1.31.更新

 
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肥大化するペンタゴンの権限と権力


アメリカ軍国主義批判
――非介入主義外交への転換を
ウィリアム・パフ/コラムニスト
(2011年2月号)
外交関連省庁の予算が乏しく、米中央情報局(CIA)が国際危機に不適切な対応をしていた時代に、大統領が頼みとできたのは、常に潤沢な予算を持つペンタゴンだった。・・・こうして、十分な資金を持ち、「地域的な最高司令官」としての確固たる権限を持つアメリカの「総督」たちが誕生し始めた。総督たちは、地域諸国の政治指導者、軍事指導者たちと直接的に折衝するようになった。彼らは、アメリカの大使を上回る権限を持つようになり、地域諸国政府からもアメリカ政府の正統な代表者として扱われるようになった。そして、これがアメリカの外交政策に大きな変化をもたらした。・・・
アイゼンハワーの警告から半世紀、
アメリカの「軍産・技術・議会」複合体の現状

レスリー・ゲルブ/米外交問題評議会名誉会長
(2011年2月号)
1961年1月17日、アイゼンハワーは大統領退任演説で、「軍産複合体」の存在とその高まる影響力を抑え込なければならないと警告した。だが、実際には、「軍部と軍需産業だけでなく、技術、議会の利益が結びついており」、その結果、国防予算は肥大化し、アイゼンハワーの警告以降、その影響力はますます大きくなっていると、レスリー・ゲルブ外交問題評議会名誉会長は言う。アイゼンハワーの軍産複合体の警告に昨年言及したロバート・ゲーツ長官は、今年に入って、「今後5年間で国防予算を780億ドル削減する」と表明した。だが、ゲルブは現実に国防予算が削減されるかどうか、はっきりしないとみる。予算をもっと経済領域に投入すべきだと主張するゲルブは、オバマ大統領は「民主主義と経済の競争力を維持し、世界におけるアメリカの安全保障を維持していくには」経済を再生し、雇用を作り出すことが不可欠であることを、もっとも世論に強く訴えるべきだと語った。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティングエディター)

シビリアンパワーで米外交を刷新する
ヒラリー・ロドハム・クリントン/米国務長官
(2011年2月号)
私は国務長官に就任した直後から、国防長官とともに「外交と開発」を強化する必要があると訴えてきた。グローバルな問題を解決するには、ハードパワーにこれらのパワーを連動させた「スマートパワー」が必要になると判断したからだ。・・・

地政学の中枢は軍事から経済へ
――経済の時代の新安全保障戦略を
レスリー・ゲルブ/米外交問題評議会名誉会長
(2011年1月号)
主要国は経済を成長させるために、これまでになくお互いを必要としており、伝統的な軍事的、戦略的ライバル関係が紛争へとエスカレートしていくのがもっとも厄介だと考えている。多くの指導者がもっとも気にかけているのは、貿易、投資、市場アクセス、為替であり、富裕層をさらに豊かにし、その他の社会層により良い生活を提供することだ。新興国の多くにとっても、経済成長は、国内の反体制派を抑え込むためのもっとも強力な手段だ。アメリカも「いまや地政学の中枢が(軍事ではなく)経済であること」を認識したアプローチへと移行する必要がある。この意味で、アメリカは、利益と価値を共有するヨーロッパや日本と 21世紀型の連帯を組織し、この連帯に他の多くの諸国を参加させていく必要がある。現在のアメリカのパワーは「アメリカの助けがなければ自国の問題を解決できないと考え、共通の目的を達成するにはアメリカの利益にも配慮しなければならないと考える」諸国に依存している。


「自分の後継を担う大統領が、軍事支出の増大を求める軍産複合体の圧力によって非常に苦しい局面に遭遇することをアイゼンハワー(写真右)は理解していた」。左は後継大統領となったJ・F・ケネディ。
 

関連論文



変化する任務、変貌する米軍(2002年5月号)
ドナルド・H・ラムズフェルド


「複雑な紛争」に即した戦略を――伝統的戦力と新しい戦力整備のバランスを (2009年1月号)
ロバート・ゲーツ


自ら防衛する国をアメリカは助けよ――介入策から相手国の防衛支援策への転換を (2010年6月号)
ロバート・ゲーツ


アフガン撤退戦略の見直しを (2010年12月)
リチャード・アーミテージ


最近のニュースより

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米大統領が提案の予算凍結、対象は非安全保障など一部=高官 (1月26日)
ロイター


米軍のプレゼンス増強と警告=北朝鮮が再び挑発なら−大統領、中国主席に伝達(1月22日)
時事通信

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Anthology vol.33
フォーリン・アフェアーズ傑作選2010〜2011
相互接続権力が世界を変える
――先進国と新興国経済、米中覇権、
インターネット権力の行方

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―制度改革か、それとも日本システムからの退出か
1986-2010

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エジプトはどこへ向かっているのか


エジプトにおける民衆革命?
スティーブ・クック米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー
(2011年1月)
非常に深刻ななにかがエジプトで起きている。抗議行動が続き、一般のエジプト人も学生や若者たちとともに、街頭デモに参加するようになれば、非常に大きな何かが起き、(ナセル以来の)自由将校団による政治体制が崩壊する可能性もある。
一月の教訓
エリオット・アブラムスCFR中東担当シニア・フェロー
(2011年1月)
木曜と金曜に大規模なデモがさらに起きなければ、目先の危機をかろうじて回避できるかもしれない。だが、金曜のモスクでの礼拝から大規模な群衆が街頭デモに繰り出せば、ムバラク体制は非常に深刻な危機に直面する。もちろん、このリスクをもっとも強く認識しているのは、ムバラクと彼の治安部隊の指導者たちだ。これまで以上の厳戒態勢を敷くだろう。金曜日が大きな山場だ。
ソーシャルメディアの政治権力
――バーチャル空間における言論と集会の自由

クレイ・シャーキー/ニューヨーク大学教授
(2011年2月号)
「西洋は民主主義のソースコードを持っており、このコードへのアクセスを認めるだけで、権威主義国家は崩壊する」という見方は間違っている。ソーシャルメディアは民主化に向けた環境整備のためのツールにすぎない。ウェブ上の公共空間で思想や意見が拡散され、流れが生じない限り、政治的変化はほとんど起きない。つまり、外部情報へのアクセスを持つことは、相互に会話できる環境を持つことに比べれば、それほど重要ではない。特定の意見が最初はメディアによって伝えられ、その後、それを読んだ人々の友人、家族、同僚たちへと広がっていき、ここで、政治的意見が形作られる。インターネット、特にソーシャルメディアが大きな違いをもたらすのも、この第2段階においてだ。ソーシャルメディアが市民社会や公共空間での人々の運動を加速する効果があるのは事実としても、その結果が出るまでには、数週間、数カ月ではなく、数年から数十年の時間がかかる。

 

関連論文



チュニジアの行方とソーシャルメディア(2011年1月)
スティーブ・クック/ジャレッド・コーエン


チュニジア革命とエジプト、リビア、サウジアラビア (2011年2月)
「他の中東の独裁国家でも、かりに民衆運動が起き、軍隊が独裁者の鎮圧命令を拒絶すれば、同じような展開になる」と語ったアブラムスは、似たような展開になる可能性を秘めているのが、いずれも権力継承のタイミングにある「リビアとエジプトだ」と指摘した。・・・
エリオット・アブラムス


インターネットと相互接続権力の台頭(2010年12月)
エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン


インターネットは自由も統制も促進する ―― 政治的諸刃の剣としてのインターネット (2010年12月)
イアン・ブレマー


衰退するメディアと興隆するメディア、 違いはどこにあるのか (2011年1月号)
クラーク・ホイト、マーク・ホワイテカー


ジャーナリズムの衰退を考える (2010年1月号)
ピーター・オスノス


最近のニュースより

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エジプト:叫ぶ若者…金曜礼拝前に緊張 治安部隊が包囲、鼻をつく刺激臭(1月27日)
毎日新聞


エジプト、反体制デモ続く―ネット通じて参加呼び掛け (1月27日)
ウォールストリートジャーナル

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Anthology vol.33
フォーリン・アフェアーズ傑作選2010〜2011
相互接続権力が世界を変える
――先進国と新興国経済、米中覇権、
インターネット権力の行方

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1986-2010

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チュニジアの行方とソーシャルメディア
(2月号プレビュー)


ソーシャルメディアの政治権力
――バーチャル空間における言論と集会の自由

クレイ・シャーキー/ニューヨーク大学教授
(2011年2月号)
「西洋は民主主義のソースコードを持っており、このコードへのアクセスを認めるだけで、権威主義国家は崩壊する」という見方は間違っている。ソーシャルメディアは民主化に向けた環境整備のためのツールにすぎない。ウェブ上の公共空間で思想や意見が拡散され、流れが生じない限り、政治的変化はほとんど起きない。つまり、外部情報へのアクセスを持つことは、相互に会話できる環境を持つことに比べれば、それほど重要ではない。特定の意見が最初はメディアによって伝えられ、その後、それを読んだ人々の友人、家族、同僚たちへと広がっていき、ここで、政治的意見が形作られる。インターネット、特にソーシャルメディアが大きな違いをもたらすのも、この第2段階においてだ。ソーシャルメディアが市民社会や公共空間での人々の運動を加速する効果があるのは事実としても、その結果が出るまでには、数週間、数カ月ではなく、数年から数十年の時間がかかる。
CFRブリーフィング
チュニジアの行方とソーシャルメディア

(2011年1月)
現状は、長くこの国の強権者だったベンアリ大統領の亡命によって、チュニジアの民衆蜂起の第1幕が終わったことを意味するにすぎない。これから難しい部分に入っていく。一つの政治システムから他のシステムへの移行プロセスには不確実性がつきまとう。そのプロセスが直線的なことはあり得ないし、最終的にリベラルな民主主義に行き着くという保証もない。視野の狭い、より悪質な独裁体制に行き着く可能性もある。・・・
近隣国は部分的に改革を導入して機先を制するだろう
スティーブ・クック米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー
テクノロジーがチュニジアでの革命を引き起こし、その方向性を決めたわけではない。革命へと人々を向かわせたのは、われわれの多くが知るとおり、食糧価格の高騰、ベンアリ政権に対する積年の不満その他のさまざまな政治・社会要因だ。デジタル・テクノロジーはまったく関係ない。
 多くの人が「これはツイッター革命だったのか」というとらえ方をしている。だが現実にはツイッター革命など存在しない。チュニジアで起きていることは、まさしく(伝統的な)革命という表現で描写すべき展開だ。
 歴史を通じて、人々は革命を成功させるために(印刷物その他の)さまざまな(コミュニケーション)ツールを用いてきた。今後もスマートな運動は、その時点で利用できるツールを可能な限り利用していくだろう。・・・
ジャスミン革命はツイッター革命ではない
――テクノロジーにできることと、できないこと

ジャレッド・コーエン米外交問題評議会サイバーセキュリティ担当
非常勤フェロー

 

関連論文



チュニジア革命とエジプト、リビア、サウジアラビア (2011年2月)
「他の中東の独裁国家でも、かりに民衆運動が起き、軍隊が独裁者の鎮圧命令を拒絶すれば、同じような展開になる」と語ったアブラムスは、似たような展開になる可能性を秘めているのが、いずれも権力継承のタイミングにある「リビアとエジプトだ」と指摘した。・・・
トーマス・リップマン


インターネットと相互接続権力の台頭(2010年12月)
エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン


インターネットは自由も統制も促進する ―― 政治的諸刃の剣としてのインターネット (2010年12月)
イアン・ブレマー


衰退するメディアと興隆するメディア、 違いはどこにあるのか (2011年1月号)
クラーク・ホイト、マーク・ホワイテカー


ジャーナリズムの衰退を考える (2010年1月号)
ピーター・オスノス


最近のニュースより

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チュニジアの革命、我が国でも 中東圏相次ぐ反政府デモ(1月25日)
朝日新聞


チュニジアで起きた史上初のサイバー発革命 ツイッターが広げた蜂起の波 (1月20日)
日本経済新聞(Forbes)

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Anthology vol.33
フォーリン・アフェアーズ傑作選2010〜2011
相互接続権力が世界を変える
――先進国と新興国経済、米中覇権、
インターネット権力の行方

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フォーリン・アフェアーズで日本を考える

―制度改革か、それとも日本システムからの退出か
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2011.1.25.更新

 
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中国が日本を抜いて世界で第2の経済大国へ
――GDPでわかることと、わからないこと


GDP(国内総生産)でみた日中逆転はいまや確実視されている。だが、GDPで国の経済を計ることへの疑問を表明する専門家も多い。例えば、一人当たりGDPでみれば、上位50位にも入らない中国は、日本にもアメリカに大きく引き離されている。ただし、この指標でみたランキング首位はルクセンブルクで、日本とアメリカはそれぞれ22位、14位にランクインしているに過ぎない。いまでは、GDPの増大による人々の幸福感の向上には限界があるとみなす経済理論もある。だが、依然としてGDPがもてはやされる理由の一つは、それが、国力、対外的影響力を計る主要な指標とみなされているからだ。国がどの経済指標を重視するかは、人々がどのような生活を望んでいるかに左右される時代に入っている。(FAJ)
一人当たり所得は、経済の洗練度を計る指標の一つだが、これを基に考えるとどうなるだろうか。2030年以降、中国が6%の経済成長を、アメリカが2%の経済成長を遂げると仮定しても、21世紀半ばまで、中国が一人当たり所得で、アメリカのレベルに達することはあり得ない。つまり、中国は見事な経済成長と人口増大ゆえに、いずれ経済規模ではアメリカを上回るようになるかもしれないが、だが、それで、同等の経済を実現したということにはならない。
アメリカパワーの将来
ジョセフ・ナイ/ハーバード大学教授
(2010年12月号)
中央統制経済システムにおいて政府が銀行に資金を提供するように命じ、地方政府がインフラプロジェクトを通常予算の別枠で実施するとすれば、経済が数値上成長するのは当然のことだ。減税措置が導入され、それによって得た資金の使途が個人に委ねられるアメリカとは大違いだ。国家発展改革委員会(NDRC)がGDP成長の目盛りを8に合わせれば、8%の成長を手にできる。2009年前半のGDP成長率が7・1%、後半が9%に達すると思われるので、数字は奇跡のように8%の成長ということになる。だが・・・ (S・ローチ)
中国経済は本当に成長しているのか
――経済失速か内需拡大か

スティーブン・ローチ/モルガン・スタンレー・アジア会長
(2009年12月号)
 「中国経済はアメリカの3倍のペースで成長しており、今後、数十年のうちに経済生産面で中国はアメリカを追い越すだろう」と米衰退論者は考えている。だが、どうすれば、一人当たり所得でみると16倍のア メリカを中国が追い抜けるのか分からない。・・・中国政府が資源を社会サービスや社会保障にシフトさせてゆけば、輸出と輸出主導型成長は必然的に落ち込んでいく。 この点でドイツのケースとの比較は示唆に富む。ドイツの場合、輸出がGDPに占める比率は中国と変わらないが、GDPの3分の1を福祉国家としての予算に振り分けている。その結果、ドイツの過去10年間における平均成長率は1・5%に留まっている。しかも、いまや中国政府は輸出(成長)と社会保 障(社会的安定)のどちらかを選ばざるを得ない困難な選択に直面している。
21世紀を主導するのはアメリカか中国か
―― アメリカ衰退論も中国の台頭論も誇張されている

ジョセフ・ジョフィ/独ツァイト紙共同編集長
(2009年10月号)
GDPは一人当たり経済生産として表されるために、全般的な経済生産の増減はわかるが、社会の特定層がどのような状況に置かれているかはわからない。国の GDPが上昇しても、貧困層はますます貧しくなっているかもしれない。実際、所得格差が労働者の生産性を低下させ、社会不安を増大させると指摘する研究も あり、所得格差の増大が経済にマイナスに作用するリスクもある。
GDPは万能ではない。
だが、代替経済指標はあるのか?

ロヤ・ウォルバーソン/CFR.org Staff Writer
(2010年10月号)

  

関連論文



ポストケ小平改革が促す中国の新対外戦略 ――中国は新たな国際ルールの確立を目指す(2010年11月)
エリザベス・エコノミー


赤字と債務がアメリカのソフトパワーを脅かす―― アメリカがギリシャ化するのを避けるには (2010年11月)
ロジャー・アルトマン
リチャード・ハス


中国は市場改革路線をすでに放棄している――GDP成長に取り憑かれ、改革を忘れた中国 (2009年6月号)
デレク・シザーズ


短期的回復と持続的成長のバランスをどこに求めるか――景気刺激策と財政赤字の間 (2010年11月号)
ヤコブ・A・フレンケル、ステフェン・S・ローチ、セバスチャン・マラビー


世界を変える四つの人口メガトレンズ ――先進国の衰退と途上国の台頭をどう管理するか (2010年11月号)
ジャック・A・ゴールドストーン


最近のニュースより

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中国GDPが日本上回り世界2位へ、過度の依存は日本経済リスクに(1月20日)
ロイター


中国:GDP2位 内需主導へ道半ば インフレ・所得格差、成長維持に課題 (1月20日)
毎日新聞

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――先進国と新興国経済、米中覇権、
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中国の新対外路線で変化した東アジアの戦略環境
――日米は共通の利害認識を形成できるか


経済成長を続け、国内の政治的安定をはかるという最優課題を維持していくには、これまでのやり方を見直す必要があるとすでに北京は判断しているし、この事実をすでにオバマ政権は認識している。もちろん、今後、中国民衆の不満がどこに向かうか、中国の新対外戦略に世界がどう反応するかで、中国の新路線の成否は大きく左右される。だが、中国が国内問題を踏まえて対外新路線を打ち出しているのに対して、R・ハース&R・アルトマンが指摘するように、債務と赤字、そして失業問題に苦しむアメリカの内政と外交の歯車がますますかみ合わなくなってくるおそれもある。日本はといえば、もはや変化に対応することさえできなくなっているかにみえる。中国が新たなルール確立に動きだすなか、民主的価値と制度を共有する日米関係の未来はどこにあるのか。(FAJ)
ポストケ小平改革が促す中国の新対外戦略
―― 中国は新たな国際ルールの確立を目指す

エリザベス・エコノミー /米外交問題評議会アジア担当ディレクター
(2010年11月号掲載)
中国は自国に有利なようにグローバルな規範を作り替えたいと考えている。次なる改革に向けた国内の必要性を満たしてくには、外部環境を作り替えるような対外路線が不可欠だと考えているからだ。責任ある利害共有者という概念はもう忘れたほうがよい。国際社会のゲームルールそのものを書き換えたいと望む中国は、国際機関でのより大きな影響力を確保することを模索し、軍事力を増強し、国内での技術革新を排他的に試みている。世界各国は、ポストケ小平革命がどんなものであるかを理解し、その世界的な衝撃を想定し、備える必要がある。
アメリカパワーの将来
―― 今後を左右するのは中国ではなく、スマートパワーだ

ジョセフ・ナイ/ハーバード大学教授
(2010年12月号)
 軍事力を例外とすれば、今後、アメリカの文化も経済も21世紀初頭のようなパワーを失い、世界的な優位を保つことはないだろう。そして、今後の国家間政治においてもっとも重要な要因は、アジアが世界舞台への復活を続けていることだ。だが、中国がアメリカをアジアから締め出せるはずはない。アメリカが古代ローマのように内側から朽ち果てていったり、中国を含む国家に取って代わられたりすることはあり得ない。アメリカにとって重要なのは、移民への開放性を維持し、国内の中・高等教育を改革し、債務問題への対策をとり、制度と価値の多くを共有するヨーロッパ、日本との連帯を強化していくことだ。21世紀のスマートパワーのストーリーは、パワーを最大化することでも、覇権を維持することでもない。それは、パワーが拡散し、その他が台頭する環境のなかで、いかに自国のパワーリソースを優れた戦略に結びつけるか、その方法を見いだすことだ。
赤字と債務がアメリカのソフトパワーを脅かす
―― アメリカがギリシャ化するのを避けるには

ロジャー・アルトマン/元米財務副長官
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
(2010年11月号)
アメリカの対GDP比債務残高は2015年には100%に達する恐れがある。これは、アメリカの債務が現在のギリシャやイタリアと同じ債務レベルになることを意味する。政府が赤字・債務削減プログラムを導入しない限り、金融市場にペナルティを課されるのは避けられなくなる。現状を放置すれば、緊縮財政を余儀なくされ、国防予算も削減対象にされる。アメリカの市場経済資本主義モデルの魅力も廃れ、中国流の権威主義経済モデルがますます大きな注目を集め、世界はますます無極化していく。・・・・アメリカの外交、対外路線、今後の国際関係にも非常に深刻な悪影響が出る。

   

関連論文



米中関係の冷たい現実
経済領域については、米中間の基本問題に変化はない。国内産業を保護した形での中国の技術開発路線、知的所有権問題、そして人民元問題だ。これらが、アメリカが中国との間で抱える主要な経済問題だ。・・・
S・デュナウェイ、E・エコノミー


中国の真意はどこに――人民元レートを常に争点に対中圧力をかけよ (2010年10月号)
スティーブン・デュナウェイ


中国が重視する 国内技術革新路線と保護主義 ――メードインチャイナからイノベーティドインチャイナへ (2010年11月)
アダム・シーガル


レアアース輸出制限にみる中国の戦略 (2010年10月)
エリザベス・エコノミー


「中国の台頭」の戦略的意味合い――アジアは中国の一極支配になるのか (2010年1月号)
アーロン・L・フリードバーグ


大中国圏の形成と海軍力増強 ――中国は東半球での覇権を確立しつつある (2010年6月号)
ロバート・カプラン


最近のニュースより

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米中首脳会談 協調関係アピールも主要課題は平行線(1月20日)
CNN Japan


“人民元切り上げ 自主判断で”(1月20日)
NHK

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情報、メディア、ウィキリークス
(1月号特集から)


衰退するメディアと興隆するメディア、
違いはどこにあるのか
――ウィキリークスの何が問題なのか
クラーク・ホイト/ブルームバーグニュース顧問
マーク・ホワイテカー/NBCニュース上席副会長
(2011年1月号)
 1930〜1940年代の新聞メディアは、当時、新しいメディアとして登場しつつあったラジオがジャーナリズムにどのような影響を与えるかを心配していた。
 「新聞とは違って、ラジオではジャーナリストの経験に根ざした知的な洞察も示されないのではないか。ラジオを通じてニュースが即時的に報道されるようになれば、責任あるジャーナリズムは生き残れるのか」。新聞ジャーナリストはこう心配していた。そもそも、「たんなる出来事を伝えるだけのラジオ放送をニュースと呼べるのか」とさえ考えられていた。
   1950〜1960年代になると、今度はラジオ・メディアの人々が、テレビと呼ばれる新しいメディアがジャーナリズムに果たす役割を心配するようになった。思想や経験に根ざす分析ではなく、画像イメージが強調されるようになれば、今後、責任あるジャーナリズムは生き残っていけるのか、と。
 そして、いまや多くの人々が自分のカメラ、携帯電話、ツイート、テキストメッセージを通じて自ら世界の情報を発信できる時代にある。だれもが、一体今後何が起きるのかと考えている。
コンドリーザ・ライス、情報問題を語る
――9・11、イラク、ウィキリークス
コンドリーザ・ライス/前米国務長官
(2011年1月号)
 ウィキリークスは盗み出された外交文書を入手し、拡散した。まともな新聞社もこれを記事として公表した。だが文書の情報を新聞社に与えたのは、情報を盗み出した人物から文書を得たウィキリークスだ。
 現在のアメリカの法律は、情報技術の進化をうまく取り込んではいない。現行法でこの情報技術絡みの問題対処できるかどうかを、だれかが検証する必要がある。・・・私は法律の専門家ではない。だが、ウィキリークスの行動を処罰する方法を見いださなければ、アメリカは国として機能しなくなってしまう。
ソーシャルメディアの政治権力
――バーチャル空間における言論と集会の自由
 
クレイ・シャーキー/ニューヨーク大学教授
(2011年2月号)

「西洋は民主主義のソースコードを持っており、このコードへのアクセスを認めるだけで、権威主義国家は崩壊する」という見方は間違っている。ソーシャルメディアは民主化に向けた環境整備のためのツールにすぎない。ウェブ上の公共空間で思想や意見が拡散され、流れが生じない限り、政治的変化はほとんど起きない。つまり、外部情報へのアクセスを持つことは、相互に会話できる環境を持つことに比べれば、それほど重要ではない。特定の意見が最初はメディアによって伝えられ、その後、それを読んだ人々の友人、家族、同僚たちへと広がっていき、ここで、政治的意見が形作られる。インターネット、特にソーシャルメディアが大きな違いをもたらすのも、この第2段階においてだ。ソーシャルメディアが市民社会や公共空間での人々の運動を加速する効果があるのは事実としても、その結果が出るまでには、数週間、数カ月ではなく、数年から数十年の時間がかかる。


 

関連論文



ウィキリークスとインターネットの自由 (2011年1月)
アダム・シーガル


ウィキリークスの今後の焦点は ――世界中の反体制派が危険にさらされる恐れがある (2011年1月号)
ジョン・B・ベリンジャー


オンライン・ジャーナリズムとメディアの未来 (2010年8月号)
ビル・ニコルス 他


インターネットと相互接続権力の台頭 (2010年12月号)
エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン


インターネットは自由も統制も促進する ―― 政治的諸刃の剣としてのインターネット (2010年12月号)
イアン・ブレマー


メディアの新しいビジネスモデルは存在するのか (2010年11月号)
トマス・H・グローサー


ジャーナリズムの衰退を考える (2010年1月号)
ピーター・オスノス


サイバー攻撃に対する防衛策を ――サイバーインフラの多様性を高めてリスク管理を (2010年7月号)
ウェズリー・K・クラーク
ピーター・L・レビン

最近のニュースより

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チュニジア:政権崩壊 アラブ諸国、波及懸念 強権体制、貧富の差共通―フェースブック通じてデモ拡大 (1月18日)
毎日新聞


「ウィキリークス」関係者情報の提供をツイッターに命令…米司法省 (1月11日)
読売新聞

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Anthology vol.33
フォーリン・アフェアーズ傑作選2010〜2011
相互接続権力が世界を変える
――先進国と新興国経済、米中覇権、
インターネット権力の行方

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Anthology vol.32
フォーリン・アフェアーズで日本を考える

―制度改革か、それとも日本システムからの退出か
1986-2010

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2011.1.14.更新

 
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資本の流れと通貨制度を考える
(1月号特集から)


グローバルな資金の流れを考える
――ラリー・サマーズとの対話
 
ローレンス・サマーズ/ 国家経済会議議長
(2011年1月号)

資本管理策に眉をひそめるムードがあるが、私は、流入する資本に課税したほうがい いと特定国が判断するとしても仕方がないと思うし、資本管理策をそれほど大きな問 題だとは思っていない。完全なアナロジーにはなり得ないが、資金の流れを人の流れ に例えることもできる。人々が外国に移住するのを認めない国は全体主義的で問題 があると考えられる。一方で、国家が慎重に移民の流入を規制するのは所与のことと して受け入れられているではないか。・・・妥当な範囲での資本の流入を制限すること にそれほど問題があるとは思わない。・・・一方で、通貨の切り上げを拒み資金があふ れかえる状況が続けば、バブルが形成されるかもしれない。・・・中国経済が今後どう なるかわからないという見込みが高まっているために、不透明感が増している。(L・サ マーズ)

通貨戦争、通貨管理、
そして国際通貨システムの未来

アジャイ・シャー、ベン・ステイル、アラン・テイラー
(2011年1月号)

ロバート・トリフィンが指摘したように、ドルが国際的な準備通貨とされる限り、ドルの 世界への供給量が少なすぎても、多すぎても危機が作り出される。つまり、現在の通 貨レジームそのものを変えない限り、二つの危機の間を揺れ動くことになる。残された 選択肢は二つしかない。・・・・・(B・ステイル)
新興国が変動相場制を懸念し、大規模な外貨準備を積み増したのは、自国通貨 建てで債券を発行する力がなかったからだ。・・・だが、いまや多くの新興国はそうした 力を持つようになった。これは新興国が次第に途上国を卒業しつつあることを意味す る。(A・テイラー)
新興国の外貨準備は危機に対処できるレベルを十分に超えている。特に2002年 以降、外貨準備は(輸出に有利な為替を維持するための)重商主義路線の一部と 化した。・・・現在われわれは、為替重商主義の時代にある。(A・シャー)

赤字と債務がアメリカのソフトパワーを脅かす
―― アメリカがギリシャ化するのを避けるには

ロジャー・アルトマン、リチャード・ハース
(2010年11月号)
アメリカの対GDP比債務残高は2015年には100%に達する恐れがある。これは、アメリカの債務が現在のギリシャやイタリアと同じ債務レベルになることを意味し、政府が赤字・債務削減プログラムを導入しない限り、金融市場にペナルティを課されるのは避けられなくなる。現状を放置すれば、緊縮財政を余儀なくされ、国防予算も削減対象にされる。アメリカの市場経済資本主義モデルの魅力も廃れ、中国流の権威主義経済モデルがますます大きな注目を集め、世界はますます無極化していくことになる。アメリカ人の生活レベルだけでなく、アメリカの外交、対外路線、今後の国際関係にも非常に深刻な悪影響を与える。こうした甚大な帰結を回避するには、まず、財政上の歳入と支出のバランスをとってプライマリーバランスを図る必要がある。アメリカ市民と人々が選んだ議員たちが、この国の借入中毒問題の解決を先送りし続ければ、アメリカは非常に大きな危険にさらされることになる。

 

関連論文



短期的回復と持続的成長のバランスをどこに求めるか――景気刺激策と財政赤字の間 (2010年11月号)
ヤコブ・A・フレンケル、スティーブン・S・ローチ、セバスチャン・マラビー


2009年秋、ドルは準備通貨の地位を失いかけた ――世界はドルを見捨て始めたのか? (2010年9月号)
フランシス・E・ウォーノック


ギリシャ危機とユーロの将来(2010年9月号)
ロレンゾ・ビニ・スマギ


脅かされる基軸・準備通貨、ドルのジレンマ ――ユーロ、SDR、人民元 (2009年9月号、2010年9月号)
バリー・エイケングリーン


ドルとアメリカの赤字 ――次なる危機を回避するには (2009年11月号・12月号、アンソロジーvol.29に所収)
C・フレッド・バーグステン

最近のニュースより

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米投資家ジム・ロジャーズ「人民元が世界で最も安全な通貨」 (1月14日)
サーチナ


世銀:2011年の世界成長率は3.3%に−資本流入がリスク (1月13日)
ブルームバーグ


IMF、国際資金移動の監視強化 新興国バブル懸念 (1月6日)
共同通信

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天然ガス vs. クリーンエネルギー
――クリーンテクノロジーは世界市場に浸透するのか


クリーンエネルギーの研究・開発、
実証実験を多国間で進めよ
 
マイケル・レビ、エリザベス・C・エコノミー、シャノン・オニール、アダム・シーガル
(2011年1月号)

現状では、クリーンエネルギーはほぼいかなるケースにおいても化石燃料エネルギーよりもコストがかかる。例えば、中国では原子力発電は石炭よりも15〜70%も高く、陸上風力発電は石炭の2.4倍、太陽光発電は5倍以上のコストがかかる。(莫大なコストを要する)クリーンエネルギー導入の資金リスクを減らし、価格が現在よりも安く、経済性のあるものにならない限り、クリーンエネルギー促進政策が、必要とされる規模とペースで進展することはあり得ない。経済性を高めて、コストを下げるには、クリーンエネルギーの世界市場を何としても誕生させる必要がある。だが、クリーンエネルギーへの投資が国家の競争力を高めることを目的とするゼロサム・ゲームと認識されている限り、国家は障壁をめぐらそうとし、世界市場は出現しない。各国の試行錯誤を緊密に連携させ、他国の成果の上に研究を積み重ねられるようにして、市場の形成と拡大を目指すべきだ。

世界エネルギー・アウトルック
―― ゲームチェンジャーとしての電気自動車と二酸化炭素回収・貯蔵技術

ファティ・ビロル/ 国際エネルギー機関・経済分析部 チーフエコノミスト
(2011年1月号)
原油価格は今後も高いレベルを維持し、一方、天然ガスの価格は供給過剰で今後 も安値が続く。天然ガスは環境面でも悪い選択肢ではなく、逆に再生可能エネルギ ーの開発にはマイナスに作用している部分がある。・・・既存のエネルギーに比べてコス トが高いために、クリーンテクノロジーは市場に浸透しないという問題を抱えている。鍵 を握るのは中国だ。中国が、クリーンテクノロジーを大々的に市場に導入すれば、コス トは引き下げられ、これは世界のすべてにとっての利益になる。だがもう一つの側面も ある。電気自動車を例にとると、中国は自動車メーカー、部品メーカーその他すべてを ひとまとめにして、資金と補助金を与えるという戦略をとっている。つまり、今後20〜25 年もすれば、中国が電気自動車産業の覇者になっていてもおかしくはない。・・・いず れにしても、エネルギー問題、地球環境、石油市場についてわれわれが持続不可能 な未来へと向かっているという基本的な流れに変化はみられない。

最近のニュースより

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EUがエネルギー効率化加速 供給網に110兆円投資 (1月8日)
日本経済新聞

 

関連論文



金融危機後の世界のエネルギー市場を見通す
(2010年4月号)
クリストフ・ルール


地球温暖化対策の切り札としての地球工学オプション
(2009年4月号)
デビッド・ビクター他


原子力エネルギーは地球温暖化対策の切り札になるか (2007年11月号)
マイケル・マリオット、スティーブ・ケレケス


エネルギー資源と政治的リーダーシップ (2007年5月号)
Issue in This Month


IEAチーフエコノミストが語る、世界のエネルギー需給見通し (2005年12月号)
ファティ・ビロル


エネルギー資源をめぐる米中衝突を避けるには (2005年12月号)
ジョセフ・リーバーマン


天然ガスが世界経済を変える ――新たなエネルギー・ビジネスの可能性 (2003年12月号)
ダニエル・ヤーギン、マイケル・ストッパード

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Anthology vol.33
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相互接続権力が世界を変える
――先進国と新興国経済、米中覇権、
インターネット権力の行方

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フォーリン・アフェアーズで日本を考える

―制度改革か、それとも日本システムからの退出か
1986-2010

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2011.1.7.更新

 
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     2011年1月4日更新
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The World Ahead
――これからの世界


アメリカ・パワーの将来
―― 今後を左右するのは中国ではなく、スマートパワーだ

ジョセフ・ナイ/ハーバード大学教授
(2010年12月号)
軍事力を例外とすれば、今後、アメリカの文化も経済も21世紀初頭のようなパワーを失い、世界的な優位を保つことはないだろう。そして、今後の国家間政治においてもっとも重要な要因は、アジアが世界舞台への復活を続けていることだ。だが、中国がアメリカをアジアから締め出せるはずはない。アメリカが古代ローマのように内側から朽ち果てていったり、中国を含む国家に取って代わられたりすることはあり得ない。アメリカにとって重要なのは、移民への開放性を維持し、国内の中・高等教育を改革し、債務問題への対策をとり、制度と価値の多くを共有するヨーロッパ、日本との連帯を強化していくことだ。21世紀のスマートパワーのストーリーは、パワーを最大化することでも、覇権を維持することでもない。それは、パワーが拡散し、その他が台頭する環境のなかで、いかに自国のパワーリソースを優れた戦略に結びつけるか、その方法を見いだすことだ。
赤字と債務がアメリカのソフトパワーを脅かす
 ―― アメリカがギリシャ化するのを避けるには
ロジャー・アルトマン/元米財務副長官
リチャード・ハース/米外交問題評議会会長
(2010年11月号)

アメリカの対GDP比債務残高は2015年には100%に達する恐れがある。これは、アメリカの債務が現在のギリシャやイタリアと同じ債務レベルになることを意味し、政府が赤字・債務削減プログラムを導入しない限り、金融市場にペナルティを課されるのは避けられなくなる。現状を放置すれば、緊縮財政を余儀なくされ、国防予算も削減対象にされる。アメリカの市場経済資本主義モデルの魅力も廃れ、中国流の権威主義経済モデルがますます大きな注目を集め、世界はますます無極化していくことになる。アメリカ人の生活レベルだけでなく、アメリカの外交、対外路線、今後の国際関係にも非常に深刻な悪影響を与える。こうした甚大な帰結を回避するには、まず、財政上の歳入と支出のバランスをとってプライマリーバランスを図る必要がある。アメリカ市民と人々が選んだ議員たちが、この国の借入中毒問題の解決を先送りし続ければ、アメリカは非常に大きな危険にさらされることになる。

インターネットは自由も統制も促進する
――政治的諸刃の剣としてのインターネット

イアン・ブレマー /ユーラシア・グループ代表
(2010年12月号)
インターネットテクノロジーはメガホンであり、拡散機能を持っているが、この機能は、国境を越えた情報拡散の促進を望む人々だけでなく、この流れを遮断し、悪用する人々も利用できる。メディアとしてのインターネットが、民主主義を求める声を増幅させるのは、すでに、民主主義への希求が存在する場所においてだけだ。一方、権威主義国家は、彼らにとって好ましくない情報の自由な流れをブロックするために、そして、政府の立場や考えを拡散するために、情報テクノロジーを利用している。最終的には、世界のあらゆるインターネットがさまざまな政府による詳細な監視の対象にされるようになるだろう。事実、欧米のハイテク通信企業は、いまや自らを軍需企業のように考えだしている。インターネットが消失することはない。だが欧米諸国が使用し、一方で、権威主義国家の意向を満たすような一つのインターネットが存在すると考えるのは現実的ではないだろう。

 

1月号掲載論文 The World Ahead



非国家アクターとしての宗教の台頭
――グローバル化時代の宗教
(2011年1月号)
スコット・M・トーマス


メザニン集団の台頭――国の内側から蝕まれる中東・南アジア諸国 (2011年1月号)
マイケル・クロフォード
ジャミ・ミスシック


地政学の中枢は軍事から経済へ――経済の時代の新安全保障戦略を (2011年1月号)
レスリー・ゲルブ


クリーンエネルギーの研究・開発、実証実験を多国間で進めよ (2011年1月号)
マイケル・レビ、 エリザベス・C・エコノミー、 シャノン・オニール 、アダム・シーガル

最近のニュースより

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民主主義2.0 ネットで「直接」政治 (1月6日)
朝日新聞


【21世紀10年の軌跡/激動の過去と未来は】世界の規範 変わらぬ主導権(1月3日)
産経新聞

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フォーリン・アフェアーズ傑作選2010〜2011
相互接続権力が世界を変える
――先進国と新興国経済、米中覇権、
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1986-2010

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